少しずつ枯れていった
あなたに似合いのあの花に
きれいな水を分け与えたあなたの
すみわたる歌声をいつまでもきいていたかった
思いは溢れすぎて枯渇した
しわがれた声には真実のカケラもなく
かわした約束はついぞ守られたためしなし
かすれた声のかそけきすき間に
ただそれだけを乗せればよかったものを
たった一言そのひとこえを
乾いた風は痛みをはこび
しだいに喉元は熱を帯びてはれあがる
ただあなたに愛されたかったと
あの日言えなかったわたしの声は
いまなおとどまるわたしのなかに
声をなくした以前より
人魚姫の歌声は伝わることなく
ただ波音だけがこだました
あなたの海はどこまでも広がり
わたしの言葉はとどかない