隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1570.風塵地帯

2015年11月23日 | スパイ
風塵地帯
読了日 2015/11/09
著 者 三好徹
出版社 中央公論社
形 態 文庫
ページ数 273
発行日 1982/04/10
書肆番号 1193-610424-4622

 

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十年近くも馴染んできたコーヒーの銘柄を変えてみた。先日近くのスーパーのコーヒー・コーナーで、400gの袋入りが税込み311円という価格が目についた。いつも買うものと200円もの差があったから、その価格差に誘惑されて買ってきた。ユニカフェという銘柄は見たことも聞いたこともなく、初めて目にするものだったが、400gは2週間ほどで飲んでしまう量だから、たとえ不味かったとしても少しの辛抱だと、そんな思いもあったのだ。
毎朝朝食後はパソコンに向かいコーヒーを飲みながら、読み終わった本についてワードで記録している。僕が今まで飲んでいたのはモカブレンドで、長年の習慣はその味にコーヒーの味という認識を、僕に持たせているから、たまにコーヒーショップなどで飲むコーヒーは、自分で入れて飲むコーヒーと比較してうまいかどうか、という判断をしていた。
しかし、僕は味についてそれほど感性が豊かではないから、たとえいつも飲むコーヒーと多少味が違おうと、気にすることはないのだが…。今、その初めてのコーヒーを飲んでみて、割とあっさりとした飲み口ではあるが、不味いということはない。
そう、たとえるなら昔ファーストフッドや、ファミリーレストランでお変わり自由で盛んに飲んだアメリカン・コーヒーと相通じるような味と言ったらいいか。現在僕はどちらかと言えば、濃い味が好みとなっているので、少し多めの粉でドリップすればいいのだろう。そんな感じを持ったから、僕の懐具合を考えれば今後飲み続けるコーヒーにしようと思った次第だ。

 

 

随分古い本だがそれほど前に買ったものではない。多分1~2年、あるいはもう少し前だったか、カバー後ろの80円の値札から、古書店店頭の均一セールで買ったのだろう。以前には本書を読みたくて結構そっちこっち探し歩いたものだが、一向に古書店に現れることがなく、見つけることができなかった。
半ばあきらめかけていた時、木更津駅近くの古書店で見つけた(だと思う)。探し物の多くは見つけるのをやめた時に見つかる、というような歌の文句もあったが、その通り思わぬ時に見つかる。
そうして散々探し歩いたにもかかわらず、手に入れてしまえばいつでも読めるという安心感から、つい積ン読の仲間入りをさせてしまうのが僕の悪い癖なのだ。このところ積ン読本を何とか消化しなくては、と思う気持ちが沸いて、蔵書のデータを整理していて目につき、読み始めたものだ。
探していたのは、日本推理作家協会賞の受賞作を読もうと思っていたからだった。僕の読書はあれを読もうこれを読もうと、思うばっかりで遅々として進まないが、何とか年100冊の読書量だけは維持しようと、思って何か月か怠って穴の開いていた、ブログの記事をアップロードして、いま懸命に穴埋めをしているところだ。

 

 

埋めは誰のためでもなく、年に100冊を読めば80歳までに(80歳まで生きられればの話だ)、2000冊を読むことになって、少しは誇れる読書量になるなどと思っているからなのだ。
読書はその量で評価されるものではない、という人もいるが僕のこの読書記録は、60歳になった時それまで遠ざかっていたミステリーの世界に、本格的に取り組もうと思い、70歳までの10年で500冊のミステリーを読もうと思ったのが一つの動機だった。今考えれば10年で500冊の読書はささやかな目標だが、当時はそのくらい読めれば満足だという気持ちだったのだ。
現在のように面白そうなミステリーが、出版不況と言われる中でも次々と刊行される時代が、読者にとっては誠に幸せなことだ。さらに僕にとってなお嬉しいことに、読みたいと思う本が大概は手軽に入手できるという点だ。 僕のようにとてもわずかな年金頼りの生活者にとって、近年多店舗展開をする古書店チェーンのおかげで、比較的新しい本まで安価で手に入れることができることが、どれほど嬉しいことかは、物のない時代を経験した者にとって、身に染みてわかることだ。

 

 

朝のひと時コーヒーを飲みながら、こうした愚にもつかない記事だが、心に浮かぶことを書いていられるということさえ、幸せなことだと実感する。

さて、本書は昭和41年(1966年)に書き下ろしで刊行されたというから、随分古い作品だ。読売新聞を退社して書いたこの作品は、翌昭和42年に日本推理作家協会賞を受賞して、郷原宏氏によれば、「読書界に風塵を巻き起こした」という。 スパイ小説というジャンルに分類されているが、かつて(現在もか?)わが国はスパイ天国だといわれることがあった。そうした中で海外ほど優秀なスパイ小説が生まれるということはなかったのではないか?
否、そんなことはなく優秀作品はたくさんあるよ、という人がいるかも知れないが、僕自身はそうしたジャンルにさほど興味がないから知らないだけかも・・・・。
解説によればこの作品の背景は、1965年にインドネシアで起きたクーデターに材を取ったものらしい。僕は例によって過去のことはよく覚えていないのだが、海外特派員となった主人公を否応なしに巻き込んだ事件は、背筋を寒からしめるほどのサスペンスを味合わえる。

 

 

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