よみびとしらず。

あいどんのう。

pain

2018-09-08 14:33:46 | 散文
胸の痛みの重ねに雲光り
あの日教えてくれていたはずの涙は
にわか雨
鳥は未だ空を飛び
太陽の瞳は矢を放つ
駆ける水に日溜まりはこぼれ
心を射られた魚は岬をついの住処とする
最果てを目指す鳥は霞かかりたる空に迷い子
雨降りてなお休むことを知らず
飛び続けた空はやがて晴れわたり雲は流れる
痛み無き喧騒はどこまでも離れず
あの青い海の穏やかなる潮騒に
船漕ぎいだした人の影
最果てを目指した鳥は迷い子
岬住む魚は空を仰ぎ月の光のかなしみに
胸の痛み知る夜の風
迷い子の鳥は喉もかれ声も出ず
鳥のかわりに魚は歌う
誰の顔も見ない喧騒は周りを顧みることなく力強く
魚の歌声はかき消される
その美しき魚の調べを
胸の痛みだけが知っていた

最新の画像もっと見る

コメントを投稿