よみびとしらず。

あいどんのう。

R e

2021-03-29 10:23:31 | 散文
ようやく抜け出してたどり着いた朝に
あなたは悔しくて涙を流した
わたしは代わりに俯いて
生まれ落ちた罪を懺悔する

生まれてきてごめんなさいと
誰も望んでいないその言の葉の
本質は誰もが受け継いできた透明な檻のなか

鍵では開かぬ扉の鍵を携えたままその鍵を求めて
青い鳥は悠々(ゆうゆう)と空を飛ぶ
愚かなひとに捕まらぬようにと
空と同じ色に染められた青色の翼は
人々を魅了してその内側に囚われた

困ったものだと神様も
何度も始まりを繰り返し途方に暮れる
暮れなずむ空は海を求めて
その全てに覆いかぶさるも
どこまでも海には届かずにいた
抱きしめた腕のなかにあるのはあなたの香りのみ
そのため息に海は荒れたる
海もまた求めていた
どうかその空に届くまで

叶わぬ思いは何もかも
流行り廃りのよくある話
1000年の昔からついぞ変わらず
わたしはあなたを追い求めている
生まれ変わりも神隠し
ことの次第も姿を変えて
わたしたちは珍しくなった在り来(きた)り

嘘も本音も全ては幻の露(つゆ)となり
御伽噺は繰り返されて空に散る
神様の居場所も知らぬまま
色とりどりの光に覆われた街に雨は降る
あなたの姿も知らぬまま
また始まりの夜は明ける

最新の画像もっと見る

コメントを投稿