ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

基準は人の数だけ

2024-03-24 08:28:19 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「基本はそこに」3月19日
 『「下克上」中央学院 ユニークな石垣島合宿』という見出しの記事が掲載されました。6年ぶりに甲子園に挑む『中央学院ナインは2月、石垣島に滞在していた。暖かな南国で練習漬けの日々なのかと思いきや、練習量はむしろ抑えていたという(略)「秘密の特訓」を追った』記事です。
 いくつかある「秘密」の中で、私は『部活内部活』という取り組みに注目させられました。それは『野球部の中に「部活」を作って活動するというユニークな試みで、ボイスパーカッション▽ダンス▽お笑い▽クッキング▽ジム▽植物▽英語▽ラップ-の八つがある』のです。
 記事には、『ユーチューブを何度も再生して振付をチェックしながら一緒に手足を動か』す5人のダンス部員の様子が紹介されていました。こうした動きが野球の技術向上に役立つわけではありません。では何のための「部活」なのか。監督は、『野球のうまさでチーム内の序列を作りたくない』と語っています。 
 私は、「これだ!」と思いました。学級経営の難しさは、子供たちの人間関係の構築にあります。一番やってはいけないのが、子供たちの中に序列や階層を作ってしまうことです。学級内カーストという嫌な言葉がありますが、30人の子供たちの中に、数人のボスとそれぞれのボスに数人の取り巻きやお気に入りがいて、それ以外の平民階級のその他大勢といじめやからかいの標的になる数人の奴隷や家畜がいるという状況です。
 ボスたちは自分の力、影響力の強さを誇示するために、奴隷や家畜を痛めつけ、それを目撃している平民たちは、自分が奴隷の境遇に落とされることを恐れて、迎合する、奴隷や家畜は地獄のような毎日をひたすら耐えて、ときには笑顔さえ見せてボスやその取り巻きに阿るが、状況は改善せず、抜け出すために不登校を選ぶ、という惨状を呈するのです。
 この地獄に、ときには教員自身も加わって加害者となってしまう、そんな事例がメディアで報じられています。その根源が、子供たちの中にある一つの、もしくはごく少数の基準で序列が作られていますことにあります。勉強ができる、可愛い、家庭が金持ち、依怙贔屓する教員のお気に入りなどの基準で序列ができ、下位に位置付けられた子供はが奴隷となるのです。
 そうさせないための方策は何か。その解が、「野球のうまさでチーム内に序列を作らない」という発想なのです。部活は学級以上に、一つの価値観、上手いか下手か、勝利に貢献できるか否かで、序列が生まれやすい場です。だからこそ中央学院の「部活内部活」が意味をもつのです。
 野球ではレギュラーになれないけれど、ダンスではリーダー、そんな存在が部内で認められていけば、ボスも奴隷も生まれないのです。全ての教員が、この「部活内部活」の考え方を学級経営に取り入れていくべきです。

 

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