昨夜は久しぶりに、温泉につかった。奥日光の温泉宿で、白濁色の薫り高い森の温泉であった。私は温泉が好きなので、旅行の最大の楽しみは温泉である。ゆったりと、水の流れる音だけが聞こえる世界に、身を置くと、それだけで、今を忘れる。同じ風呂の中で見知らぬ老人との会話も弾む。その時、老人はだいぶしょげていた。老人は孫との一緒の旅行だった。私と同じく、その老人も温泉好きで、孫と一緒に入ることを楽しみにしていたという。しかし、そのお孫さんは、この温泉の香りを嫌った。こうして、老人は私への愚痴を言うことになった。まあ、時がたてば、そのお孫さんも平気で温泉に入るようになるだろう。ただ、その老人が、そのころまで、元気でいることを望むばかりだ。そこには、そんな、余計な心配ができるほどの、静かな時間が流れていた。さて、和歌山県新宮市が運営する温泉施設「熊野川温泉さつき」で今月１７日、洗い場やジェットバスが泡であふれる騒ぎがあったそうだ。どうも誰かが備え付けのボディーソープ５本と、シャンプー３本のボトルを風呂の中にぶちまけたことによるものと思われた。「迷惑このうえない。やめてほしい」と市は訴えているが、私も、同じく訴える、「迷惑このうえない。やめてほしい。日本のお風呂は、西洋のバスタブとはちがうのだ。」。(2017.08.22)
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