ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

ネグレクト?ヤングケアラー?それとも…

2024-03-23 08:53:27 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「虐待?」3月19日
 読者投稿欄に、習志野市の42歳の保育士M氏の投稿が掲載されていました。その中でM氏は、長男が小学校に入学したときの状況について、『次男が幼稚園に入園し長女はまだ乳飲み子。私は授乳やら次男の世話やらで毎日クタクタ、寝不足でフラフラ(略)そこで私は、入学前の長男に朝食作りを教えた。パンの焼き方、ご飯のトッピング、レンジで作る目玉焼き、ヨーグルトやシリアルのアレンジ(略)食べることが大好きな長男は「何を作ろうかなー」と楽しそうに朝食を作るようになった。皿洗いまで完ぺきにこなし、投稿していく彼の姿は神に見えた』と書かれていました。
 賢い長男さんの生き生きとした表情までが浮かぶようです。親子や兄弟の助け合う関係の良好さも感じられ、お子さんは3人とも思いやりのある良い子に育つに違いないとも思いました。
 でも、ここで視点を変えてみたらどうでしょうか。まだ6歳の子供が、朝食も準備してもらえず、母親に放置され、危険で火を使うことができないにもかかわらず、自分でパンを焼き、目玉焼きを作って朝食を済ませ、おまけに食器まできれいに洗ってから毎日登校している、温かい味噌汁も焼きたての焼き魚も、新鮮な野菜サラダも口にすることはなく、同じようなメニューの繰り返しに耐えている。こう書くと、急に悲劇的な状況、ネグレクトが疑われる虐待の一種であるという雰囲気になってしまいます。あるいは、家事の一部を担い続けるヤングケアラーという捉え方もあり得るかもしれません。
 私の捉え方は前者ですが、見方によっては後者に感じる人もいるかもしれません。もし、長男の担任教員が、「僕のうちはね、お母さんが弟の面倒を見ていて忙しいから、朝ご飯は僕が自分で準備して食べて、お皿も洗ってくるんだよ。ときどきじゃないよ。毎日だよ」という話を聴いて、「ネグレクトかもしれない」と校長に相談し、警察や児相に通報したとしても、不思議ではありません。そんなことになれば大騒動ですし、学校と家庭の信頼関係も損なわれてしまうでしょう。学校の保護者の間や地域で変な噂が流れるかもしれません。
 行政は、虐待等については、間違っていても構わないから少しでも疑いがあれば積極的に通報してほしい、と言います。メディアも、悲惨な虐待死が発覚する度に、周囲はサインに気づけなかったのか、という趣旨の報道を繰り返します。でも、実際には、判断の難しいケースはあるのではないでしょうか。
 私も教委の指導室長時代に、某小学校の子どもが虐待を受けていたのを学校が気づけなかったと非難されたことがあります。学校は、教委は、どのようにアンテナの感度を挙げていくか、常に考えていかなければなりません。

 

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