よみびとしらず。

あいどんのう。

サイクル

2021-09-01 12:11:01 | 散文
350度の熱水もごちゃ混ぜにされた
ただの冷たい海水に
嫌な気性は荒ぶった
そして海は長い時間をかけて穏やかに
その毒素すらも生きる糧として許容した
その度に良しと悪しとはくるくると反転し
短気なわたしはいつも苛立ち何も分からなくなって途方に暮れる
帰っておいでの囁きに
耳を傾けるのは悪いことだと誰かが云った
福はうち
鬼はそとというその理も
良しと悪しとはくるくると
海の内側で全てを覆われた
夜と似たような景色のなかにいるあなたはずっと泣いていた
その肌の色の赤か青かも
本当に分からなくなったのはいつの頃からか
見渡せばぐるりは360度の
水よりも熱い光のなかでわたしたちは泣き笑う
素性を隠して全てを忘れて
そして本当に気づかなくなった
わたしの潮騒に耳をすませば
懐かしき空の海の姿は遠くにありて
淡色の月明かりは帰っておいでと海に鳴く

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