隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0101.すべてがFになる

2001年04月28日 | 本格
すべてがFになる
読了日 2001/4/28
著 者 森博嗣
出版社 講談社
形 態 新書
ページ数 334
発行日 1996/04/22
ISBN 4-06-18190-1

 

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某国立大学工学部助教授だという著者の本が、書店に行く都度目に付くので、1冊は読んでみようと思いデビュー作だという本書を買ってきた。
新書版(ノベルス)2段組の369ページはかなりの長編だが、文章は割りと読みやすい。
ただ、工学部の先生ということからか、結構むずかしい単語が出てくるが、多少でもパソコンなどを試みている人ならスムースに読めて、理解の範疇だろう。
タイトルに「すべてがFになる」という日本語のほかに、"THE PERFECT INSIDER"と英文の副題(日本語の方が副題か?)がついており、最後まで読み終わると、それらが、どちらも重要な意味を持っていることが判る。

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工学博士・真加田左千朗と言語学者でその妻の美千代との間に生まれた真加田四季は、幼い頃からその才能を発揮した天才的なプログラマーだったが、15年前、14歳の時に両親を殺害した罪に問われた。
しかし、心神耗弱による無罪が確定して、現在は妃真加島という無人島を買い取り、そこに建設した真加田研究所に15年の間立てこもり研究を続け一歩も外に出ることも、人と会うこともなかった。
大学工学部助教授の犀川創平は、ゼミ旅行に妃真加島へ行こうという西之園萌絵の提案を受け入れた。そこでとんでもない事件に出くわすとは誰も考えていなかった。

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この本の面白さの中心は、なんといっても妃真加島の真加田研究所内で起きた密室殺人事件の謎だが、それ以外にも西之園萌絵のお嬢様振りとか、にもかかわらず天才ぶり、所々に出てくるユーモアや、真加田研究所内の不思議な環境等々、が上げられる。
事件解決後の犀川創平の語る、萌絵の父親で犀川の恩師だった西之園教授の講義における逸話は、どこかにモデルが居るのではないかとも思われるような、興味深い話だ。

 


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