よみびとしらず。

あいどんのう。

音楽

2020-01-01 03:14:37 | 散文
耳をふさいで
耳をすまして
きこえた声と泣き声に
視界はなまくら目をふせた
繊細にふるえる指先は
奏でる音の先を探してる

分かりやすく分かっていることを
分からない振りをしているうちに
いつしか本当にわからなくなった
分かりやすかったことが何であるのかさえも
誰も教えてくれないほんとうのこと
とらわれた先に現実はなく
そこにあるのはただひとり檻に閉じこめられた影法師

うつむいた先に続く道を
駆けおりてみれば海に続いた
それでももがいて進んだ道に
呼吸は続かず海中にしずむ
泳ぎ方は学ばずとも知っていたはずなのに
この重たい身体は海を否定した
そうして生きのびた地上に立ちて
わたしは海に憧れる
ひかれる思いとは裏腹に
みちることなき身体は空を抱きて
その先にある月は笑った
満ち引きてなお未だ届かぬわたしの思いは歌となり
絶えることなき波音と重なり泡となる

耳をふさいで
耳をすまして
鳴る鐘の音に記憶はよみがえる
忘れ去られた全ての先に
懐かしきあなたはこだまする

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