よみびとしらず。

あいどんのう。

ソラ

2020-11-24 11:48:15 | 散文
双方、目についた
双眸(そうぼう)ふたつは同じ色して
そのなかの一つだけが空に昇った
時に月となり太陽となり
孤独に抱(いだ)かれたのは残された方の三人ぼっち

あまりにひとりが淋しくて
水に流されるまま残りの三つも産まれ出た
それぞれ海となり光となりて夜となる
はじめのひとつは空そのものとなり
空は追い出されて
空虚な気持ちが空に残された

呼気と吸気は繰り返されて
腹にたまらぬ思いは募る
はじめに目にしたあなたの瞳は
わたしのものとも同じ形した異なるもの
失った世界はさらに広がりあまたに溢れた

鏡は割れてわたしはひとり
孤独になんかなりようのない世界に残されて
ここから追い出された空を追いかける
始まりの空虚さを胸に抱いて
この胸の痛みのためにこそ
呼吸はつづき夜は明ける

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