鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

自民改革会議シンガポール視察(一日目)

2012年02月05日 | 議会活動

平成2425日(日)

 

 静岡県議会自民改革会議シンガポール視察が24日から8日まで(正味は三日間の弾丸視察)、所属議員12名で実施しました。その速報を現地(シンガポールのホテルから)からお伝えします。

 なお、弾丸視察と表現したのは、242330分羽田発、5620分現地着、722時シンガポール発、86時羽田着というハードなものでした。

 

 今回の視察では、シンガポール駐在の静岡県東南アジア駐在員、長谷川卓さんにお世話になりました。

 

 

<日本食流通事情視察 伊勢丹シンガポール他>

 伊勢丹(ISETAN)シンガポールさんはこちらに来て40年、シンガポールを代表し日本ではお馴染みの静岡にもある百貨店です。説明いただいたのは、ISETANシンガポールの牧野俊夫食品統括部長様でした。

 

 

 シンガポール国内に5店舗を構え、同国内流通業でも十指に入るリーダー格となりました。私もかれこれ30年前に初めてシンガポールを訪れて以来、訪問する度にずっとお世話になっている商業施設です。

 日本が経済・貿易面で東南アジアに進出し、日本人が同国を拠点に周辺国へ躍進している時期でもありました。同時期、熱海市を本店とする今は無き某スーパーマーケットもシンガポール官邸隣接地に、百貨店として構えたことも記憶に残ります。当時は市内の免税店に行くと日本人ばかりで賑わい、そのお客さん達は高級ブランド商品を抱えきれないくらい買い込んでいました。3年ほど前に同じ施設を訪問したときには、日本人の姿はほとんどなく、代わりに中国人や韓国人がかつての日本人のように買い物をしていた記憶があります。今回は訪問する機会はありませんが、同行している現地ガイドによれば、少なくなった日本人は買い物をしないで帰っていく姿をよく見るといい、シンガポール内を見渡しても、買い物ツアーに訪れる日本人は激減したといいます。

 ISETANさんは今では主にシンガポール国民を相手に商売を続けています。日本食ブームも消えておらず、日本の食材が手軽に入る店舗として、訪問させていただいたときも私たちが国内のスーパーマーケットで見かけるような商品が陳列され、お客様で賑わっていました。一角では関西の食材フェアが開催されており、大阪や滋賀の業者さんが二週間滞在してアピールするとのことでした。大阪の方に「たこ焼きは出店しないの」と聞いてみたら、「こちらの人はあまり関心がないので扱わないが、のりの佃煮や梅の加工品に人気があるようだ」といっていました。また滋賀県産米を扱う農業団体の方は、「ふっくら炊いた日本米は人気です」と話していました。現地の消費者と日本の生産者、販売者が直に関わることで、販路が広がると感じます。

 ISETANの牧野さんは、「40年間事業を続けてきたことはすごいと思うが、これからは流れも変わりつつある。一つは日本食を日本から輸入することが少なくなっているがその理由として、原発事故による風評があること、シンガポールでは少しでも放射性物質が検知されれば輸入停止になるので、それを警戒して日本からの輸入が控えられていること。円高などでこちらに輸入する場合、割高感があること。日本の食材は中国やタイなどアジア地域で、同じ日本企業が安い商品を作りそれを輸出していること」などがあげられました。さらに、日本の商業施設以外でも日本食を扱うようになったことも、競争激化で環境が変わってきたことを指摘していました。

 

<日本を代表する景色は富士山>

 シンガポールの銀座通りとでもいえるオーチャード通りでは、日本を紹介するイベントが開催されており、47都道府県がこぞってアピールしていました。中でも静岡県は富士山が主役で、同時に日本を代表する広告塔として紹介され、郷土の誇りを実感しました。

 

 

 

<シンガポールの水政策 マリーナバラージ>

 

 

 シンガポールはマレー半島の最南端に位置する淡路島と同じくらいの面積に500万人以上が住む国です。金融や貿易そして観光で成り立ち、国民一人あたりの平均所得は昨年度で世界第3位、日本は第9位という経済先進国です。しかしながら、地下資源はなく、食料も飲料水も輸入に頼っていました。特に水はマレーシアから大きな水道管で購入しており、この生命線が切られると国は成り立ちません。実際に「あと50年ほどでマレーシアはシンガポールに水を輸出しない」と通告してきました。

 

 

 そこで、シンガポールは国を守るためにとった処置が「自前で水を確保すること」なのです。最優先で飲料水を確保するためにできることは、生活雑排水で汚れた水を浄化すること。海水を淡水化すること。降った雨を貯水池にため浄化して飲用水にすることです。雑排水は工業汚水などがほとんど含まれていませんが、飲用水にするための高度な技術が必要です。海水の淡水化も貯水池の飲用水への浄化も同じです。それを総合的に絡め、安全な水供給システムとして構築し、そのトータルシステムを中国や周辺国、アフリカなどに輸出し新たな産業に発展させたのです。実はこの水処理技術のほとんどは日本のお家芸技術を輸入し、それらを総合的にまとめ上げたシステムなのですが、いわゆる環境ビジネスとして私も平成12年頃の市議会議員当時から、北九州市や四日市、川崎市など公害を克服した技術を持つ日本の都市が取り組むべき課題だと訴えてきたものです。

 

 

 シンガポールは国が戦略物資として飲料水を取り上げ、危機感の中でこのシステムを構築したものなのかもしれませんが、残念でなりません。間違いなく先を越されたのです。我が国では、今公害を克服した先人達が企業を退職しその技術の継承が消えつつあること、またその人達を培ってきた企業が、様々な要因で撤退など消えていく状況を見過ごすわけにはいけません。地域経済の救世主になり得るこの技術を何とか消えないうちに活かしていきましょう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自衛隊のあるまち 千歳市 | トップ | 自民改革会議シンガポール視... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

議会活動」カテゴリの最新記事