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NOTEBOOK

なにも ほしがならなぁい なにも きたいしなぁい

お耳に合いましたら。がお耳に会いました。

2021-10-01 | 備忘録
テレビ東京深夜ドラマの伝家の宝刀、「飯ドラマ」。『孤独のグルメ』をはじめとして、『忘却のサチコ』や『たべるダケ』、などご飯をメインテーマにドラマを量産してますが、ドラマ性は弱かったと個人的には思っております。

『お耳に合いましたら。』もテレ東の所謂「飯ドラマ」であり、且つSpotify協力によるポッドキャストもテーマとしたドラマと言う事であんまり期待せずに観たのですが…

まずは主演の伊藤万理華さんが素晴らしい。お芝居はめちゃくちゃ上手いんですが、それよりもあのオンリーワン過ぎる存在感とカリスマ性と言うか、目を離せない感じに引き込まれました。

そこに「飯ドラマ」と言いつつ、飯は立ちつつもドラマ部分の充実度。Spotifyでポッドキャストを始めるまでの主人公と同僚(井脇弘恵さん)と後輩(鈴木仁さん)のやりとり。恋愛では無く友達としての盛り上がり。1話と2話で完全にやられました。そして第8話。

しかも伊藤万理華さんが演じる美園が劇中配信するポッドキャストは実際にSpotifyでポッドキャストとして配信されてるのも試みとして面白かったです。野心的。

会社でも友達はできるし、別れもあるってめちゃくちゃ昔のことを思い出しました。大人の青春はあるんだよ。あったんだよ、と。美園は伊藤万理華さんしかできないんじゃないかね。伊藤万理華さん、凄い。

「爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!」が終了してしまった。

2021-09-21 | 備忘録
テレビ朝日で2年前から放送されていた「爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!」(金曜深夜時代は「爆笑問題のシンパイ賞!!」)が9月19日に最終回を迎えました。

当初は芸人が街の心配な人のもとに赴き、ロケをするバラエティでしたが、コロナ禍になり素人相手のロケが難しい為か芸人の私生活にフォーカスを当てた内容にリニューアルされました。そのリニューアルが芸人好き、お笑い好きにとってはたまらない楽屋オチ的な内容で毎週楽しく拝見していました。番組は続くものと思っていたのですが…

風向きが変わったのは今年の3月ごろ行われたテレビ朝日の放送番組審議会に本番組が俎上に上がった事に寄ります。


●番組タイトルはくどく、出演者の数は多く、セットもゴチャゴチャしているが、このくどさが番組の個性になっている。今のりにのっている人たちがずらりと並ぶと画力が出る。

●一つ間違えると楽屋話の羅列になってしまう。ゲストは本当に必要なのか、何人必要なのかということをよく考えてほしい。
(上記テレビ朝日サイトより一部引用)

上記審議会の委員による指摘に番組プロデューサーは以下のように回答していました。

<局側見解>
●芸人のトークに頼りすぎている点を改善し、若い人が誰かに伝えたくなる番組にしていきたい。

●トークをピックアップするだけでなく、新しい何かを生み出すため、もがき続けたい。

●様々な角度からご指摘いただき、番組の持ち味を再確認できた。課題を改善していきたい。

●日ごろ感じていることを改めて言語化してもらった。番組作りに反映させていきたい。
(上記テレビ朝日サイトより一部引用)

結果何が起こったかと言うと、爆笑問題と霜降り明星以外にレギュラーとして入れ替わりでスタジオに居た加賀屋、EXIT、四千頭身、宮下草薙はスタジオから姿を消し、代わりにこれまでのVTRを削り、「シンパイな生き物図鑑」と言うショートコントコーナーが差し込まれました。また、番組タイトルは「爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!」から「シンパイ賞!!」と番組表上で変更が加えられました。芸人さんや新井さんが出てくるオープニングの映像は使われなくなりました。

このリニューアルを境に、番組の持ち味である芸人の私生活に迫るシンパイニュースを中心としたセミドキュメントやそれを話題にしたトークの分量は減少し、その減少分に「シンパイな生き物図鑑」なるコントが挟まれました。結果、番組の良さであるセミドキュメント部分の分量が減少して希釈され、密度は薄まりました。ショートコントはセミドキュメント部分と馴染まず更に番組を薄めてしまっていると感じさせる内容でした。審議会の提言を受け入れた結果、こうなったと考えるのが自然です。

ちなみに同時に審議会の俎上に挙げられた「テレビ千鳥」も審議会から提言をされていましたが、同番組のプロデューサーである加地さんはキッパリその場で審議会委員の提言は聞かないと名言していました。その「テレビ千鳥」は今回の改編も乗り越えています。

テレビ局にはテレビ局の事情、プロデューサーにはプロデューサーの事情があると思いますが、今回の「爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!」の終了は視聴者として悔しくて、また憤りも覚えます。どうにか守って欲しかったです。

芸人さんも番組スタッフさん達も復活を誓っておりました。是非復活を希望します。視聴者として出来る事を当事者意識を持ってやりますので、マネタイズなどの企画があれば是非実施して頂きたいと思います。


ループもの映画が大好きな人の為の夢(悪夢?)のゲーム、Twelve Minutes

2021-09-06 | 備忘録
XboxとSteamで先日配信された『Twelve Minutes』をプレイ。一通りクリアしました。

『Withness』のクリエイターが、ジェームズ・マカボイ、デイジー・リドリー、ウィリアム・デフォーをボイスキャストに起用と言うだけで心が躍ったが、内容がループものと言う事で大いに期待してプレイ。

設定としては、マンションの一室を舞台にある夜の12分間のループを繰り返しながら、ループからの脱出を図る。完全に『恋はデジャヴ』などの過去のループもの映画のオマージュに溢れ、且つゲームプレイとしてもループものを完全に再現しています。

と言うことはどう言うことかと言えば、『恋はデジャヴ』のフィルら数々のループもの映画で主人公たちが経験してきたループから抜け出す為に何にでもトライし、そしてどうしたらループから抜け出す事ができるのか分からずに苛立つと言う所までシミュレートされているという事。

これは人を選ぶ点だと思うが、私はこれは痺れた。フィルたちと同じ苛立ちを感じられる事に喜びを覚えてしまいましたよ。繰り返しプレイする事で物語の謎や対処方法が見えてくるが、そこで推理しながらループを繰り返す本作の醍醐味は他のゲームではなかなか味わえないプレイになっています。

この点だけで私は大満足でした。ただ、物語の結末のとある事を主人公が覚えていない事、デフォー演じる警官のキャラクターに違和感は覚えました。もう少し飲み込みやすい設定やキャラクターでなかった事が私としては惜しいと思いました。

志は高いけど、諸々足りなくて諸々過剰な『ある用務員』

2021-09-05 | 備忘録
『ある用務員』をU-NEXTで観ました。

本作のスピンオフ作品『ベイビーわるきゅーれ』が面白そうだったため、本作も観てみました。

所謂「舐めてた相手が殺人マシーンでした」系映画です。高校の用務員が実はヤクザに殺しを叩き込まれた殺人マシーンと言うアクション映画。『ジョン・ウィック』や『イコライザー』を邦画で再現しようとしたのかと思いました。基本的には映画の演出はセオリー通りで立派な作品だとは思いました。

ただ、主人公を焚き付ける敵対する組長の謀略があんまりにも陳腐すぎるのにまんまとそれに乗っかる主人公や本筋の物語のシリアストーンとは水と油のコメディトーンが一部を除いて本当に私には合いませんでした。敵対する組長のチンピラ感はなんなんでしょうか。また、真の黒幕?であるホンダは早々に正体を明かされます。引っ張らないんだ…となりました。あのキャスティングは面白いのに残念でした。

後半、学校を舞台にしたアクションシーンが中心となるものの、『ベイビーわるきゅーれ』の殺し屋女子高生ペア以外はキャラが立っていないし、アクションシーンが全く面白くないです。最強の敵的な感じで登場したホンダもまともなアクションシーンは無く呆気なく主人公にやられます。また、予算の少なさによるスカスカ具合は仕方ないにしろ、それをカバーするかの如く壮大に鳴り響くBGMがアンバランスな印象を受けました。

本当に本作の良いところは女子高生殺し屋を演じた伊澤彩織さんとそのアクションシーンだけだったと思います。ハードル上げすぎたのかもですが、かなり残念…



自己模倣とインフレするエヴァと女子の股間、シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

2021-08-14 | 備忘録
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』(公式)

Amazonプライムビデオで配信開始された『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観てしまいました。

前半の第三村パートの唐突さと描写の細かさとどうでも良さにかなり退屈になりました。『Q』にて、目の前でカヲルくんの首が吹き飛んだ事で鬱に陥ったシンジが回復した頃に綾波(仮)がまたもシンジの目の前で融解しても大した動揺を示さず鬱にも陥らないシンジに驚きました。

その後ヴンダーの特攻大作戦の隠さない『宇宙戦艦ヤマト』感に加えて、冒頭同様にモブ敵として圧倒的な数にインフレするエヴァと言う存在がもう白けて仕方なかったです。これはエヴァと言う存在の特別感を数によって相対化する試みなんでしょうか。

そしてそこで繰り広げられる戦闘シーンはごちゃごちゃと動くだけでスケール感も感じられず、アニメーションとしての面白さは旧劇のそれには到底及ばないものでした。本作に限った話では無いですが、画面内の物量が多いシーンをCGで描くとコマ落ちしています。『レディプレイヤー1』や『ミニオンズ』では起きえない事態を観ると、日本は最早アニメも最先端ではないのではと言う思いに駆られます。と言うか、ゲンドウとの対話パートまではお話的にもアニメーション的にも退屈で堪らないものでした。何で全体的に『シンエヴァ』が評価が高かったのか、100億円を超える興収となったのか謎でした。

その謎はゲンドウとの対話パートで分かりました。シンジがゲンドウと対峙すると、TVシリーズや旧劇でのシンジの独白をなぞる形でゲンドウがこれまでの人生や周囲との関係性の辛さを独白します。それもTVシリーズ最終回の表現をなぞる形で。

ファンが長らくそうだろうなと思っていたゲンドウの過去が独白されます。周囲と馴染めず辛かったが、碇ユイと出会った事で救われたがユイが亡くなった事で孤独が深くなった、辛くなった、と。それ故にゲンドウはユイと再び会うために人類補完計画を進めたのだと旧劇で分かりきっていた事をツラツラと開陳します。

正直言って、それは知ってたよ、って感じです。そしてその独白の表現はTVシリーズ最終2話で用いられた原画、線画で表現されます。でもそれは過去の表現を引用して用いただけのオマージュ以上では無かったです。当時感じられたような切実さは皆無でなぞられた表現は寒々しいです。

と言いますか、ゲンドウパート、アディショナルインパクトに至るパートはTVシリーズ、旧劇の焼き直しばかりで、その焼き直しも余り面白い表現では無いです。ファンへのサービス、目配せと言った趣です。旧劇でゲンドウに頭部を撃たれたリツコが今回はゲンドウの頭部を撃つ、戦略自衛隊の代わりにサクラに腹部を撃たれるミサト。巨大な綾波は申し訳程度にCGに変更されていますが、これ面白い??

今作新規のカットシーンは敵の小さいモブエヴァがよく分からない所で飛び交うだけで新鮮味はあまり感じられませんでした。そもそもヴンダーをはじめとして、"人外未知"のテクノロジーベースのエヴァやアイテム類の有機的なデザインが個人的に全く惹かれず辛かったです。加えて言うと、新規キャラのデザインも中々辛く、キャラクター自体もかなり辛いものでした。アニメの"キャラ"以上では無いと言う。

今作で面白いと思えたカットはアスカやマリの下半身、もっと言うと臀部や性器を下から煽った低めのカメラからのカットでした。でしたが、2021年でそこなのか、と。面白いカットは女性キャラクターの臀部と性器のカット。しかもアニメならではでなく、実写で出来そうなカット。アニメである必要があったのか、となります。

話として、いつのまにか使徒と人間の生存競争と言う形になってたのがふへっ?となりました。新劇から月面で巨人を発見するシーンがありましたが、あれは『2001年 宇宙の旅』をまんま引っ張って来るよと言う事だったんですね。『2001年 宇宙の旅』は後年の解説で、人類とAIの生存競争の話である事が明らかにされました。『シンエヴァ』はそこを引っ張って、人類と使徒との生存競争になっているようです。神になる云々はスターチャイルドなんだと思います。

そして本作は旧劇よりも庵野秀明監督の私小説の色合いがより鮮明になっており、もはやSFアニメでは無くなっていると感じました。と言うか、作劇と言う観点からも物語としての面白さは感じられませんでした。シンジは物語の必要に迫られ鬱になり、物語の必要に迫り鬱から回復し、強靭なメンタルを持つ大人になります。シンジは"希望"の力で利他的な行動をし、アスカ、レイ、カヲル、そしてゲンドウを救っていきます。物語上も特に理屈は示されません。少なくとも私は良くわかりませんでした。SFと言うよりファンタジーです。悪い意味で。

このシンジによるキャラクターの救済こそが本作の最大の弱点であり、評価点なんだと思います。この救済、ファンタジーに"乗れた"人にとっては、本作は福音であり、大団円に満ちた最終作だと認識されたのだと思います。だからこそネットでは好評が溢れ、興収も旧劇を遥かに上回る100億円越えとなったのだと理解します。

私はこの救済は前者、弱点の認識です。超越者となったシンジがキャラクターを救う事は救済ではあると思うのですが、ご都合が過ぎるのでは?となりました。本作によって、本作の下敷きとなっている『新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に』の表現の秀逸さと誠実さを確認させる結果となったと思います。本当に当時監督の意図や表現を理解できなかった事を恥じいるばかりです。

そして結局マリはなんだったのだ?となりました。ユイの後輩で、ユイに好意を持っていた女性だったらしいのですが、マリがシンジの庇護者として立ち振る舞うばかりか、あまつさえラストカットではシンジの恋人のように振る舞います。マジかいな?普通に考えてキモくないですかね。

本作で1番良かったのは、ワンダースワンです。『破』で登場し一部で話題をさらったワンダースワンは今作で更にフィーチャーされました。ゲーム画面は赤と黒のバーチャルボーイ仕様。横持ちでプレイしているのは『グンペイ・リバース』と思しき横画面仕様の『グンペイ』。ワンダースワン版『グンペイ』は縦持ち仕様だったので、かなり独自の仕様です。また、ワンダースワンの十字ボタンはゲームキューブコントローラーのCスティックを模したX、Yのスティックとなっていました。この仕様のワンダースワン、良いなぁとなります。そしてソフト名は『バーチャルコレクション』。

感想と言うか、思った事を吐き出しました。『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』は、『新世紀エヴァンゲリオン』、『新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に』の繰り返しの物語でした。その繰り返しをあたう限りポジティブにした事で万人に受け入れられるアニメ映画になったのだと思います。ただ、その為に失ったものは大きかったように思います。現実と地続きだった世界観は突飛なアニメ世界となり、シンジの葛藤もステレオタイプな切実さを欠いたものに感じられ、私にとってとてもどうでも良いものになりました。この辺の突飛なよくあるアニメの様な描写の雑さはある意味ワザとなのかとも思います。でも、これ面白いのか?となります。

本作は私にとっては危惧した通り残念な作品でした。一方で『新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に』が大傑作だと理解させてくれるきっかけになりました。その点では本作は逆説的に大傑作であると思います。

新しい『エヴァ』ゲーム出ないかな。そして『エヴァ』仕様のワンダースワン欲しいです。