令和6年5月2日(木)
これから降雨の多い時期に入ります。近年、激甚化する大雨による水害やがけ崩れなど、各地で甚大な被害が出ています。これらに関する防災対策は、環境の変化を敏感に捉え、事前に適切な対応をとることが重要です。そのためには、地域に住む住民の防災意識を高め、早期の異常を察知することで、大きな災害を未然に防ぐことができます。
国は令和に入ってから、「防災・減災国土強靱化」と称した災害に強い国づくりを目指し、地方での防災対策を後押ししています。多くの財源と様々な支援メニューにより、確実に防災対策は推進されており、近年、激甚化する水害にも対応できます。
県は国の支援策に連動し、県内の防災・減災対策を強化しており、これまで以上に、対策が進んでいます。それは支援メニューの内容と予算額からも実感できます。
先日、市内の急傾斜地に関する住民からの要望があり、地元の市議とともに市役所の担当課を訪れ、どのような課題があり今後どう対応していくのか意見交換を行いました。
住民からは、住宅街に接した斜面の樹木が生い茂り、大雨が降った際にはがけ崩れの心配があるのではないか。その対策を求めるものでした。今回要望された懸念する内容は、かなり前から地元にあったようですが、先ほど触れたように急激に増えつつある大雨による災害が各地で発生していることから、ようやく私のところにも相談が届いたというものです。
県や市の担当者が現地を視察した中では、何らかの安全対策を検討することも必要ではないかとみているようでした。
市では地元要望に応えるために、「急傾斜地崩壊対策事業」について地元説明会を行い、その理解を求めています。この対策事業は、「がけ崩れから、人命を守るため、急傾斜地崩壊 危険区域として指定された区域において擁壁工事や法面工等の崩壊防止工事を実施するための事業」であり、この事業を実施するためには、「急傾斜地崩壊危険区域の指定」が必要になります。
この指定を受けるためには、指定基準があり、様々な行動制限を受けることになります。これらの対策のための工事は多額の費用と高度な土木技術が必要で、土地所有者などが施行することが困難な場合は、県や市がこの事業を行うことができます。
このため、この事業を実施するためには、①地元要望書と同意書。②区域測量。③急傾斜地指定。④崩壊対策工事の流れに沿って進めていく必要があります。また、工事の一部を所有者に負担していただくこともあります。
市の資料によれば、この対策事業について、①全ての地権者の合意が必要。②用途取得区域や買収金額等について意見の反映ができない。③地権者の負担が必要となる場合がある。④事業協力が得られない場合は、事業途中であっても中断する。
また、①この事業を実施したとしても、土砂災害計画区域は変更されない。②想定以上の災害が発生することもあり、その対応まではできない。③大雨による警戒情報などに基づき、適切な避難に心掛ける。などが示されています。
市内では、現在2地域で急傾斜地崩壊対策工事が行われており、いずれも地元からの要望に基づき、実現しています。市の担当者によれば、地元の危機感は強く、実現の過程において地元の協力がスムーズに得られたと言います。
今回の相談では、他と同じように地元要望がきっかけですが、事業内容の説明会を実施したものの、十分な理解は得られていないようです。市では再度の説明会を計画しており、地元市議や私も地元に理解を求める機会を設けていく必要がありそうです。