「九条自由広場」

「昭和区九条の会」(名古屋)のブログです。会と市民の皆さんとの交流の広場です。ぜひ「コメント」をください。

敵の本を読むべし        落石

2008-07-18 22:03:37 | 書評・番組・映画・演劇など
鈴木邦男をぶっ飛ばせというブログを読んでいたら、
ちくま新書の「ウェブ炎上」を引用して
次のような文章がありました。
とても気に入ったので一部、我田引水します。

ソーシャル・ネットワーク分析の成果によれば、
米アマゾンにおける政治関連書のリコメンド
(「この商品を買った人はこんな商品も買っています」)
のリンク構造を分析すると、
右派と左派の本が見事に分化しているという。

保守派の人の本を買ったら、同じような保守派の本ばかりが紹介されている。
左翼的な人の本を買ったら、左翼的な人の本ばかり紹介されている。
ついつい買う。知らず知らずのうちに、
「一つの立場」の本しか読まない自分になっている。

僕らが学生の時は、右も左も、いろんな本があって読んだ。
今は、それがない。本も雑誌も、「一つの立場」だけだ。
それも圧倒的に「保守派」が多い。
だから、若者はどんどん「保守的」になる。

戦前戦中、「思想善導」という言葉があった。
国家が個人に対し、「いい考え」を持てと指導する。
「いい考え」とは「愛国心を持ち、共産党を憎む思想」だ。
でも、この時は、「国家が権力でやっている」とはっきり分かったから、その怖さも見えた。
しかし、今の(保守的にだが)「思想善導」は、国家や権力は出ていない。
私たちが自由に、自分の意志でやっている…ように見える。
そして保守的な考えだけを持つようにされる。
少しでも「異端」な考えは読む必要もない!
と初めから排除されている。

政治的にリベラルな思想の持ち主はリベラルな本ばかり読み、
政治的に保守的な思想の持ち主は保守的な本ばかり読む。
両者は互いに論難しあうことが多いにもかかわらず、
論敵の本をきちんと読み比べている人はごくわずかで、
自分の思想にあった本ばかり読むだけの人が、基本的には多いという。

人間は本来、易(やす)きに流れ、低きに流れるものだ。
〈ある考え〉を持つと、同じ考えの人々と仲良くなり、
「うん、そうだ」「そうだ」と思い、同調し、気分が良くなる。
そこで安心する。精神衛生上はいい。
 これは私らも陥りがちなことだ。まあ、「同じ考え」の人を発見し、
喜んでいるだけならいい。
そのうち、「違う考え」の人は許せなくなる。
「なんでこんな馬鹿なことを考えてるんだろう」
それで、批判を書き込む。その人を「正しい道」に立ち戻らせようと思う。
「思想善導」をしてやろうと思う。
自分の力じゃ足りなかったら、同好の士に呼びかける。
それで書き込み、批判が集中する。これが「ウェブ炎上」だ。

 それで私は反省した。「敵」の話もキチンと全部聞こう。
それで論破されるのなら、それでいい。自分が間違っていたんだ。
自分が未熟だったのだ。謝ればいい。出直せばいい。
そう思うと、フッと肩の力が抜け、楽になった。
 
このブログが目的としている点を明確にしてくれる
良い考えだと思います。
もっと「敵」の本を読まないと。



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