日本共産党 佐藤伸ブログ

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区議会で代表質問をしました ~第1回定例区議会

2012年02月29日 | 日々の活動など

本日行われた定例区議会で日本共産党区議団を代表して質問をしました。

 タイトルは「 区内経済と区財政に好循環を生み出す区政に」

 

質問項目は主に以下の4項目です。

・区内経済と区財政の好循環を生み出す新年度予算に

・アジアヘッドクォーター特区は大田区になにをもたらすか

・みんなで支える持続可能な介護保険制度について

・区民の命と財産を守る防災対策について

質問全文です。

日本共産党区議団を代表して質問します。
 初めに、区内経済と区財政の好循環を生み出す新年度予算について質問します。
 政府・民主党野田政権は、消費税を再来年、2014年に8%、2015年に10%にする大増税を推し進めようとしています。一方で、この間、財政危機のもとでも富裕層や大企業には減税が繰り返されてきました。この優遇と不公平を正さず、消費税に財源を求めるやり方は亡国の道です。今回の消費税大増税計画は、無駄遣いを続けたままの大増税であること、社会保障の財源と言いながら、社会保障切り捨てと一体の大増税であること、日本経済も財政も破綻させるという大きな問題があります。
 中小企業は赤字でも、売り上げが年間1000万円を超えると消費税を納めなければなりません。区内で町工場を経営される方は、消費税を納めるために自宅を売却してアパートに転居しました。今でも大変なのに、消費税が10%に増税されたらもう商売はやっていけないと怒っています。区内の中小企業、業者への影響は深刻です。
 日本共産党は2月7日、社会保障充実、財政危機打開の提言を発表し、所得の少ない人ほど重い最悪の大衆課税制度、消費税に頼らない社会保障制度の再生、拡充を進めながら、財政危機打開を進める提案を行いました。社会保障をよくする第1段階として、自民党、公明党の小泉構造改革路線で大きく崩された社会保障再生に直ちに着手し、2010年代末までの達成を目指します。財源は、大型開発や軍事費、原発推進予算、政党助成金などの税金の無駄遣いの一掃と、富裕層、大企業優遇の不公平税制を見直すことで確保することを提案しています。不公平税制の是正の問題では、アメリカ、フランス、イタリアなど、欧米諸国で富裕層への課税強化をする政府の方針が打ち出されています。私たちは億万長者に優しい議会に甘やかされてきた、自分たちに課税強化をと、世界最大の投資持ち株会社バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットCEOが声を上げるなど、世界的な流れになりつつあります。
 消費税の10%への増税は年13兆円もの負担増となり、特に中小零細の事業所が多い大田区にとって、中小企業、業者が価格に消費税を上乗せすることが困難な中、区内経済と中小企業、業者に壊滅的な影響を与える可能性があります。中小企業のまち大田区の区長として、消費税増税反対の明確な態度表明を求めます。お答えください。
 さらに、政府は、消費税増税と一緒に社会保障の大改悪を進めようとしています。内容は、年金支給額の引き下げ、年金支給年齢を68歳から70歳への繰り延べ、70歳から74歳の医療費の窓口負担を1割から2割への負担増、年齢で差別する後期高齢者医療保険料の値上げ、介護保険料の引き上げ、保育では公的責任を投げ捨てる子ども・子育て新システムを導入など、暮らしも、経済も、財政にも大打撃を与える内容になっています。
 4月からの区民の負担は平均年額で、後期高齢者医療保険料が8731円、介護保険料9600円、国民健康保険料798円の増となり、1人当たり1万円以上の負担増となります。消費税増税、さらに社会保障の大改悪は区民の暮らしを直撃しようとしています。こんなときだからこそ、区独自の軽減策をとると同時に、国に対し、社会保障の負担増計画の中止を求めることです。お答えください。
 今、区民の暮らしと営業は大変です。大田区の基幹産業である中小企業、町工場は、世界同時不況から抜け出せず、1990年代からのバブル崩壊で、この20年間景気は戻らないばかりか、大企業などから加工単価切り捨てと海外発注、鋼材の値上げなどによって区内企業の倒産、廃業がとまらず、直近の2010年度で見ても、区内の負債額1000万円以上の倒産は94社、従業員494人、負債額は134億2400万円で、1人、2人の町工場の倒産や廃業はこの数字には含まれていません。
 この間、区内企業の製造品出荷額は2010年で7795億8700万円で、最高時の1兆9000億円から比べると製造出荷額の激減は驚くべき実態になっています。区民の収入は減り続け、2010年の区民の平均勤労者所得は前年比マイナス22万円の386万円で、同じく営業等所得は前年比マイナス18万円の416万円となっています。生活保護は、昨年12月現在1万2564世帯、1万5997人と区民43人に1人が生活保護受給者となっており、今後も社会保障改悪やそれに伴う消費不況の拡大と相まって急増することが予想されます。新年度予算からも、歳入で特別区税は前年度比14億円余の減、特別区交付金は94億円余の減で、区民と企業が消費不況の大きな影響を受けていることが数字の上からもわかります。こんなときこそ、身近な大田区が区民の暮らしや営業を守る地方自治体本来の役割を果たすべきです。
 新年度予算案は、総額2264億4000万円余で、前年度比44億3000万円余、1.9%の減額予算となりました。区長は、今年の1月4日に行われた新春のつどいでの挨拶で2012年度予算編成に触れ、社会保障関係費の増大、待機児解消施策や防災力の強化、道路や橋梁の維持・更新にかかわる経費など、財政需要が増大する一方で、特別区民税などの基幹財源が3年連続減少するという厳しい状況の中で、昨年に続き、一般財源で5%マイナスシーリングを掲げ予算編成を行っていると表明されました。予算の概算要求に当たって、前年度よりマイナス5%予算を要求限度として予算編成を行ったことで、区民の暮らしや営業にかかわる分野に昨年に続き大きな影響を与える予算になっています。
 新年度予算案には、小児救急支援事業、高齢者肺炎球菌ワクチン助成の拡充、都市型軽費老人ホームの整備、(仮称)障がい者総合サポートセンターの設置・建設、待機児童対策の充実に認可保育園建設、耐震診断、耐震助成事業の拡充、区立保育園、民間保育所、福祉避難所の防災備蓄物品の確保など、区民の声や党区議団の提案にこたえたものであり、評価できるものです。
 しかし、新年度予算案は全体として、政府が進める暮らしと経済破壊の政治に追い打ちをかける内容となっています。第1の特徴に、暮らし、福祉、営業切り捨ての予算となっていることです。福祉費は前年度比19億円余、1.66%の増ですが、その主な内容は生活保護費が19億円余の増です。その一方、今年度も多くの事業が縮小、廃止になりました。
 まず、民間賃貸住宅が老朽化し、取り壊しなどで転居を余儀なくされた高齢者、障がい者、ひとり親家庭の社会的弱者支援となっている住み替え家賃助成が廃止されました。高齢者を支えるネットワーク、高齢者見守り体制の充実が図られたのは前進ですが、電話訪問は廃止、福祉電話、準福祉電話は大幅に減らされました。ひとり暮らしの高齢者の生活見守りに役立ってきたのですから、高齢者の安心のためには二重の見守りのシステムをつくるために継続すべきです。出産こども一時金は、国保の4万円増の常設化を理由に廃止となりました。実施してきた23区中5区のうち、大田区を除く4区は継続するのに、大田区のみが廃止で少子化に逆行することになります。生活保護受給者への入浴券を50枚から30枚にし、1週間に1回分の入浴券を配布していたのを、2週間に1回分にすることは、人権上も問題です。憲法25条で保障された最低限度の生活を営む権利を有するにも反します。大田区より10枚多い60枚を支給している特別区16区も、来年度、今年度と同様に実施予定なので、むしろ配布数を増やし拡充すべきです。
 また、産業経済費は、前年度比で5000万円余、0.55%の増ですが、その主な増加分は、東糀谷六丁目工場アパートの借り上げ使用料の1億9000万円余です。この工場アパート分の増加にもかかわらず、産業経済費は33億円余で、予算全体のわずか1.47%です。この予算では、不況に苦しむ区内のものづくり製造業は守れません。
 区長は、予算案の編成に当たって、区民生活や区内経済を守り抜くとともに、区の未来に向けた歩みを着実に進めると述べていますが、暮らし、福祉、営業切り捨ての予算案となっていて、区民の生活は守れません。福祉費や産業経済費の増額こそ求められます。お答えください。
 第2の特徴に、民間でできるものは民間へと、外部委託、アウトソーシングで民間委託、指定管理者制度を進め、多くの官製ワーキングプアをつくり、特別区民税の減収の原因となっていることです。本日、民主、自民、公明党などが提出した国家公務員給与を引き下げる法案が参院で採決され、日本共産党は反対しましたが、賛成多数で可決されました。背景には、消費税増税に国民世論を誘導するために、公務員給与を再来年まで削減することがねらいにあります。これは、公務と民間の賃下げ競争をもたらし、国内需要をさらに冷え込ませ、デフレの悪化を招くことになります。経済を悪化させ、財政も破綻させる道であり、断じて認められません。国に対し、さらなる賃金引き下げ競争をやめるよう求めることです。
 今行われている賃金を下げたり、非正規雇用を増やすことや、下請や納入業者の単価を引き下げることは、個々の企業にとってはコストを減らし、企業の体力が強化されるように見えます。ところが、日本中の大企業が同じことをやれば、国民の所得は大きく減り、経済の約6割を占める家計消費を冷やし、不況の悪循環に陥ってしまいます。大田区が行っている民間委託や指定管理者制度も、先に述べた悪循環を区政に持ち込んでいます。
 民間委託の問題では、2003年当時、区立区営保育園60園、私立保育園15園でしたが、現在は、区立区営保育園は45園、私立は29園です。区の計画では、将来的に区立区営保育園は18園になり、区立と私立の保育園数は逆転します。今、民間に委託された保育の現場では様々な問題が起きています。中野区で退職強要をして裁判に訴えられているピジョンハーツは、大田区で3園の保育園を運営していますが、1つの園では昨年度9人が退職し、今年度も既に5人が退職しています。職員が定着せず被害をこうむるのは、働く労働者と子どもたちです。
 同様に、不安定雇用を生み出す指定管理者制度は103施設になりました。大田区は委託の理由を、民間のノウハウを活用する、サービスがよくなると説明していますが、働いている人の多くが不安定雇用と低賃金のワーキングプアであり、結局、大田区が大量に生み出した低所得労働者によって支えられています。これでは区民の所得が減り、区民税の減収をつくり出すデフレスパイラルを大田区みずからがつくり出していることになります。今、大田区がやることは、このデフレスパイラルからの脱却と抜本的な転換をすることです。
 一方では、賃下げに対して、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する公契約条例の運動が広がっています。条例制定は、千葉県野田市や多摩市、川崎市や相模原市で施行されています。経済の悪循環をなくすためにも、民間委託や指定管理者制度の外部委託、アウトソーシングをやめ、行政責任を明確にして、区民の所得の引き上げを進めるべきです。また、大田区でも公契約制度の条例を制定するよう求めます。お答えください。
 第3の特徴は、区民には財政が大変と言いながら、大規模開発は聖域にして大幅な予算増になっていることです。都市整備費が前年度比33億円増、27.13%の増で、款別で最大の伸びとなりました。区税収が伸びない中、区財政に大きなしわ寄せになっています。
 特に連続立体事業費の京浜急行関連駅周辺のまちづくり事業で、前年度比38億円余増、85.5%の増となっています。その中身の一つ、京急蒲田駅西口再開発が2013年度着工となり、本格的な立ち退き、解体に向けて計画が進められていますが、総額190億円の半分近くが国や東京都、区の負担となり、来年度以降さらに区財政を圧迫することになります。加えて、蒲田駅周辺のまちづくりに4905万円、大森駅周辺のまちづくりに1946万円、新空港線蒲蒲線整備促進事業には1047万円と続き、さらに空港跡地に係る調査に2290万円、国際戦略総合特区推進事業に400万円と、調査や計画だけでもこれだけあるのに、本格実施されると莫大な税金投入になります。
 区民生活にはマイナス5%シーリングで減額予算を組みながら、一方で、大型大規模開発には大きく増額予算を組むことは許されません。区財政を圧迫する大規模開発は見直し、区民の暮らし、福祉、営業支援優先の予算案にすべきです。お答えください。
 文部科学省は昨年、小学校1年生に続いて、小学校2年生まで35人学級の導入を決めました。このことは、長年の教職員や多くの関係者、そして日本共産党も一緒に運動した大きな世論の結果です。しかし、大田区では、今年度、年度途中で混乱するとの理由でティームティーチングで対応し、少人数学級を積極的に導入しませんでした。少人数学級の効果は、文部科学省の資料でも、不登校の出現率や欠席率が下がる、きめ細かな指導が可能、授業参加がより積極的、個別の指導の充実などが挙げられています。そして、適切に対応して子どもたち一人ひとりに質の高い教育を行えるようにするために、少人数学級の実現が強く求められていると結んでいます。
 大田区でも、小学校2年生までの少人数学級の導入について、空き教室がないなどの準備不足が起こらないように各学校と緊密に連携をとり、少人数学級を進め、子どもたちに行き届いた教育環境を整えることを求めます。また、小中学校の全学級を少人数学級にするよう国に求めるとともに、大田区でも予算措置を行うよう求めます。お答えください。
 さらに、新年度予算では、未来へ輝くまちづくりと述べていますが、国に追随して、区民への負担増に追い打ちをかけた予算案では、経済の活性化につながらず、とても未来へ輝く展望が見えません。日本共産党は、社会保障の再生、拡充と同時並行で、国民の所得を増やし、経済を内需主導で安定した軌道に乗せる民主的経済改革を行い、日本経済の好循環への転換を提案します。
 そのために、人間らしく働ける労働のルールを確立し、国民の所得を減らす雇用政策から、安定した仕事を保障し、所得を増やす雇用政策へ転換する。二つ目に、中小企業を日本経済の根幹にふさわしく位置づけ、本格的な振興策を実施する。三つ目に、農林水産業を再生させ、食料自給率を抜本的に引き上げる。四つ目に、原発から撤退し、自然エネルギーの普及と低エネルギー社会の転換を進める。五つ目に、安心の子育て社会を目指し、少子化問題の危機を打開するなどの提案です。無駄を一掃する財政改革、富裕層と大企業に応分の負担を求め、応能負担を貫く税制改革、ルールある経済社会を目指す経済改革を段階的に、また一体的に進めることこそ、社会保障の再生、充実、財政危機打開に向けた財源をつくり出すことができます。
 区長、国民の所得を増やし、経済を内需主導で健全な成長の軌道に乗せる民主的経済改革で、日本経済の好循環への転換の道こそ、未来への持続的な発展の道です。そのために区政の転換を求めます。お答えください。


 次に、アジアヘッドクォーター特区は大田区に何をもたらすかについてです。
 昨年、東京都が国に申請したアジアヘッドクォーター特区が、国の国際戦略総合特区として指定を受けました。外国企業を500社呼び込む、都市再生とは名ばかりで、オリンピック誘致のための開発で、都民の暮らしには何の利益にもつながらないことは明らかです。大田区では、空港跡地が指定地域になり、国有地となっている跡地の取得の減額、展示場と産業交流施設を建設する際の優遇措置によって、跡地計画を進める大田区の財政負担の軽減が見込まれることが大きな特典です。しかし、取得を有利にするにも国有財産特例措置法の改正がなければ実現できません。
 区は、海外企業と区内中小企業とのビジネスマッチングなど、新市場や新技術の創出に活かしていく、特区構想を利用して空港跡地計画を進めていくことが大田区の活性化につながるとしています。野田内閣は、国内企業が海外に逃げていかないようにと大企業優遇の法人税減税を進め、さらに外国企業を呼び込むために減税措置をする特区構想を全国で進めていますが、内閣府が昨日、28日に発表した企業行動に関するアンケート調査報告書によると、企業が海外へ進出する最大の理由は、「進出先の需要が旺盛または見込まれる」で、「税制、融資などの優遇措置がある」と答えた企業はほとんどありませんでした。どんなに大企業や外国企業に優遇措置をしても、国内需要の活性化がなくては、国内産業の空洞化に歯止めをかけることはできません。
 区内のものづくり産業の再生はもう一刻の猶予も許されない状況にあります。2010年度の大田区の製造業の出荷額は板橋区に抜かれ、東京都内で2位となってしまいました。第4回定例会で日本共産党区議団が、空港跡地開発計画を見直して、その財源を区内中小企業への直接支援にと求めたところ、区長は、今なすべきこと、将来に向けてなすべきことを見据えながら政策展望を図ってまいりますと答弁されました。しかし、区内中小企業の倒産、廃業は後を絶ちません。これでやるべきことをやっていると胸を張って言えるのでしょうか。
 対象事業所100社のものづくり経営革新緊急支援事業の継続実施を拒み、十分な支援策も行われない中で、世界にも誇る大田区のものづくり、製造業の産業の集積を守ることはできません。特区に指定されたことだけでは、現状の区内の景気低迷を改善するし、活性化にはなりません。大田区が産業経済部の職員も増やし、区内ものづくり製造業を活性化するには何が必要なのか、悉皆調査などを絶えず行っていくべきです。商談会、海外の企業とのマッチングについては、産業振興協会、産業プラザPiOの機能をさらに強化することです。また、従業員10人以下のものづくり製造企業は9割を占め、その支援のための政策を国に求めることも大田区としての重要な仕事です。
 また、羽田空港跡地は、アジアヘッドクォーター特区で唯一自治体である大田区が提案していますが、他指定地域で提案、参加している不動産、ビル経営、交通、建設などの大手大企業が跡地計画に参入してくる可能性は大いに考えられます。羽田空港跡地計画にも民間企業の参入が提案されていますが、区民の財産である跡地に区民の税金を投入し、結局は大手ゼネコンや大企業のもうけになりかねません。アジアヘッドクォーター特区構想について、区は今後10年程度で一定の整備を目指すとして、調査や研究に人員も財政もつぎ込もうとしています。しかし、今すべきことは、区内中小企業へのものづくり経営革新緊急支援事業の実施や産業施策の強化です。世界に誇る大田区のものづくり・製造業の産業集積を守るべきです。お答えください。


 次に、みんなで支える持続可能な介護保険制度についてです。
 2012年度から2014年度までの第5期介護保険事業計画の策定が進んでいます。昨年の12月には、第5期大田区介護保険事業計画概要案が示されました。中身を見てみますと、介護保険事業用の見込み額を2009年から2011年度の第4期の約1101億円より約190億円増の1291億円になる試算を行っています。その要因に、高齢者人口の増加により要介護者が引き続き増加すると見込んでいることが挙げられています。高齢化に伴う介護サービスへの需要に対する財源確保が介護保険事業の緊急課題になっています。この事態に対して、昨年の第3回定例会、第4回定例会で、日本共産党区議団は国に対し国庫負担の引き上げを求めるよう提案しましたが、高齢福祉担当部長の答弁は、財政負担の割合やサービスの内容など法令で定まっているため、国庫負担の引き上げを求めることは困難であると考えているというものでした。現在、法令によって居宅給付費、施設等給付費、介護予防事業費、包括的支援事業費の4事業において、国の負担割合は平均で24.8%ですが、将来的に介護保険制度そのものを持続可能な制度と考えると、国の役割発揮がどうしても必要です。
 介護保険を持続可能な責任ある制度とするために、大田区は介護保険者として実態を国に訴え、財源措置を求めることは当然です。また、その際、法令の壁が問題となるならば、実態に合致しない法令の改正こそ求めるべきです。お答えください。
 2012年度は介護報酬の改定が行われます。厚生労働省社会保障審議会介護給付費分科会は、4月以降の介護報酬を前回改定に比べて1.2%の引き上げを決定しました。しかし、これまでの全額国費で負担してきた介護職員の処遇改善交付金を廃止し、介護労働者の賃金引き上げ分を介護報酬に組み込んだため、実質0.8%のマイナス改定になりました。改定案では、生活援助の訪問介護の提供時間を、現行の30分以上60分未満、60分以上の区分を、20分以上45分未満、45分以上に短縮しました。現状では1回90分が事実上の上限ですが、改定後は60分程度が上限になり、約30分の大幅削減になります。生活援助時間の短縮は、ホームヘルパーが行う調理、掃除、洗濯、買い物などの生活援助の提供時間の実態調査を民間会社に国庫補助事業で行わせましたが、調査は計測もなく、記録に基づかないずさんなものだったことがわかり、その上、調査をめぐる不明朗な補助金交付が国会でも問題になりました。大体、大幅時間削減には洗濯時間を平均16.6分などという結果が出ています。16分で終わる洗濯機などない、実態とかけ離れている、生活援助は決められたことをただやればいいというものではありません。利用者さんを主体に、状態や要求に合わせて行うものです。今でもコミュニケーションをとる時間がなくなっているのに、これ以上短縮されたらお話しすることさえできなくなると、区内の介護事業所からも批判の声が上がっています。
 今回の改定は、効率化、重点化の観点から、コストの高い施設から在宅へ、医療から介護への流れを強めています。介護給付費を削減するために無理やり在宅を進め、一方では生活援助を短縮する手法は、介護難民を一層増やすものです。介護事業所の経営を圧迫し、介護労働者の賃下げを招き、現場での人材不足に拍車がかかることにもなります。公的負担を引き上げ、利用者負担が増えないよう配慮しながら、報酬を抜本的に改善することが求められます。
 今でも保険料あってサービスなしと言われる介護保険が、報酬改定によってさらなるサービスの低下になります。区民の介護環境を守るためにも、大田区として今回の介護報酬改定に反対し、国に対して意見を述べるとともに、改定、後退された事業への大田区独自の施策を行うことを求めます。お答えください。
 次に、保険料についてです。介護保険制度は、現状では給付費負担割合が定められているため、保険給付費が増えると、それに伴って被保険者の負担割合も増加します。第5期事業計画では、第4期よりも約183億円増の1259億円の介護保険給付費を見込んでいます。区は、介護給付費準備基金の取り崩し、東京都の財政安定化基金の活用に加え、保険料の所得階層設定を第4期の13段階から15段階制に変更しました。その結果、本人が特別区民税非課税の方で、年所得が80万円を超え125万円以下の方の保険料基準額で、第4期の月額4100円から4900円に引き上げ、月額800円の値上げとなりました。
 第1号被保険者の方で、今回の事業計画で示されている最高所得段階、第15段階、年所得2500万円以上の方は区内に942人いらっしゃいます。うち1億円以上の所得の方は112人です。最高所得の方は、41億2100万円です。第15段階の保険料は全員年額17万20円ですから、1億円の所得の方の場合、保険料の所得に対する負担率が0.17%、最高所得の方で、所得に対する介護保険料の負担率は0.004%となります。第6段階基準額の場合の負担率5.88%と比較すると、所得の高い階層は驚くほど少ない負担になっています。
 保険料に応能負担の原則、負担能力に応じた負担の原則に基づき、累進課税を強化する仕組みを大胆に導入することを提案します。例えば、第15段階の保険料を所得に対して4.75%に設定すると、第1段階から第4段階の方の保険料を無料にすることができ、さらに第5段階から第14段階の方の保険料の増加を抑えることができます。こうしてこそ、みんなで支える介護保険制度になるのではないでしょうか。階層のさらなる細分化や、高額所得者層の保険料を定額から定率方式への見直しを求めます。お答えください。
 介護保険分野での最後の質問です。第5期介護保険事業計画での施設サービス見込み量では、特別養護老人ホームへの入所者見込み数を2012年度は1857人、2014年度は1873人と、3年間で16人しか増えないと見込んだ計画になっています。来年度から2施設144床分の特養ホームが新たに開設されますが、2012年から2014年度の3年間は新たな特養ホームの建設のない計画です。現状でも1600人前後の特養ホーム待機者が大田区内で常態化している中で、事業計画が示すように、さらに高齢者が増え、待機者が激増することが予想されます。おおた未来プラン10年では、特養ホームの施設整備計画を10年間で160床以上としていますが、実態に即した施設整備計画の抜本的拡充が急務です。このことは、区内の仕事と雇用を増やすことになり、税収も増えることになります。特別養護老人ホームの施設整備計画を抜本的に拡充し、大幅増設することを求めます。お答えください。


 次に、区民の命と財産を守る防災対策についてです。
 大田区は、昨年の東日本大震災を受けて、区内の各分野の方が委員になった大田区総合防災力強化検討委員会を設置し、1月に報告書が出されました。報告書の目的でも挙げられているように、東日本大震災での経験と教訓を真摯に受け止め、首都直下地震に備えることは防災力強化にとって必要なことです。区長も検討会での議論を受けて、区ではこの報告を、地域防災計画をはじめとする各プランや施策、事業に反映させ、大田区の防災力を高めてまいりますと、昨年の第4回定例会の開会挨拶で述べられました。
 しかし、新年度予算案では、区立保育園、民間保育所、福祉避難所における防災備蓄品の確保に1180万円、防災意識の啓発、防災体制の推進に255万円、蒲田駅周辺での帰宅困難者対策に312万円、被災地支援ボランティア調整センターの運営に5701万円など、新規事業への予算計上はありますが、防災対策費で前年度9億3500万円余から8190万円余の減額の8億5300万円余となるなど、防災関連の予算は減額となり、防災対策事業が後退しています。
 象徴的なものに、家具転倒防止器具の支給事業があります。今年度800世帯が対象でしたが、新年度予算案では300世帯へ大幅に対象世帯を減らしました。東日本大震災の教訓に立てば、防災対策予算を大幅に増額し、区民の命と財産を最優先に守る施策を拡充、強化すべきです。震災後、大田区が支援している東松島市の阿部市長が職員の人員削減を悔いて、災害時に大きな役割を果たすのが市職員のマンパワーであること、人は宝を今回の震災の教訓としていることを学び、職員削減計画を撤回すべきです。
 昨年、日本観測史上最大のマグニチュード9.0の東日本大震災の教訓を真摯に受け止めるならば、防災関連の予算を全体として減額し、被災自治体が教訓としている職員の確保をせず、今議会でもさらなる人員削減を進めることは許されません。被災時に大きな力を発揮するマンパワーを区民への地域力に求めるのではなく、大田区として確保し、防災関連予算の大幅拡充を求めます。お答えください。
 狛江市では、新年度予算案に一般会計予算245億円余の約5%に当たる12億8000万円余を防災施策に充てました。内容は、庁舎の耐震化と防災センターの併設工事を進めることや、中学校の耐震補強工事などです。また、保育園の改築工事も実施しますが、学校施設はこれで耐震化をすべて完了し、保育園は今後4年以内に改修等の工事が終わる予定となっています。
 区内の小中学校の耐震改修工事はすべて行われていますが、保育園や児童館など、児童施設の耐震改修工事は完了していません。大田区公共施設整備計画によると、計画的な改築などの検討を順次進めていきますとあり、明確な年次目標など示されていません。保育園や児童館などの児童施設や、高齢者や障がい者が使用する福祉施設など、区民施設を最優先にした耐震化及び改修整備計画の見直しを求めます。また、今年オープンする大田区総合体育館の災害時の避難所や物資の集積所などの活用が求められます。お答えください。
 東日本大震災を受けた津波対策として、横浜市は3月末までに、沿岸部を中心とした海抜10メートルまでの約7700か所にステッカー、避難の目安となる海抜の表示を始めています。区長は、昨年の区長選挙後の都政新報のインタビューに答え、区長選での公約、災害対策の見直しに触れ、これまで想定外だった津波も想定しなければならない、例えば多摩川河川敷を広域避難場所に指定しているが、津波の場合どうなるのか、区民にとってわかりやすい防災計画でなければならない、都の見直しを待つのではなく積極的に進めたいと抱負を述べられましたが、津波対策の抜本的な見直しと、横浜市などが行っている海抜表示標識の設置を求めます。お答えください。
 東京電力は、福島原発の事故で電力供給不足を理由に、まず企業や団体を対象に電気料金の値上げを行う計画です。85の店舗のうち、区内に15店舗の支店を持つ城南信用金庫は、技術的に困難な8店舗を除く77店舗が、1月から特定規模電気事業者、PPS大手のエネットに電力供給契約をすることに切り替えました。渋谷区は1月から本庁舎などで導入し、世田谷区は来年度からやはり本庁舎での導入を目指し、練馬区でも来年度から区立小中学校など123施設での導入を予定しています。文京区も、区庁舎が入る文京シビックセンターについて、新年度は特定規模電気事業者、PPSから電力を購入すると発表し、5月から導入予定で、年間約300万円の電力コスト削減を目指しています。
 大田区としても、特定規模電気事業者、PPS導入を求めます。その際、価格の面だけでなく地球温暖化対策として、一定量以下のCO2排出に限ることや、再生可能エネルギーの導入をしているかなど、区独自の基準を設けて事業者を選考するよう求めます。お答えください。
 以上で、全質問を終わります。