よみびとしらず。

あいどんのう。

クモとカメ

2019-10-10 13:34:22 | 詩(イラスト付)
クモはカメの背乗っかってひっしに伸ばしたクモの糸クモの糸届け空高くあの空の雲に届くまで背を貸したカメはおだやかに迷子のかたわれ探してる地をはいながら 見つからずこんなに探して居ないのならば迷いこんだ先は空の彼方かとカメはクモに背を貸し歌うたうクモの糸届け空高くあの空の雲に届くまで迷い子泣くなよ ねんねこねむれ逆さまの空まで降りてこい . . . 本文を読む

ひのとり

2019-10-08 18:14:15 | 散文
明けの空から現れた宵にまぎれたかつての空と時を交えず重なる朝日あなたはすすみ わたしはとどまるそれでも変わらぬこの空の在処から何度でもよみがえり産声をあげるかなしみよ泣き叫べあの懐かしき光の彼方まで . . . 本文を読む

るーぷ

2019-10-05 00:00:32 | 詩(イラスト付)
世界を憎めとあなたは言った憎みたいならお前が憎めとわたしは言った自分はそんなにやる気ないしお前が憎めとあなたは言ったお前こそ憎め、いやお前こそお前がと繰り返しどちらなりとも分からなくなった明るい太陽の下で喧嘩したあなたに風そよぎあなたは口をとがらせて小さくこぼしただって世界が憎まれたいって言うからさそうやって長生きしたいんだって憎まれっ子は世に憚るのだとそれほどまでにこの世界が大好きだから世界って . . . 本文を読む

MOTHER

2019-10-04 05:22:50 | 散文
母は私の耳をふさいでいいました「世界を憎みなさい」私には聞かせまいとした母の本音を私は 母は 一体どうしたかったのか世界は私に憎ませるべく醜い有り様を次々とさらけ出しますそのたびに重なる憎悪の念と耳をふさいだ母のくるしみその手のぬくもりさえも定かではなくそうしてまでももれてしまった母の思いとそれでも私を守ろうとした母の行為に私はどちらを選ぶべきなのでしょうかとあの日と同じ夜の暗やみに耳をすますあな . . . 本文を読む

リターン

2019-10-03 12:28:17 | 詩(イラスト付)
跳ねてかえった もう何度目のことかは疾(と)うに忘れた繰り返し 繰り返し何度でもわたしはこの大海原へと舞い戻るはね上がった身体につらなる水しぶきは白この身の黒色に染まることもなく水はすくえどもわたしとはならずにわたしからおちるいとえどもこの身に流れるもまた水どこまでいっても離れることのないわたしではないあなたの元までわたしは跳ねる 何度でも息をする意味など疾うに忘れたそれでも光の先にあるあなたの影 . . . 本文を読む

ジレンマ

2019-10-02 15:51:38 | 散文
幸せを願われたあなたは眉をひそめて嫌悪したそんなものを勝手に望むなとわたしの有り様はわたし自身が決めるのだとイガイガにトゲをはりつめたガラスの心割れてしまえばいいものを割れたところで終わることのない平常の世界をあなたは恨んだその憎しみに触るなかれとトゲだらけの身体で世界に立ち向かうヤマアラシ誰よりも誰かを傷つけたくないから弱いからだで精一杯の虚勢を張った馬鹿げた頑張り屋を見て月は笑うカラカラに乾い . . . 本文を読む

ハンナ

2019-10-01 09:05:35 | 散文
ハンナは隠れた空のした青い海のぞく高台に並んだ白煉瓦は光に映えたまさかこのような場所に隠れていようとは誰も気づかなかった明るい町中の陽射しを享受した樹木は揺れるゆらゆらとゆらめく木陰にあくびひとつこぼしたハンナの白い手に白蛇からむようやく見つけた愛しいひとよもう離さぬと白蛇はハンナの手をひく青の海まで穏やかな町中にハンナの声は響かずやさしい歌声は町から消えてあとには太陽の光だけが残された誰も気づか . . . 本文を読む