鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

機能性表示食品を生かした県の取組

2024年03月31日 | 議会活動
令和6年3月31日(日)

 機能性表示食品とは、「『おなかの調子を整えます』『脂肪の吸収をおだやかにします』など、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができる食品です。」と消費者庁のホームページには記載されています。

 多くの国民が健康への関心が高まる中、機能性表示食品への期待や実際にそれを摂取する人は少なくありません。
 消費者庁が示す制度の特徴を見ると、①疾病に罹患していない方(未成年者、妊産婦(妊娠を計画している方を含む。)及び授乳婦を除く。)を対象にした食品です。②生鮮食品を含め、すべての食品(一部除く。)が対象となっています。③安全性及び機能性の根拠に関する情報、健康被害の情報収集体制など必要な事項が、商品の販売前に、事業者より消費者庁長官に届け出られます。④特定保健用食品とは異なり、国が安全性と機能性の審査を行っていません。⑤届け出られた情報は消費者庁のウェブサイトで公開されます。と説明があります。
 このなかで「安全性」については事業者に任され、国が審査に関わることはないと書かれています。

 さて、このところ機能性表示食品、「紅麹」に関連する健康被害が深刻な問題となっています。企業側のこれまで発表では、青カビから発生する物質が検出されたとし、その経緯はこれからの調査に委ねられます。

 機能性表示食品は、これまでにこれまで1065品目が許可・承認を受けています(2023年4月18日現在)。今回の問題はそのうちの一つで起きたことで、それ以外の健康被害等は聞いたことがありません。特別なケースとして、製造過程なども徹底的に検証していくことで解明できると思われます。冷静にその行方を見ていきたいと思います。

 さて、静岡県は、地域資源を活用した機能性表示食品の開発支援などを通じて、食関連産業の振興に取り組むことに加え、県民の健康支援の観点から、食を中心にデータによるヘルスケアなどの取組を行う「フーズ・ヘルスケア オープンイノベーションプロジェクト」を進めています。

 これを学術的に支えているのが静岡県立大学で、県立大学の資料によれば、静岡県は、付加価値額ベースで全国1位の食品産業の集積に加え、サプリメントメーカーが集積し、機能性表示食品の約3割を生産する産業基盤とともに、お茶をはじめとする439品目に及ぶ多彩な食材を有しており、ますます需要が高まることが予想される健康食産業の振興には、最適な地域と言えます。
 機能性食品素材のデータベースの構築、公開により、既存の知見を活用した機能性開発の研究をより一層加速し、地域全体の開発力を高めることを目指しています。

 健康志向を支え、安全性を確保した上で本県経済も支える、機能性表示食品をターゲットとした「フーズ・ヘルスケア オープンイノベーションプロジェクト」を積極的に進めていく必要があります。
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相続登記の義務化が始まる

2024年03月30日 | 議会活動
令和6年3月30日(土)

 この4月1日から、相続登記の義務化が始まります。先日も、被相続人が亡くなられて少し時間が経った方から、相続登記方法について問い合わせがあり、少し助言をさせていただきました。

 相続登記の義務化の背景には、「所有者不明土地」の問題があります。私が「所有者不明土地」の問題に関わったのは平成30年頃のことで、市が公園整備などの公共事業を実施する際に、事業に必要な用地取得対象の土地所有者が不明のために事業ができないという問題に関わりました。
 公共事業であっても個人の財産権を侵害するわけにもいかず、その部分を除外して事業を進めるか迷いがありました。市は用地取得対象の土地が多数あったことで、時間もかかることから、そちらの用地交渉を進め、所有者不明土地の所有者または関係者を調べる作業を続けていたと思われます。

 土地には不動産登記簿といって、人の戸籍簿に相当する台帳があり、所有者情報もそこに記されています。土地情報の基本はここに全て記されていることが原則ですが、例えばその土地の所有者が亡くなり、相続が行われていなかったりすると、土地所有者名義の移転などにおいては、亡くなった方の全ての相続権者に了解を頂くことになります。中には何代も相続登記が行われていないこともあり、このような場合ではその関連調査や権利者との交渉においても多大な時間と労力が必要となります。
 関係者が土地所在地域に住んでいればよいのですが、この時代、広く拡散して中には海外在住などということもあります。
 公共事業では、多くの土地所有者に理解と協力を求めることも多く、所有者不明土地は事業の進展に大きな障害となっています。

 根本的な解決には、所有者不明土地の取扱についての法が未整備なことでした。そこで、私はその背景を調べ、県の担当部署とも相談しながら、静岡県議会として法整備を求める意見書を国に提出しました。この頃、全国でも同様の問題が生じており、国会でも取り上げあげられました。
 その後、所有者不明土地の取扱について、公共事業への対応から始まり、さらに対象範囲が広がっているようです。

 相続登記が義務化された背景には、このような課題があって私自身の経験からも重要なことと考えています。

 なお、法務省の資料に義務化についての表記がありましたので参考に記します。

 令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の資料収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケースなど。)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

 なお、令和6年4月1日より以前に相続が開始している場合も、3年の猶予期間がありますが、義務化の対象となります。不動産を相続したら、お早めに登記の申請をしましょう。

 私からの助言ですが、相続登記には登記料等がかかります。司法書士などの専門家に相談すると良いでしょう。
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県の観光施策に関する監査結果から

2024年03月29日 | 議会活動
令和6年3月29日(金)

 令和5年度も今日が開庁の最終日。何かと課題の多い1年間だったように感じ、様々な思いが頭を巡っています。多くの課題は持ち越しとなりますが、そこで得た教訓もあり、新しい年度に生かしていきたいと思います。

 さて、県に対する包括外部監査結果が提出され、包括外部監査を担当した公認会計士から説明を受けました。
 包括外部監査は、地方自治法により知事が毎会計年度、公認会計士など特定の個人と包括外部監査契約を締結し、包括外部監査人が「特定のテーマ」について、県や関連団体に対して実施する監査制度です。
 私は前年度、県の監査委員でもあったことからこの監査結果には関心があり、対象とした施策の財務事務の執行を監査するものですが、県行政をチェックする議会として、専門家集団の監査による結果を参考に県政を質していく議会にとっては、重要な情報となります。

 静岡県における令和5年度の監査テーマは、「観光に関する施策の財務事務の執行について」でした。
 監査報告によると、このテーマを選択した理由として、観光は地方創生のための重要な施策の一つで、本県のマスタープランである総合計画「新ビジョン」の中でも、施策の柱に観光交流の拡大を掲げています。そこで以下のように理由を説明しています。

  1. 産業としての観光は、製造業などに比べて、小規模な事業者が多く、交通や観光施設等の公共的なインフラへの依存も大きいことから、官民一体による観光拠点が必要であり、県に求められる役割や期待が大きい。
  2. 観光は、新型コロナウイルス感染症の拡大により最も大きな打撃を受けた産業分野の一つであり、アフターコロナにおいていかに早く、コロナ前の状態に戻し、更なる成長・発展につなげていけるか、このことにより今後の地域経済に与える影響が大きい。
  3. 令和3年から令和4年にかけて県の総合計画が大きく変化する年でもあったことから、この変化を捉え県の観光施策がどのように見直されたのか。この見直しは今後の施策展開において重要な意味を持つものであり、ここでの検証が必要と考えた。
と説明がありました。

 全ての施策を検証することは困難ですが、その中から観光に関する施策を所管しているスポーツ・文化観光部の令和4年度事業から23事業を抽出し監査対象としました。

 その結果を踏まえ、監査結果の最後には次のように所感を寄せています。
国はDMO(観光地域づくり法人)を各地域における「観光地経営」の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として位置付け、インバウンド対策などについて戦略的に取り組もうとしている。
 本県においては、県観光協会が県全域を対象地域としている地域連携DMOとして登録されており、実際に今回の監査対象事業にも県観光協会が行っている事業に対して県所管課が資金的な補助をしているものも多数あった。県観光協会をはじめDMOの活動の主な支出財源は県からの補助である「税金」が原資となっており、県はDMOの活動を適切に管理する責任がある。個々の事業に対して、できるだけ明確に目標を設定し、これをDMOとも共有し、結果に対して厳格に事後評価をして次の事業に生かしていくという管理サイクルを見直していくべきである。
 また、観光関連事業は時宜に応じていく必要があり、事業の内容を柔軟に変えていくことが求められている分、先を見通すことが難しく、同じ作業を繰り返す事業に比べ、ミスが起きやすい環境にある。先の見通しが難しい分、うまくいかなかった経緯や理由をしっかり分析し、課内で共有して次の事業等に生かすべきである。
 その他、観光分野でのデジタル化が進み、県の「データー利活用基盤」の民間連携なども活発化するので、それに対応すべき取組に期待している。

 これらの包括外部監査結果は、私たち議会が県政を検証する際に、その状況を深く読み解くためには重要な情報であることを認識しました。特に今回は、本県にとっても「観光産業」が重要なことは理解しているものの、目指す目標に向かって課題はないか、あるとすればどのように対処すべきか、今後の議会活動に生かしていきたいと思います。
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スタートアップビジネスプランコンテスト最終審査結果

2024年03月28日 | 議会活動
令和6年3月28日(木)

 26日、静岡市にあるグランシップにて、静岡県主催の「スタートアップビジネスプランコンテスト」最終審査が行われ、その様子をつぶさに見てきました。




 スタートアップは、「経済成長の原動力」や「社会課題解決への貢献」が期待されています。前者では、これまでにない考え方や技術を導入し、新たな価値であるイノベーションの創出。新たな市場を形成し、急速に成長することへ期待があります。
 また後者では、アフターコロナ、脱炭素化社会、人口減少等への対応が喫緊の課題であり、これらの社会問題をビジネスチャンスとして捉え、事業として解決できることなどが期待されています。

 静岡県では昨年9月に「静岡県スタートアップ支援戦略」を打ち出しました。その後12月18日にイノベーション拠点「SHIP」にスタートアップのワンストップ相談窓口を設置したほか、2月15日にスタートアップ支援関係者によるネットワーク「ふじのくに"SEAs"」を設立しました。また、3月26日にはビジネスプランコンテスト最終審査会を開催し、成功事例の創出に向けて取り組んでいます。

 私は今回のコンテスト最終審査の前から、このコンテストに全国からエントリーしてきた250社ほどの取り組みに大きな関心を寄せ、ファイナリストとなった10社はいずれも先ほど冒頭で触れたスタートアップへの期待に対し、より現実的に実現できるものとして、その最終結果に期待を寄せていました。








(審査員の皆さん)

 審査結果は、1位にリッパー株式会社(富士市)の「タイヤを黒から白へ」(脱炭素社会と豊かな海を実現するナノセルロースタイヤ素材事業)、2位に株式会社トヨコー(富士市)の「社会インフラメンテナンスの3Kを3Cに」(静岡発の高出力サビ取りレーザーでインフラ構造物をメンテナンス)、3位に「魚の病気検知を経験則からAIに 静岡発世界の養殖をDXする」(魚病早期検出システム開発プロジェクト『UMIDaS』)がそれぞれ受賞し、懸賞金が授与されました。


(1位受賞者)


(2位受賞者)


(3位受賞者)



(受賞者・審査員等とともに)

 審査員からは、今回のコンテストは国内でもトップレベルのビジネスプランが競い合い、審査には多くの意見が出て結果として僅差で賞が決まったと説明がありました。
 私も、休憩を挟んで約3時間にわたり各プレゼンターの説明を聞き、専門家ではありませんがそのレベルの高さに驚かされ、スタートアップの実力を垣間見たように感じました。

 審査結果が報告されるまでの間は、「静岡の可能性」と題し3人のこの分野に精通しているスピーカーがスペシャルセッションを行い、静岡県の様々な可能性を共有しました。
 最後には、来場者とファイナリスト、審査員などが交流するネットワーキングが行われ、今回のコンテストを契機として新たなビジネスチャンスにつながる可能性を求めて盛り上がっていました。


(スペシャルセッション)


(ネットワーキング)

 私は改めてスタートアップに対する関心と期待を高める機会となり、特に受賞した3人が地元富士市在住の方々であったことは驚きです。地元富士市はこれまで基幹産業である製紙業を中心とした「ものづくりの町」でした。しかし現在は、時代の流れでかつてのような勢いは見えていません。
 今回の3人の快挙は、地元に大きな期待、希望を与えてくれました。受賞者の説明からは、地元で育った人との繋がり、地元で培ってきた技術などが背景にあり、「静岡発世界へ」の思いに大きな賞賛を贈りたいと思います。
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造園緑化事業を担う関係者の総会に出席して

2024年03月27日 | 議会活動
令和6年3月27日(水)

 地元富士市内の道路や公園などの公共施設の緑地整備等に関わる、市内造園業者で構成する「富士市造園緑化事業協同組合」の総会に出席しました。

 造園緑化事業を専門とするこの団体は、県や市の管理する施設に関し、入札を介して共同受注し、適切な樹木等管理作業を実施しています。市内の道路や公園などの樹木や花壇などは、専門技能がある彼らにより常にきれいな状態が保たれており、街に潤いを与える役割を果たしています。

 3月23日から始まった、浜名湖周辺の「浜松フラワーパーク」を会場とする「浜名湖花博2024」は、最初に開催してから20年目を迎え、その記念行事として開催されています。この20年の間にも、この会場ではいくつもの花に関するイベントが開催され、私も参加したことがあります。
 「花博2024」開催後の報道では、多くの来訪者があり、花への関心の高さがうかがえます。会場もかなり広く、1日かけて楽しむことができそうです。

 私が訪れたのは、平成26年に開催された「浜名湖花博10周年記念事業 第31回全国都市緑化しずおかフェア」で、その時の印象は会場の広大さと花の持つ圧倒的な魅力でした。また、ミニ庭園などが展示され、その作品に携わった造園に関わる方々の巧みな技に驚かされた記憶があります。その中には私の地元事業者の作品もありました。

 総会の話しに戻りますが、造園業は小規模・多工種のため、多能工になるまではかなりの経験が必要とされています。一般的な個人の生活環境においては造園そのものが身近に感じることはあまりないかもしれません。しかし、先ほども触れたように街の中にはその専門家ならではの効果が随所に現れています。

 その造園業も様々な課題を抱えていました。大きな課題は事業者数の減少で、数年前に比べ2/3までに減少しています。複数の職人を抱えていた事業者も一人親方になり、後継者も未定という事業者が増えました。人材確保は喫緊の課題です。人材確保ができたとしても技能を取得するまでには時間がかかります。即戦力となるための育成が必要となります。加えて、物価高騰は資材の値上がりを招き、経営にとって打撃は少なくありません。

 これからの時代、これまでの緑地等が私たちの心を癒やし、豊かな気持ちにさせてくれる空間のほか、SDGsの観点からもグリーンインフラとしての価値が重要視され、それに関わる専門家集団としての期待は大きくなると考えます。
 公共施設の管理を行ってきた彼らの継続的存在に課題が生じ始めていることを現実問題として捉え、その対策には行政も関わっていく必要があります。
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