よみびとしらず。

あいどんのう。

無音

2021-08-09 11:27:23 | 散文
言葉が追いつかず
追い越されたわたしは無口なままで
どこになにがあるのかさえ
手探りだけでは見つかりようのない言葉の壁に阻まれた
同じ言語にバベルの塔は構築されて
伝わるはずだと早合点した
わたしの言葉は空を切る
無口なままで
空は切り刻まれて傷を負う
どこの誰にでも繋がる空のした
その明るい場所で言葉を放った
誰になにを言えばいいのかさえ
分からないままで言葉を飲みこむ
この声に音が無いなどと
わたしの閉ざされた声は内側に響き
遥か彼方の片隅で
覚えた咆哮(ほうこう)に鐘は鳴る


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