日本人の2人1人ががんにかかり、3人に1人はがんにより亡くなるといわれているが、日頃の食生活がどのようにがんに影響するかは意外と知られていない。がんリスクが増える食材もあれば、がん予防の効果を発揮する食べ物もある。
たとえば、野菜。どんな野菜ががん予防に効果を発揮するのだろうか。秋津医院院長で著書に『がんにならないのはどっち?』(あさ出版)などを持つ秋津壽男さんはこう話す。
「アメリカ国立がん研究所が1990年に発表した『デザイナー・フーズ・プログラム』によると、ビタミン類の多い、緑黄色野菜はがん予防にいいとされています。とりわけカロテンの多いにんじん、ビタミンCが豊富なブロッコリーが高い評価を受けています。にんにくやしょうがといった香味野菜、食物繊維が豊富なセロリ、キャベツも予防効果が高い。これらをバランスよく取り入れましょう」
では、果物ではどうだろうか。
「これも、『デザイナー・フーズ・プログラム』の指標に基づくものですが、ビタミンCを豊富に含んだグレープフルーツやレモンは予防効果が高いとされています。ただ、個々の果物や野菜とがんの関係はまだ明らかになっていない部分もあります。あまり気にせず好きな果物を食べてもOK」(秋津さん)
そして、乳製品ならヨーグルトが予防効果を持つという。
「ヨーグルトは乳がんを誘発すると言われていますが根拠はありません。乳酸菌などの善玉菌が含まれ、腸内環境を整え免疫も上がるので、食べることでがんになりにくい体に。チーズも栄養バランスはいいですが、プロセスチーズなどは塩分も含んでいるので、摂りすぎはがんのリスクを高くします」(秋津さん)
栄養価の高いナッツ類を体にいいとおやつにする人もいるが、ピーナッツは発がん性が高いとの話も。これは本当なのか?
「ナッツ類はピーナッツをはじめ、アーモンドなどのナッツ類に付着するカビがアラフトキシンという強い発がん性物質なんです。ピーナッツは輸入物も多く、多く摂取しすぎるとがんを引き起こすので注意して」(秋津さん)
n-3系脂肪酸が多く含まれ、がん予防が期待される青魚。でも、魚の焦げはがんリスクを上げるってホント? 国立がん研究センターの笹月静さんはこう説明する。
「焦げに含まれるヘテロサイクリックアミンは、発がん物質であるとわかっています。ですが、大量に焦げを食べなければ心配しなくても大丈夫」
飲酒によるがんリスクは男女で違いがあるという。
「男性に比べると女性は体も小さく、飲酒の影響を受けやすい傾向に。そのため、少量でも病気になる確率が高くなります。お酒をたくさん飲む女性は、まったく飲まない人に比べて乳がんのリスクが1.8倍に。飲酒はほどほどに」(笹月さん)
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体内に入るほとんどの物質を代謝するのが肝臓だ。秋津医院院長で著書に『がんにならないのはどっち?』(あさ出版)などを持つ秋津壽男さんはこう説明する。
「肝臓は人体にとって有害な物質を分解し、体外へ出す役割を果たしています。アルコールはもちろん、食品に含まれる有害物質なども解毒していくので、日々、活発に動いています。そこへアルコールを多量摂取して、余計な負担をかけると、肝臓に負担をかけ、結果、がんへとつながっていくのです」(秋津さん)
では、ビールとワイン、どちらがよくないのだろうか?
「肝がんはアルコール度数ではなく飲酒の量によります。少量でも毎日飲んでいれば肝臓に負担がかかります。ビールであれば大瓶1本、ワインはグラス2杯程度にとどめておきましょう」(秋津さん)
また、肝がんは肝炎ウイルスの感染による発生率も高く、飲酒していなくてもかかりやすいがんともいえる。