観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「(理系人材と)GX」「北方領土」を考察・纏め予定。放置気味ですが、忘れた訳ではありません。

財政再建とインフレの話

2017-06-25 10:30:35 | 政策関連メモ
財政再建にはインフレじゃないかと既に書きましたが、話を進めておきます。ちょっと古い記事ですが、こんな記事(「高橋洋一vs.田中秀明「統合政府論」バトルを投資家視点で見ると」Newsweek日本版 2016年12月06日(火)18時38分)があります。

>バブル経済を止められなかった

>日本経済に深刻なインフレが発生した場合、とりわけ景気回復を伴わない形でインフレが発生した場合、日本政府は本当にそれをコントロールできるのだろうか。

>米国は1970年代に深刻なスタグフレーションを経験している。最終的には、ボルカーFRB(連邦準備制度理事会)議長(当時)がFF金利(米国の基準となる政策金利)を一気に20%まで引き上げるという驚くべき荒療治でインフレを退治した。しかし、それまでの過程においては、前任者であるバーンズ議長が政治的圧力に抗しきれず、インフレの最中に金利を引き下げ、物価上昇をさらに加速させるという大失態を演じている。

>決断力にかけては日本をはるのかに凌ぐ米国人ですら、世論の圧力を跳ね返すのは難しい。空気に支配される日本はなおさらである。中高年以上の世代であれば、1980年代のバブル経済の最中、不動産価格や株価の異常な高騰を抑制するための引き締め策が、幾度となく世論の圧力で撤回させられたという過去を知っているはずだ。

バブル経済を止められなかった日本が急激なインフレの進行を止められるかと警鐘を鳴らしている訳ですが、筆者は大丈夫と思います。まず、日本は深刻な少子高齢化ですから、土地が全国的に値上がりするなんてことは有り得ないと思います。有り得るというなら、逆に教えて欲しいぐらいで、バブルの再来は有り得ませんから、バブル対策の必要性もありません。筆者もバブルの熱狂に浮かれている方々を止めるのは難しいだろうなと確かに思いますが、土地は値上がりし続けるから兎に角買えなどという信仰を生み出すべきでもありませんし、生み出すことを防ぐこともそう難しくないでしょう。株は絶対あがるから兎に角買えも同じで、市場が縮小することが確実な状況で株信仰を生み出すのは不可能に近いです。必死で頑張って緩やかに上がれば御の字という奴です。バブル期の不動産価格上昇や株価の高騰を例に出して心配していますが、天が落ちてくることを心配する必要はありません。まぁ金に間が眩んだ人を止めるのは難しいとは思いますよ。

米国の例はインフレでアベノミクスも緩やかなインフレを起こしたいってことですから、ハイパーインフレを止められるかですが、これも大丈夫と思います。アメリカ経済のことは良く分かりませんから言及しませんが、少なくとも日本では寧ろ世論はインフレを嫌っていると思います。ですから、政府がインフレを止めようとするなら、寧ろ世論は味方するでしょう。簡単な話で筆者にはそうとしか思えません。話は逆でインフレを嫌う世論がインフレを許さないから中々インフレにならないのであって、政策的に優れている緩やかなインフレを目指す方向にどう世論を説得し実現していくかが課題なのだと思います。日本人は(何処の国でもそうだと思いますが)安いものが好きで中々物価があがりませんから、物価が上がりすぎることを心配するより、物価が適切に上がっていかないことを心配する方が生産的でしょう。

財政再建(ウィキペディア)

>インフレ課税

>インフレーションになると、現金価値の低下によって政府債務が減少し、課税と同じような効果がある。通貨を発行すれば、シニョリッジが国庫に収入として帰属し、直接徴税をしているかのような効果が生じる。これらを「インフレ課税」という。

>エコノミストの山崎元は「財政支出もインフレに連動するため、財政支出を同じように拡大させてしまえば財政収支は赤字のままとなってしまうが、過去のストックベースの財政赤字は実質価値が減価していく」と指摘している。山崎は「インフレは実質的に、現金及び現金の同等物の保有者に対する課税である」と指摘している。

>経済学者のトマ・ピケティは「財政についての歴史的な教訓としては、1945年のフランス・ドイツは対GDP比で200%の公的債務を抱えていたが、1950年には大幅に減少した。それは債務を返済したわけではなく、物価上昇が要因である。物価上昇なしに公的債務を減らすのは困難である」と指摘している。

>田中秀臣は「『インフレ課税』は財政危機を回避する有効な手段となる。結果としてインフレ課税が生み出されるような穏やかなインフレ政策が、財政問題の解消に必要となる」と指摘している。

>経済学者のケネス・ロゴフは「世界の主要中央銀行は、穏やかにインフレを高進させることが巨額の債務から逃れる上で有益であることを認識すべきである」「原則的に言えば、インフレは債務問題を解決する公正な方法とは言えない。短期的で穏やかなインフレ高進(例:2年間で6%程度)では、債務問題を解決することにはならないかもしれない。しかし、債務負担を軽減させ、他の手段を取るコストを減らすことができる」と指摘している。

>7-8%の高いインフレ率を起こすことによって、国・企業が抱えている借金を目減りさせることを「調整インフレ」という。

インフレには課税と同じ効果があります。財政破綻すると強制的にインフレになって超「課税」し問題は解決することになっています。社会の安定をブチ壊す極端な課税を避けるには緩やかな課税しかありません。それかフツーの税金をかけるかです。財務省は消費税だと言っていますよね。少子高齢化で市場が縮小するのは確実な局面である以上、選択肢は限られています。①財政ダイジョーブ、景気が冷える~、とることだけしか考えていないのか~、高齢者に厳しい~などとフェイクニュースを垂れ流して日本に何もさせないよう誘導して財政破綻に導き、その前に海外に脱出するつもりの詐欺師の言にのるか②消費税アップ!の財務省にふりつけにのるか③企業からとれ!の共産党の指示に従うか③高収入の方々(日本は比較的平等と思いますが)から所得税アップでとるか④歳出を大幅カットするか(デフレ要因になっても知りませんが)⑤緩やかなインフレを目指すか(ただしこれだけでは解決しません)です。

別に財務省のふりつけにのってもいいのですが(安倍政権が気付くまで筆者も従っていた方ですが)、消費税増やしても全然財政再建が進まないな?と思いますよね。目に見える税金に対する消費引き締め効果が馬鹿にできないのかもしれませんし、国民から巻き上げて官僚が考え国民に配るというスタイルが生産性の向上を阻害しているのかもしれません(数は力ですから、経済は現場を知るビジネスマンひとりひとりが生産性の向上に努める方が、現場を知らないエリート秀才の指示で動くより効率的だと考えられます)。ともかく結果が重要でしょう。学者だから何でも正しいとは思いませんが、自分の論が大切な人の論は信用し易いところがあります。間違いを修正しておかないと論がきちんとしないので、勝手に自分で修正していくからです。ここは結果が出ている学者の言うことを参考にしていけばいいでしょう。ここは日本ですから、トランプみたいにyou are firedと言ったりはしませんが、ちょっと財務省には大人しくしてもらいたい。

インフレは財政再建に繋がるのかという疑問もあるでしょう。ですが、調整インフレという言葉がありますから、財政再建に繋がると一般に認識されているということです。ハイパーインフレが急激な財政再建効果があるのは認められるでしょうが、緩やかなインフレがそれだけで十分でないとしても財政再建効果があるのは明らかでしょう。課税と同じ効果を持つからです。

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