隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1165.天使の報酬

2011年06月21日 | サスペンス
天使の報酬
読 了 日 2011/06/13
著  者 真保裕一
出 版 社 講談社
形  態 単行本
ページ数 390
発 行 日 2010/12/20
ISBN 978-4-06-216725-3

 

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OOKOFFやAmazonの古書の価格が安くなるのを待ちきれず、袖ケ浦市立図書館まで行って借りてきた。
図書館の利用は、必ずしも読みたいときに借りられるとは限らないので、僕は木更津市のほかに、千葉寄りの隣町・袖ケ浦市と、館山寄りの隣町・君津市の市立図書館の利用カードを作っている。
今回は幸い袖ケ浦市でタイミングよく前の利用者から返ってきたところだった。
何か急かされるような気になって、借りてきたが、それはやはりドラマのせいか? 例によって、僕の曖昧な記憶は肝心なドラマの導入部分を思い出せないでいるが、アメリカ・ロケ?のシーンは映画に負けない迫力の場面を構成していたように思う。

 

 

だが、読み始めて本書も前作同様、ドラマとは異なる筋立てとなっていた。それも冒頭からドラマとは全く異なるスタートに少しとまどう。主立った登場人物の名前はドラマと同じだから、そう感じるのだろう。
舞台はアメリカ西部、サンフランシスコのアパートの1室から始まる。元厚生労働省の官僚で、現在はアメリカに本社を持つブライトン製薬の日本支社へ勤務している、霜村元信の娘・瑠衣の部屋だ。
数日前から瑠衣と連絡が取れなくなっている中、サンフランシスコ市警は、窃盗の疑いで瑠衣の部屋を捜索していた。霜村の要請で、外交官の黒田康作は霜村とともに捜索に立ち会っていたが、黒田は霜村に何か隠し事があるような気がしていた。

 

 

は前の「アマルフィ」のところで、作者の真保氏が映画と小説は違う旨のことを言っていた、と言うようなことを書いたが、もしかしたらそれはドラマのことだったのかもしれないと、思った。
ドラマの冒頭では、舞台は同じくサンフランシスコながら、外務副大臣・観上祥子の護衛に当たった黒田の機転が描かれ、その後彼に連絡を取ってきた霜村は、黒田の旧友と言うことになっていた。
小説ではその辺の人物設定が全く違っており、ドラマで重要な役割を果たした、外務大臣も副大臣も登場しないのだ。
その上、さすがに小説の方は、いくつもの事件が複雑に絡み合った様相を示して行き、舞台を東京へと移してからは、警視庁外事課の要請により、敏腕刑事・大垣利香子に協力する形で、黒田の活躍が始まるといった展開だ。
わざわざ敏腕刑事と書いたのは、ドラマでは大いに活躍を見せるものの、警察内部ではあまり重要視されない役所だった大垣刑事が、小説では全く正反対ともとれる硬派な刑事として描かれているからだ。
黒田の動向もどちらかと言えば、アクションを主体とする映像とは変わって、足を使うものの頭脳プレイが主体となるところだろう。こちらの作品こそ、ドラマを見てからも十分にドラマとは異なる楽しみを味わえる作品となっている。

 

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