よみびとしらず。

あいどんのう。

muzic

2021-03-26 10:16:23 | 散文
わたしは目を閉じて音楽を聴いている
何も見えない目の前の
何にもない景色はなくなった

音楽の力に心は揺れる
前後左右には飽き足らず
1000年前から明々後日まで
時を隔てず身体を隔てて
わたしとあなたは重なった

あなたの性格の悪さにリズムを刻み
わたしは腹黒い翼を広げた
空にあるのはただの空の色
そこにあなたの掴みそこなった言葉はとろけて
あなたの音楽はあなた自身になり変わる
目にはうつらぬ色とりどりの
翼は行き交う
空も飛べないわたしたち

選(え)り好みされてきた明るい音楽に
牙をむき噛みついてわたしの悲しい音楽は生まれ出(いづ)る
その音の行方はあなたの空に
誰も手付かずのまま解き放たれて
かたちを持たずにあなたを探した
わたしを見つけた春の空、から
カラカラと
喉は渇いて水を求める
音楽は身体に沁(し)みわたる

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