鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

河川愛護と防災

2017年05月25日 | 議会活動

平成29年5月25日(木)

 

 河川の役割は、単に水が流れているだけでなく、様々な人の営みにも関係してきます。平時は河川から受ける恵みが多く、私達の生活水の水源や、動植物の生息地として人間以外にも良好な環境を提供しています。また、水辺の潤いが憩いの場を提供することもあるでしょう。大きな河川では、物流の役割を果たしたり、電気エネルギーの供給元になることもあります。

 これが非常時となると、例えば集中豪雨などで河川が氾濫し、大きな災害を発生することもあり、河川は自然の恵みと脅威を兼ね備えた場所でもあります。

 

 かつて、昔から自然の中にその一部として人が生活していた頃があった一方で、自然災害の抑制のために、また開発のために「人が力尽くで自然に立ち向かう」ことが続いていた時代には、河川はコンクリートの壁で壁面と底面ががっちり覆われた構造に変わり、河川は単に水が流れるだけの場所となり、動植物の生息環境が失われていきました。また人も河川から遠のいでしまいました。しかし、環境問題が提起されると、河川の構造も本来の機能に戻すべき対策が講じられ、動植物の生息が可能な構造を取り入れるようになりました。自然が戻ると、「親水」という言葉で象徴されるように、河川から遠ざかっていた人が河川に戻り始めます。一度壊した自然を、完全に昔のように取り戻すことは非常に困難ですが、それでも各地で昔生息していた水辺の動植物が見られるようになり、鮎が遡上したとか、ホタルが舞い始めたという話を聞きます。

 

 しかし、河川の流域は膨大な距離であり、河川管理者と呼ぶ国や地方自治体などが全てを常に管理することは、物理的にも財政的にも困難です。そこで、河川の近くに住む住民が、土手のゴミ拾いや除草などで自主的に日常管理する仕組み、本県の場合では「リバーフレンドシップ」という制度が導入されています。市内でもいくつかの地域でこの制度が導入されています。例えば、この活動を地域のリクレーションとして取り組み、土手にお花見ができるような花を植え、満開の時には花見会を開催し、散歩道として整備しながら河川管理を行うなど、各地で工夫を凝らした取り組みが見られます。この事業には、行政からいくらかの助成もあり、それも活用されています。

 

 本来の河川管理者である行政は、平時の「親水」と「管理」を兼ね合わせた事業に市民を巻き込んで実施する一方で、非常時の対策は万全でなければなりません。濁流に耐えられるような強固な堤を河川の弱い場所に導入するなど、メリハリを付けています。

 

 河川の土手沿いには、大きな桜並木を見ることがあります。樹齢は半世紀を超えているものもあり、昔から水辺に親しむ習慣があったことがうかがえます。木は生長すると枝の大きさを支えるために、それと同等の根が地下に張り巡らされ、また、強風が吹くと樹木全体の揺れが土手に大きな力を加えることになります。結果、防災上の視点から、土手沿いの樹木が問題視されるようになりました。

 現在では、土手に樹木を植えることは禁止されているようですが、昔からある地域住民の憩いの場である桜並木を撤去することは容易ではありません。生き物ですから永遠に残るものではありませんが、その木々と共に暮らしてきた住民にとっては悩ましい問題です。また、樹木が土手上に長きに渡り存在していることは、当初は住民が植えたにもかかわらず、いつしか河川管理者である行政が管理しているように思い込んでいる住民もあるようで、伸びた枝の剪定などを行政に求めてくることもあるようです。

 相談を受けた行政は、杓子定規な回答よりも、住民と共に歩める手法を検討していただき、落としどころを望むところです。

(川沿いの桜並木。大きく成長し満開の時期は多くの住民を楽しませる)


(川の中に伸びた枯れた枝の撤去などは、専門家の作業が望まれる)

 

 私達の身近な河川について、またその周辺環境について、生活の場の中の一つとして、行政と地元住民とで共通した認識を維持できるよう、機会ある毎に見つめていきたいと思います。

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