隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0810.モノレールねこ

2007年04月07日 | 短編集
モノレールねこ
読了日 2007/4/7
著 者 加納朋子
   
出版社 文藝春秋
形 態 単行本
ページ数 268
発行日 2006/11/30
ISBN 4-16-325510-9

連作ではない短編集。
ネットで発表された表題作は、当時著者のファンサイトで知り、プリントして読んだ。
子供の頃、どこからか来た不細工な猫を介在して見えない相手と文通が始まるという幕開きのストーリーで、爽やかな結末を迎える物語は、多くのファンに指示されていた。

著者にとっては珍しくどれも独立した短編だが、独特の心温まる読後感を与えてくれる作品ばかりだ。特に、最後の「バルタン最期の日」に至っては、子供に吊り上げられたザリガニを語り手とするストーリーで、子供の父親に“バルタン(テレビドラマ「ウルトラマン」に出てくる異星生物バルタン星人)”と名づけられたザリガニがその家庭の風景を描写するのだが、タイトルにある最期の日がどうやってくるのかが作品の見所か、否、読みどころだ。

こうしたわりと新しい本が図書館で借りられるのはごくまれなことだ。いつも、新しい本がスムースに借りられれば、無理して買うこともなくなるのだが、そうそう上手い具合に行かないのが世の常。

初出一覧
# タイトル 紙誌名 発行月号  
1 モノレールねこ e-NOVELS
あのころの宝もの
2003年3月
2 パズルの中の犬 オール読物 2006年4月号
3 マイ・フーリッシュ・アンクル オール読物 2006年1月号
4 シンデレラのお城 小説NON 2002年6月号
5 セイムタイム・ネクストイヤー 黄昏ホテル 2004年12月
6 ちょうちょう 西日本新聞 2004年6月7/15/21/28日
7 ポトスの樹 オール読物 2006年10月号
8 バルタン最期の日 オール読物 2005年7月号




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