隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0284.火の航跡

2002年09月15日 | トラベルロマン

 

火の航跡
読了日 2002/9/15
著 者 平岩弓枝
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 407
発行日 1994/02/15
ISBN 4-16-716812-X

 

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城重久仁子の夫・文夫が失踪した。教育映画のような小品を制作する会社を辞めて、フリーのカメラマンとなり、六本木に事務所を持っている城重が、普段と変わりなく自宅を出たまま行方不明となったのである。事務所の秘書が何か知っているらしいが、彼女が突然ギリシャへと旅立った。久仁子は謎を解くためにギリシャへ向かう。そしてさらにメキシコへ・・・。

 

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何の前触れもなく突然姿を消した夫、残された妻、そうした導入部分で、ちょっと松本清張氏の作品を思い浮かべた。
ごく普通に結婚して、あるいはちょっとした恋愛の末にでも良いが、結婚後はありふれた生活の中で、送っていた幸せな日々が、突然崩れ去るという、ミステリーの導入部分に僕はとっても惹かれる。その裏に隠された謎を予感するからである。ありきたりなようだが、そこから主人公の行動によって、少しずつ謎が解明されるか、あるいはさらに謎が深まるとか、知っていると思っていた人物の全く別の顔が見えてきたりという展開に、僕は、ストーリーに入り込み、主人公に感情を移入していくという読書のスタイルが好きなのだ。
そういう楽しみ方が出来るのが、平岩作品だと僕は思っている。

 

初出(週刊朝日 昭和52年6月3日号~53年2月3日号)


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