平成31年1月31日(木)
静岡県国土利用計画審議会が県庁で開催され、委員として出席してきました。審議内容は、静岡県土地利用基本計画図の一部変更についてです。その他、森林地域の縮小に係る林地開発許可案件について、太陽光発電設備の適正導入に係る取り組みについてなどが報告されました。
その後、国土交通省担当者から「所有者不明土地の利用の適正化に関する特別措置法について」講演がありましたので、その報告をします。
所有者不明土地は、人口減少・高齢化の進展に伴い、土地利用のニーズや地方から都市等への人口移動などが背景にあり、土地の所有意識の希薄化などにより、全国的に増加しています。この現象により、公共事業の推進等様々な場面で、所有者を特定するための多大なコストの発生や、円滑な事業実施に大きな影響を与えています。
私は、昨年2月の県議会定例会で、富士川緑地の公園整備計画で大きな問題となった不明者土地問題を取り上げ、県議会からの意見書として取りまとめたものを国に提出しました。
国はこの問題の解消に向け、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」を制定し、平成30年6月13日に交付しました。
法律は3本の柱で成り立っており、1.所有者不明土地を円滑に利用する仕組み。2.所有者の探索を合理化する仕組み。3.所有者不明土地を適切に管理する仕組みとなっています。
このうち、円滑に利用する仕組みでは、①公共事業における収用手続きの合理化・円滑化(所有権の取得)と、②地域福利増進事業の創設(利用権の設定)があります。
地域福利増進事業は、地域住民その他の者の共同の福祉または利便の増進を図るために行われる事業を想定しており、原状回復が可能なものを条件としています。例えば、ポケットパークやイベントスペース、直売所などの公売施設などがあります。
この事業は、都道府県知事の裁量により、最長10年間の使用権を設定し、事業の実施を可能とするものです。事業者は、保証金を供託し、原則として使用後は土地を原状に回復することが求められます。また、異議がない場合は、使用権の延長が可能としています。
所有者不明土地の公共事業による所有権が認められるようになりましたが、また、軽微な土地利用として地域住民への利用権が認められましたが、民間が建物などを設置することでの土地利用はまだ認められておらず、更なる議論と制度改正が期待されます。