よみびとしらず。

あいどんのう。

氷解

2021-03-22 00:45:54 | 散文
氷解には痛みを伴うと
誰も教えてくれなかった道理に触れた

痛みを痛みと知らぬまま
いつしか無痛も苦しみとなる

解(ほど)けた氷の溜まりのうえを
少しずつ歩けば日に当たる場所

涙の跡(あと)は後からやってきた

痛みの持ち主は未だ不明の
鈍感になって心を守った誰かさん

だから冷えつづけた足先に
あたたかな布をくるり纏(まと)えば
春の足音は抱かれて
その音の端(は)に
桜色の蕾は開かれる

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