黄昏人生徒然日暮らし

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読書「阿弥陀堂たより」より心に残った言葉 その3

2018-07-06 | 読書
南木圭士 著   文藝春秋


心の病になった著者が書くことで病から助かりたいとの思いから、著者自信を主人公の女医に置き換えて小説にしたもので、心に残った文章を引用(太字)し、コメントしました。

「病む前には快適であったはずの人が人のために創り出した環境は、人間不信に陥った今、彼女の精神を逆なでするものに変質していた。そこに人間の意図が見てとれると公演の樹木や噴水さえも美智子をいらだたせた。見た目の美しさや合理性ばかり追求された人工建造物のレイアウトには、弱い心の存在をなきものにした健康人たちのおごりが感じられました。それに気づいてから、美智子は東京を逃げ出すことばかり考え始めた。」

(コメント 自然を壊して経済性・合理性最優先に作りだしたコンクリートジャングルは健康人でも疲れるし落ち着かないので心の病になった人には辛いでしょうね、静かで自然が豊かな土地に逃げ出し環境を変えるのが一番の癒しなのでしょう。)

「治ったのではなく、時が彼女の心身の病の状態に慣らしてくれただけなのかもしれない。発作のたびに美智子とともに疲れきっていた孝夫は、いつしかそんなふうに考えるようになっていた。肯定の意味でのあきらめこそが最高の薬らしかった。」
(コメント 行き着くところは開き直るしかないのでしょうか。)

「木や草の香りと野鳥の鳴き声にみちていた。こうしてわが身一人歩ますことができれば他に多くは望まない。心の病に悩まされた東京の生活を思い出しながら、美智子は自分の影につぶやきかけた。」
(コメント) 解りますね。病気の時は痛みも苦しみもなく普通に生活できるだけで有難さを感じるのですが、普通の生活になるとすぐに不平不満が出てくるのが普通の人間でしょうか。
原作を何回も読み、映画を視て美しい日本の原風景あふれるDVDを購入し何回も視聴し、本も心が疲れると読み直しています。、
原作の舞台は群馬ですが、映画は長野県飯山市で撮影され、映画のタイトルになった阿弥陀堂のオープンセットには4回ほど立ち寄りました、縁側に座り棚田の彼方の妙高山を眺めのんびりした静かな時間を過ごしたことが思い出されます。


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