隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1432.午前零時のサンドリヨン

2014年01月29日 | 青春ミステリー
午前零時のサンドリヨン
読 了 日 2014/01/22
著  者 相沢沙呼
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 386
発 行 日 2012/10/26
ISBN 978-4-488-42311-7

 

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から気になっていたタイトルで2009年、第19回鮎川哲也賞を受賞した作品だ。
僕はタイトルに惚れ込んでしまって、内容もわからないままに無償に読みたくなることが時々ある。全てとは言わないが、大体においてそうした本は僕の期待に沿って、楽しむことができた。そういうことで僕にはタイトルは大事なものだから、幡隋院大氏のように「辞書を開いて単語をくっつけるだけ・・・」のタイトルなどは問題外だ。
まあ、しかしこのタイトルのサンドリヨンはスナック・バーの店名なのでそれほど深い意味はないのだが・・・。
(註本文中でも多少の説明はあるが、サンドリヨンとはシンデレラ(灰かぶり姫)と同義語)
解説などによれば、著者の相沢沙呼氏は前田知洋氏のクロースアップ・マジックに感銘して、マジックを始めてプロ並みの腕前にまでなったという。そして生まれたのがクロースアップ・マジックを操る、女子高生・西之初を主人公とするこの物語が生まれたというのである。
そのお相手として、狂言回しの役割を担うのは、女性を目の前にすると思うことが口にできなくなる、ちょっと気の弱いクラスメイトの須川くん。

 

 

 

ということで、先日僕は木更津市立図書館で文庫本の棚を探したのだが「ア」のところを隅から隅まで(僕が隅の老人だからというわけではないが)見ても、見当たらない。検索端末で場所を見ると、YA(ヤング・アダルト)の棚だった。図書館独自の分類に文句を言うつもりはないが、鮎川哲也賞の受賞作がヤング・アダルトに分類されることに違和感を感じながら借りてきた。

ところで、前出のマジシャン・前田知洋氏のクロースアップ・マジックはその世界では「奇跡の指先」と言われるほど巧みなマジックを、観客の直ぐ目の前で行うのが特徴だ。いつだったかは忘れたが、以前NHKテレビ(若しかしたらBS放送だったかもしれない?)で、「前田知洋の世界」と言う番組が放送された。
MCを勤めた小郷知子アナとゲストに招かれた中尾彬、Nana、松尾貴史、賀集利樹、麻木久仁子、林家正蔵といった六氏の芸能人を前に、カードマジックを始めとして数々のクロースアップ・マジックを披露した。
著者の相沢氏同様僕もテレビ放送ではあったが、その見事な手さばきに大いに感銘した。番組は録画してDVDに残して、今でも時に引っ張り出して見返すことがある。
何度見てもそのタネが判るわけではないものの、巧みな演出とマジックは何度見ても飽きることがない。
それは本書の巻頭に出てくる「サーストンの3原則」の一つ「種明かしをしてはならない」とあるように、 不思議な現象のままだから、何度でも楽しめるのかもしれない。

 

 

 

川くんは他の生徒と交わらず、いつも一人で表情も暗い西之初という女生徒に俄然興味を抱いたのは、サンドリヨンという店で、教室の彼女と同一人物とは思えないほど明るい笑顔で、客を相手にマジックをする西之の姿を見てからだ。
だが、昼間の教室での彼女は相変わらず、どちらかと言えば不機嫌の顔を見せて、須川くんとも打ち解けることはなかった。そんな中で思いもかけず彼女はある謎を解いてしまったのだ。
彼女がマジックを始めたきっかけや、学校伝説とも言うべき幽霊騒動などが、微妙に絡み合ってストーリーは展開する。須川くんの西之初への思いは伝わるのかと言ったことも尾を引きながら・・・・。

 

収録作
# タイトル
1 空中トライアンフ
2 胸中カード・スタッブ
3 あてにならないプレディクタ
4 あなたのためのワイルド・カード

 

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