鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

観光地域づくりの提言

2019年02月28日 | 議会活動

平成31年2月28日(木)

 

 県議会の「観光地域づくり特別委員会」の調査報告書がまとまり提出されました。

 調査では、現在、県が取り組む関係施策や観光先進地である京都府ほかなどから、観光客の利便性向上や観光情報発信強化取り組みについて調査しました。また、地域連携DMO、観光地域づくりの人材育成、外国人観光客誘客、農家民宿等の関係者を参考人として、観光地域づくりに関する現状や課題、県の役割に対する意見などを聴取しました。

 

 本県は、富士山世界遺産をはじめとする多くの観光資源を有し、本年開催のラグビーワールドカップ2019や来年開催の東京2020オリンピック・パラリンピックなどのスポーツのビッグイベントが県内を会場に開催され、また、今年はJR6社による全国向けの本県をターゲットとした誘客キャンペーンが4月から3ヶ月行われるなど、観光振興に向けて好条件がそろっています。

 これを一過性のものとせず、持続的な誘客に結びつけるために国内外からの観光客の来訪を促進するための観光地域づくりが求められています。

 

 提言では大きく4つの項目が列挙されました。

 提言1は、「観光客の受け入れ環境の整備と人材育成」で、広域連携の促進や地域づくりへの担い手への支援強化、外国人観光客の誘客の強化。

 提言2は、「交通ネットワークの活用による観光誘客促進」で、富士山静岡空港の路線の拡大と清水港の観光利用や観光のための県内鉄道網の更なる活用、観光客の利便性向上に向けた取り組みの加速化。

 提言3では、「地域の魅力を高める美しい自然景観の保全と形成」で、本県を代表する観光地域の景観の維持・保全や来訪者の印象に残る景観づくり。

 提言4では、「本県の農林水産業の魅力を活用した観光交流」で、農林漁家民宿の充実に向けた支援や農林魚家民宿を通じた観点からのまちおこしへの発展、「食の都」、「茶の都」、「花の都」づくりを活用した誘客の促進などをあげています。

 

 観光振興を先導するための専門組織であるDMOによる攻めの戦略的施策や、現在では情報提供や発信手段の常識となった無料Wi-Fiの整備は、日本人のみならず外国人にとっては必要不可欠の施設であり、この整備は今後加速されるものと思われます。この施設整備の大きなメリットの一つに、これを使用する観光客の行動パターンがビックデータとして蓄積され、その動向を調査・解析することで観光客にとって必要な施策を適宜提供することもできます。

 

 ものづくりを中心に発達してきた地元富士市でも、この観光振興のうねりをどう捉え、実践していくのか、アンテナを高くし迅速な対応を取ることで、素晴らしい地域資源が眠るこの地域が、新たな観光振興を核としたまちづくりができるよう、支援していきたいと思います。

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本庶佑先生の祝賀会

2019年02月27日 | 議会活動

平成31年2月27日(水)

 

 2018年ノーベル生理学・医学賞受賞を受賞した、静岡県立大学顧問で京都大学高等研究所副院長の本庶佑先生の祝賀会が、静岡市内のホテルにて関係者300名が集い開催されました。

(発起人挨拶を行う川勝知事)


(会場に飾られたノーベル賞受賞関係資料)


 (初めて本物を拝見)

 

(県民栄誉賞贈呈)

 

 ノーベル生理学・医学賞の受賞理由は、既にご案内の通り、「免疫抑制の阻害よる癌治療法の発見(癌治療におけるPD-1の発見とその重要性)」です。これは、体内に癌細胞が生まれると、通常免疫細胞が異物とみなして攻撃し、死滅させようとします。

 本庶先生は、1992年に免疫細胞の一種である「T細胞」の表面に存在する新たなタンパク質を発見し、「PD-1」と命名しました。その後、「PD-1」が、癌細胞表面に存在する別のタンパク質「PDL-1」と結びつくと、免疫細胞の動きにブレーキがかかることを解明し、この癌細胞によるブレーキを解除することで免疫細胞の攻撃力が回復し、癌を治療できることを明らかにしたということです。

 このメカニズムに基づいてつくられた薬は、末期癌の患者でも癌の進行をほぼ抑えて生存期間を延長できることが示され、世界中に衝撃を与えたとしています。

 この薬の名前が「オプジーボ」であり、2014年には世界で先駆け日本で皮膚癌の治療薬として承認され、その後は、肺癌や胃癌など幅広い癌種での効果が確認されています。

 

 現在は、ほぼ二人に一人が癌にかかるといわれ、私の周囲でも多くの罹患した方がいます。

 祝賀会の来賓には、森元総理が出席され、自らの癌歴について触れ、オプジーボが承認薬になる前に肺がんにかかり、一時は厳しい状況に陥りましたが、この新薬により回復したことの驚きと、感謝を挨拶の中で伝えました。

(森元首相がご自分の病歴について触れた)

 

 本庶先生は、これまでの苦労がこの受賞により報われたことはもちろんのこと、多くに患者に喜ばれていることが何より自分にとっても幸せなことと表現しています。

 挨拶の中では、研究者としての哲学をしっかり持つことが重要であることを力説され、今後、後進達がさらに進化する研究に望めるよう、科学研究費確保による支援などを訴えていました。

 このように科学の進歩による確実な寿命の延伸がありますが、人は必ず寿命を終えることから、これからは「どう生きるかよりも、どういう死に方をするかが求められる時代になる。」と触れています。ここに新たな本庶哲学を垣間見た気がしました。

 また、ゴルフが大好きだそうで、それを聞きつけたゴルフ関係者から、世界大会が行われるマスターズのオーガスタに招待され、ノーベル賞受賞影響の大きさに驚かされたというエピソードもご披露されました。

(武士のような表情を崩さず)

 

 スウェーデンの授賞式の様子は、当時テレビや新聞報道で見ていましたが、着物姿が凜々しく、今回の祝賀会では洋服姿ではありましたが、姿勢や表情はかつての日本の武士を彷彿とさせる、私にとっても生涯忘れることができない姿を、目に焼き付けることができました。

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多様な働き方推進の調査報告

2019年02月26日 | 議会活動

平成31年2月26日(火)

 

 県議会の「多様な働き方推進特別委員会」の調査報告が行われました。今の社会は、雇用の側から見れば人材が不足し、受注できる仕事ができないであるとか、就労の立場からは、ライフスタイルの多様化に会わせた働き方を求めるなど、それぞれの目的に沿って上手く組み合わせることができれば、互いの思いが実現できます。特別委員会では、県内外の現状を調査しとりまとめ、今後の県の取り組みについて助言しています。

 

 経済のグローバル化やIoT、AI等の導入により、産業構造とともに職業や就業形態も大きく変化することが予想されます。健康寿命の延伸等に伴う定年の引き上げやライフスタイルの多様化により、性別や年齢を問わず働く意欲のある人が活躍可能な労働環境の実現が望まれています。わが国の労働環境には、長時間労働や「正規」・「非正規」労働者の待遇の差、子育てや介護等と仕事の両立、副業・兼業など、働き方の多様化等の様々な問題が存在しています。これに対して国では、一人一人がより良い将来の展望を持つことができる、多様で柔軟な働き方が可能な社会の実現を目指した「働き方改革」に取り組んでいます。

 また、企業にとっては、人口減少社会の中でも全ての事業所において生産性の向上を図るためには、働く人たちの多様性を受け入れる体制づくりに務めることで、その希望が叶うことになります。

 

 調査報告では、大きく5つの提言にまとめられました。

 提言1は、多様な働き方に対応する意識改革で、企業経営者の意識改革や働く側の自分らしい働き方の意識醸成について。

 提言2は、労働生産性の向上に向けた職場環境づくりで、健康経営の強力な推進と、ICT、AI等の技術革新の進展に対応した生産性向上の取り組み及び、業務の効率化。

 提言3では、ワーク・ライフ・バランスの更なる推進として、介護や子育て等と仕事との両立支援、働き方改革に取り組む企業等の掘り起こし、働き方に関する相談や支援制度の整備・拡充。

 第4提言では、ライフステージに応じて活躍できる環境の整備として、高齢者の活躍支援、障がいのある人の活躍支援、働きたくても働けない人へ支援、雇用によらない働き方の研究。

 第5の提言では、人生100年時代における活力ある静岡県の実現となっています。

 

 提言4の働きたくても働けない人への支援では、富士市で取り組んでいる、悩みを抱えるそれぞれの状況に応じて、その人と企業を仲介しサポートするオーダーメード型のユニバーサル就労支援が紹介されていました。

 

 雇用と就労はクルマの両輪であり、それぞれの立場を理解して連携していくことの重要性を改めて認識しました。

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富士山の日

2019年02月25日 | 議会活動

平成31年2月25日(月)

 

 2月23日は「富士山の日」。この前後を挟んで各地でイベントが開催されました。

 今年で10回目を迎える「富士山の日」を祝う、静岡県と山梨県が共催した「富士山の日フェスタ2019」が、御殿場市内で開催され、出席してきました。また、地元富士市内でも、「富士山の日」を祝い、田子の浦地区では記念植樹と植栽が行われ、地域の皆さんと一緒に作業をさせていただきました。

 

 「富士山の日フェスタ2019」は、世界遺産登録5周年を迎えた富士山の保全をさらに万全を期すとともに、顕著で普遍的な価値を後世に継承していくため、両県の関係者及び県民が一堂に会し開催されたものです。毎年開催される行事ですが、開催場所は、両県が交互に務めることになっており、今年は静岡県となりました。

 

 開催内容は、セレモニーの後、静岡県と山梨県にそれぞれある世界遺産センターに寄る研究成果発表と、記念講演が行われました。

(主催者挨拶の川勝知事)


 研究成果発表では、静岡県富士山世界遺産センター教授の松島仁氏より、「富士山イメージの政治学―徳川将軍を中心に―」と題し、また、山梨県立富士山世界遺産センター主幹の堀内亨氏による「溶岩洞窟をめぐる信仰」と題して、それぞれ講演をいただきました。

(静岡県世界遺産センターの松島氏による研究成果発表)


(山梨県立富士山世界遺産センター主幹の堀内亨氏)


 両世界遺産センターでは、富士山に関わる調査研究が行われており、そのための人員が配置されています。その分野ではトップクラスの研究者がそろい、毎年開催されるこのイベントでは、その成果を聞くことが大きな楽しみでもあります。

 記念講演では、国文学者である中西進氏を迎え、「富士山と日本人」と題して講演をいただきました。日本人の山に対する認識が歴史的観点から見てどのように変化してきたのか、富士山が日本の象徴として崇められるまでの流れについて、開設していただきました。特に、浮世絵から見た富士山は、写真にない実写と心眼で見る構図の解説には、なるほどとうなずけるものがあり、感動しました。

(国文学者の中西進氏による講演)

 

 田子の浦地区まちづくり協議会が主催した記念植樹のセレモニーでは、昨年完成した「ふじのくに田子の浦みなと公園」内の一角に、ソテツの記念樹が3本植えられ、さらに花壇への植樹が、地域住民の皆様の手により行われました。

 私も地域課題などで地域の皆様と交流する機会が増え、今回もそのご縁で参加させていただいたものです。

(記念植樹の前に来賓として挨拶をさせていただいた)


(ソテツの記念植樹)


(地域の皆さんと一緒に植樹を手伝う)


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富士市の高度成長期を垣間見る

2019年02月24日 | 議会活動

平成31年2月24日(日)

 

 富士市広見地区の50年記念式典にお声がけをいただき、出席してきました。

 

 広見地区は富士市の中心市街地の一つである吉原地区の北側の丘陵地帯にあり、現在では20町内会、人口12,700人余、5,400世帯余が住んでいる、市内では初めての大規模団地です。

 

 昭和37年から40年にかけて静岡県が造成した吉原住宅団地を中心に、周辺への民間開発による宅地造成で町並みを形成してきました。設立当時から50年が経ち、その大きな節目を迎え、様々な時代の流れの中で街が成長し、課題に対しても積極的に取り組んできたお話を聞くことで、富士市の時代の流れを象徴するまちづくりであったことを実感する機会となりました。

 

 昭和30年代後半から40年代前半は、富士市にとって大きな高度成長期と重なります。市内には基幹産業である製紙業が盛んに行われていましたが、それ以外にも大手企業を誘致しようという動きがあり、田子の浦港の整備とその周辺にある化学繊維や食品・医薬品関係などの企業群もその時代の誘致の結果といえます。

 

 企業の誘致が成功すると、そこで働く人たちの住環境を整備することが求められ、今回50年を迎えた広見地区やその東方にある富士見台地区などもその受け皿として形成されたものです。

 広見地区は、団地が形成されるまでは全く民家のない、畑や雑木林のある地域で、約120名の地権者がいたそうですが、市の将来をかけて取り組む一大プロジェクトに賛同し、短期間での用地買収に協力し、その先陣として建設された市営・県営団地は2年後から入居が始まったとされます。以後、着手から5年で商店街の原型もできあがったようで、高度成長期の事業は、今では想像できないくらいの早さで進んだのかと驚くばかりです。

 

 人が住んでいなかった地域に新たな街が形成され、そこの住む住民の多くは、市外から来た新たな雇用の場に投入される方々であり、コミュニティの形成はどのように行われてきたのか、大変興味のあるところです。

 途中経過や現在の取り組み、課題などについて、50年を振り返る記念誌が編纂されているとのことで、この式典に参加した皆様にも完成前の資料として提供していただき、この地域だけでなく他の地域にとっても、まちづくりの資料として大変参考となる内容に感じました。

 

 私は、近年、この地域の課題等について相談を受ける機会も増えてきましたが、役員の皆さんとの交流ではこのような地域の生い立ちについて触れることは少なく、大変貴重な機会をいただきました。同時に、富士市の高度成長期の様子を垣間見ることになり、今後の議員活動の参考とさせていただこうと思います。

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