日本共産党 佐藤伸ブログ

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大田区にも若者サポートステーションを…第3回定例議会

2010年10月13日 | 日々の活動など
 9月16日から10月13日まで、第3回定例大田区議会が開催されました。2009年度の決算認定などについて討議されました。私は決算特別委員会の款別質疑で、青年の雇用支援について質問しました。各地で成果をあげている、地域若者サポートステーションを大田区でも開設するよう求めました。
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○佐藤委員 私は社会教育費、社会教育総務費、区民学習、区民大学に関連して、若者の雇用対策について質問します。
  大田区教育委員会社会教育課主催の大田区民大学2010年度第2期で、「働き方、生き方講座(若者対象)今よりちょっと~35歳までに向き合う働き方、生き方講座」が10月30日31日の2日間で開催されます。私はとてもタイムリーな企画だと思います。
  まず区民大学でこの企画、16歳以上35歳未満の青年・若年層を対象にした35歳までに向き合う生き方・働き方講座を企画したねらいや経緯を聞かせてください。
○榎田社会教育課長 区民大学では、人権、子育て、環境福祉、地域づくりなど、現代の諸課題について区民が具体的に学習するための講座を開催しております。労働問題においても、数年来、ニートやフリーター、不定期雇用などの問題が深刻になってきており、若者の就職も大変厳しくなっております。このため、今回は16歳から35歳未満の若者対象の講座を設けて、若者自身がこの社会状況を認識し、その中で自分自身の行き方をどう切り開いていくかを考える契機として実施することといたしました。
○佐藤委員 今若年層、青年を取り巻く労働環境は非常に悪化しております。8月6日付の読売新聞によりますと、この春大学を卒業しました54万1,000人のうち、就職も進学もしていない、進路未定者が5人に一人に相当する、約10万6,000人に上ることが文部科学省が公表した学校基本調査でわかったと報道しておりました。この調査によりますと、進路未定者は昨年度比で約3割の増加で、10万人を突破したのは5年ぶりの水準悪化だそうです。
  また、大学在学中の留年者も進路未定者とほぼ同数の10万6,254人いることも加えて報告されています。文科省はその背景に、就職難で就職できず留年したり、国家資格を目指す5年生が多数いると見ています。
  この調査報告からも明らかなように、学生が就職できない問題は、もはや学生の努力不足のせいにはできない現実があります。菅首相も先の民主党代表選挙で雇用については、1に雇用、2雇用、3に雇用だと述べ、雇用対策が緊急に必要との発言をしました。雇用状況が非常に悪化している認識を示した発言だと思います。
  冒頭にお聞きしました区民大学の35歳までの若者を対象にした、働き片、生き方講座でも問題にしておりますが、今の若年層を取り巻く厳しい雇用環境の状況や、そこから発生するいろいろな問題が大きな社会問題になっています。
  政府厚生労働省の若年者雇用対策室では、一つに新規学校卒業者、未就職卒業者の就職支援、二つ目にフリーターなどの正規雇用化プランをはじめとするフリーターや若年失業者などに対する就職支援、3番目に若者に対する就業意識啓発に関することなど、各種施策を推進することの3点を重視し、これにより我が国の将来を担う若者が安心、納得して働き、その意欲や能力を十分に発揮できる社会の実現を目指しています。この方針に対応した施策がハローワークなどで展開されています。
  今雇用問題は国の対策任せにせず、各自治体による若年層を対象にした雇用対策の取り組みが始まっています。
  そこでお聞きします。大田区が今取り組んでいる雇用対策、また完全失業率が約10%にもなっている青年若年者の雇用支援についてお聞かせください。
○石井産業振興課長 若年者の雇用対策でございますが、大田区では産業政策の一環として、若年者と中小企業の出会いの場をつくるという政策を打っております。
  具体的には産業振興協会におきまして、個別の生徒さんとセミナーをあわせた若者と中小企業のマッチングフェア、それからプレ就職面談会、高等専門学校を活用した人材育成事業を行うなど、若者とそれを生かすための企業をつなげるというところをやっております。
  また、雇用とは若干異なるのですけれども、在宅で請負の仕事をするという内職のあっせんもしておりまして、ニートや引きこもりの若者にも仕事を紹介しているというところでございます。
  こういった事業とハローワーク、それからしごとセンター等と連携を深めながら、若者の就労支援を強力に推進してまいりたいと思っております。
○佐藤委員 今、課長が話された若者と中小企業とのマッチング事業は、昨年度の実績で2回のプレ就職面談会に参加企業が述べ18社、参加求職者が述べ68人でした。約1,000人の参加があったマッチングフェアは、イベント的色合いが濃く、区内の中小企業が自社の魅力をPRする場にもなっています。
  もちろん区内の中小企業の後継者対策は早急な課題ですから、プレ就職面談会の開催回数を増やすとか、参加企業、参加求職者のさらなる拡大を図った企画の充実を求めておきます。
  私が今日問題にするのは、区内に約23万人おります15歳から39歳の若年層で、社会的な問題になっている若年層全体の雇用の支援策についてです。大田区は今年度青少年の居場所と自立支援のあり方検討委員会を立ち上げました。この検討委員会の委員には学識経験者、PTA関係者、区内の高校、中学校の校長先生などの青少年指導者、児童相談所、ハローワークや警視庁の代表など、関係行政機関が参加しています。
  それに加えまして、大田区からは庁内検討委員として、子ども家庭部、経営管理部、地域振興部、福祉部、保健所、教育委員会から部長や課長が部署を横断する形で参加しています。大田区が検討している青少年の居場所と自立支援のあり方検討委員会での議論の内容を教えてください。
  対象の範囲、青少年の居場所づくり、若者の自立支援の内容が検討されていると思いますが、検討されている施策の方向性をお聞きます。
○小泉子育て支援課長 青少年の居場所と自立支援のあり方検討委員会は、これまで2回開催されております。そこでは地域社会でさまざまな活動をしている団体や関係機関が連携し、地域の中で青少年の居場所づくりをどのように進めていくべきかを主眼に議論がなされております。
  若者の自立支援につきましては、第4回より第5回で主に議論がなされる予定となっておりますが、ニートや引きこもりの若者を支援するためには、地域の実情に応じて関係機関等が連携し、どのように支援すべきかについて議論がなされる予定でございます。
○佐藤委員 今年の2月に内閣府が全国の15歳から39歳の5,000人を対象に行った調査によりますと、ふだんは家にいるが自分の趣味に関する用事のときだけ外出する、こういった若者も含めた広義の意味での引きこもりの青少年が、全国で69万6,000人いることが推計されることが報告されています。
  大田区で推計すると4,200人になります。区内に4,200人の引きこもりの青少年がいることが推測されているわけですから、そこに焦点を当てた施策は当然必要です。と同時にこの内閣府の調査によりますと、15歳から39歳の年代はだれでも引きこもりになる可能性を示唆しています。
  調査報告書によりますと、引きこもりになったきっかけで一番多かった理由に、病気とあわせて職場になじめなかったが挙げられる。続いて僅差で就職活動がうまくいかなかったの理由が挙がっています。
  今の青年を取り巻く雇用の環境悪化が引きこもりの青少年を多く生み出す要因となり、だれもがその可能性があることを表しています。政府厚生労働省は引きこもりの青少年の自立支援策と、青年雇用の支援策を別枠にし、そのプログラムを準備しています。もちろん区内に4,200人を超える青少年の引きこもり者が推定されている中で、その支援策の具体化が急がれます。
  大田区でも足立区、新宿区、世田谷区など、都内でも4区2市で取り組まれている地域若者サポートステーション事業に踏み出すことを提案します。お答えください。
○小泉子育て支援課長 地域若者サポートステーションは国が地方公共団体の推選に基づきまして、各地域で若者支援に積極的に取り組んでいるNPO法人などの民間団体を選定しまして事業委託を行っております。
  事業内容は、ニート等の若者の自立を支援するため、若者やその保護者に対して、個別、継続的な相談、各種セミナー、職場体験など総合的な支援を行うこととなっております。
  青少年の居場所と自立支援のあり方検討委員会での検討に基づきまして、来年の3月には検討委員会から提言を受ける予定となっております。区といたしましては、提言を受けまして対応を検討してまいります。
○佐藤委員 検討するというお話だったのですが、今も話をさせていただきましたように、厚労省は別立てでこの問題に取り組んでいるのです。引きこもりの事業対策と、それとそのほかに青年の雇用ということで、この地域若者サポートステーション、こういうものを取り上げております。
  地域若者サポートステーションは、通称サポステ。厚生労働省からの委託を受けた全国の若者支援の実績やノウハウのあるNPO法人などが実施しており、今年度は全国で100カ所に設置されています。都内では先ほども言いましたけれども4区2市です。
  厚労省のホームページによりますと、サポステ事業は働くことについてさまざまな悩みを抱えている15歳から39歳くらいまでの若者の皆さんが、就労に向かえるよう多用な支援サービスでサポートします。地方自治体との共同により、地域の若者支援機関からなるネットワークを構築するとともに、その拠点となる地域サポートステーション、サポステを設置し、専門的な相談や自立に向けた支援プログラムの実施、適切な支援機関への誘導など、多様な就労支援メニューを提供する。こういった事業になっています。
  今課長がおっしゃいましたように、若者の就労支援の専門家、キャリアコンサルタントなど、こういう専門家が総合的な相談を実施する。またメンタル面のサポートが必要な方に対しましては、臨床心理士などによるカウンセリングも行っている。また、ステップアップのためにコミュニケーションスキルアップのためのグループワークや、職業別講話、面接訓練など、段階に応じたプログラムを複数用意しています。
  また、職場見学や職場体験、また今も課長が言いましたように保護者向けの支援、こういったものも幅広く取り組んでいます。ぜひ大田区でも、検討しているということですが、別立てにしまして、サポートステーションとそれと引きこもり対策の居場所づくりと合わせてこれを行っていただきたいと思います。
  区長にお聞きします。青年の雇用の現状は大変厳しい状況にあります。以前、2008年第1回定例会で私が一般質問をしまして、青年の雇用支援策を質問した際、若年層での正規雇用の拡大など、不安定雇用が増加していくことが好ましくないとの認識を区長は答弁されました。質問した時期よりもむしろ不況は長期に悪化し、多くの若年層が非正規雇用で働かざるを得ない状況が大田区内でもあります。この認識に立った区長の青年雇用の大田区独自の支援策への意欲をお聞きします。
○伊東産業経済部長 大田区独自の青年層への雇用に関するご質問ということでございますけれども、大学や高等専門学校の先生に伺いますと、最近の若者の就職活動、いわゆる就活ですけれども、こちらの方はどうしても大企業ですとか、有名企業、こういったところに目が向いてしまう傾向が強いそうでございます。
  中小企業もすぐれた技術や独自の市場を持って活躍しているところがたくさんございます。大田区内にはこういった厳しい景気の中でも人材を求めて、採用活動を行っている中小企業もございます。こういった中小企業に若者の皆さんの目を向けていただいて、就職先として中小企業を選んでいただくということも非常に重要だと思います。
  先ほど申し上げました、プレ就職面談会ですとか、あるいは中小企業と若者のマッチングの大事業、こういったものを独自事業として取り組んでおります。
  また、中小企業の情報を発信するためにお仕事ナビというページで、中小企業のいいところを出していっております。そういった事業に取り組んでおります。今後とも中小企業の魅力や働き甲斐を広くアピールしていくことによって、若年層の雇用を増やしてまいりたいと考えてございます。
○佐藤委員 この質問をするのに際しまして、いろいろといろいろな部署にも聞いてみたのですが、残念ながら大田区の今の体制の中で、雇用を扱う部署というのはないのですね。ですから、今、産業経済部長がお答えになりましたけれども、どうしても中小企業支援の側からの雇用をどうするか、こういった性格にならざるを得ないのではないかと思うのですね。
  もちろん私は先ほども言いましたけれども、現在の大田区内での中小企業の後継者づくり、これをいかに対応していくかということは早急な大きな課題の一つですから、これをどうクリアするかという問題ももちろんあるのですが、私が問題にしているのは、先ほどから言っていますように、大田区内におります15歳から39歳の、これは私が勝手に言っているのではなくて、厚労省がそういうふうに位置づけているのですね。この15歳から39歳の若年層、ここが約区内に23万人いるのです。23万人を対象にした雇用支援策というものに、大田区はどうして足を踏み出せないかということなのです。
  私は大森にあります、大森公共職業安定所、ハローワーク大森に行ってまいりました。ハローワーク大森では若年雇用支援対策ということで、若年専用相談窓口を三つ開設しております。相談者は絶えないそうです。ずっと来るそうです。どういう方が来るか聞きましたら、パートやアルバイト、また派遣社員や契約社員など、いわゆる非正規雇用で働いている方、こういう方が結婚するだとか、また30歳、35歳、年齢を重ねまして正社員として働きたいと。そう考える中で相談に来る、こういう方が多く今なっているということでした。
  実際に厚労省が今年発表しました若年雇用の現状について、こういう資料がありますが、これを見てみますと、若年者になればなるほど非正規雇用で働く割合というのが多くなっています。20歳から24歳で全世代の中で一番多い比率になっていますが、全体で働いている方の32.3%の方が非正規雇用で働かざるを得ない。こういう状況になっています。
  しかも、この資料を見てみますと、非正規雇用で働いている、そういう年月が過ぎれば過ぎるほど、なかなか正社員として働けない。こういうひどい状況があります。ですから、公共の場としまして、どうやってこういった若年層を正社員として働けるサポートをするか、ここが今国が力を挙げて取り組んでいるところなのです。
  ですから、ほかの区でも取り組んでおりますように、ぜひ地域若者サポートステーション、今検討にもう入っているということですが、大田区でも開設をしていただいて、区内におります23万人以上の青年の雇用支援の対策室をしっかりつくっていただきたいということを要望しまして、私の質問は終わります。