不連続の世界 | ||
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読 了 日 | 2014/01/06 | |
著 者 | 恩田陸 | |
出 版 社 | 幻冬舎 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 289 | |
発 行 日 | 2008/07/30 | |
ISBN | 978-4-344-01539-5 |
更津市内をはしる国道16号線沿いに、精文館という郊外型の大型書店がある。多分市内および近隣でも最多の品揃えを誇る書店ではないか。店舗の一角にはDVD・CDのレンタル店・TSUTAYAや、子供の遊び場なども併設している。
元々は忠実屋という中堅のスーパーマーケット(後にダイエーに吸収合併されて忠実屋の名称はなくなり、バブル崩壊後不振店となって撤退した)の跡地で、広い店舗面積と駐車場を有し、多くの来店客で賑わいを見せている。
僕は時々はこの店を訪れて、新刊書籍の動向や、新しく文庫化された作品などを見たり、時にはコンピュータ関連の書籍を確認したりしている。しかし、広大な店舗面積を誇るとはいえ、品揃えには当然限度があるから、 すべての本があるわけではないのは勿論だ。
例えば文芸書の棚を見ても、担当者の好みからか、あるいは当然売り上げを優先させることからだろうが、見 当たらない作家はいくらでもあって、僕の好みの本がないときなど(いや、別に買おうと思って探すわけではないが)「あれっ!あの作家の本は入れてないのか?」と思うこともある。
また、TSUTAYAの方にも入って、同じく豊富な品揃えにどんな映画やドラマがDVDやブルーレイになっているのかを見て歩く。そんな風にして歩いていると、1時間やそこいらは直ぐに過ぎてしまうから、時間つぶしにも格好な店なのだ。
先ごろ僕はそのTSUTAYAでDVDを2枚レンタルしてきた。前々から気になっていた映画で、一つは中山七里氏の原作になる「さよならドビュッシー」、もう一つは「ストロベリー・ナイト」で、こちらは誉田哲也氏の警察小説、姫川玲子シリーズの1篇で、「ブルーマーダー」が原作だ。
あっ、余分な話が長くなるから、この話はまた別の機会にしようか。恩田陸氏の本のところで、他の作家の作品について書くのは、失礼だしね。
ヶ浦市のBOOKOFFにCDなどの処分に行ったとき、単行本の105円の棚で本書の背表紙タイトルを見て、ずっと前に読んだ「月の裏側」を思い出して、内容はすでに記憶の彼方だが、そのとき受けたなんとも不思議な感覚がよみがえった。
恩田陸氏の作品はわかりにくい、という読者もいるが、僕はそうしたところも含めて好きな作家の一人だ。
ファンタジーのような、不思議な感覚を抱かせる作品や、そこはかとなく怖い作品など、恩田ワールドはバラエティーに富んだ楽しさを味わえる。
だが、此の作品のように、前に読んだ作品に登場した人物が、再度登場するいわばシリーズとも言える作品を読むとき、はてこの人物はどんな人物だったのか、と思い出せないことも多いのだ。そんなときはまた改めて前の作品を、パラパラとめくり返すこともあって、結構時間のかかる読書となる。いや、別に前の作品を読み返さなくとも、支障はないのだが時々僕は、そうした無駄な時間を費やすことで、より充実の読書を楽しもうとするのだ。
もっとも、読み終わった本の大半は処分してしまってるから、どうしても確認したいときは図書館に行くことになる。著者の短編のには他の作品に出ていた主人公ではない人物がまた出てくるといったことがあって、いくつもの作品を読んでいると、「あれっ!この人物は何処かに出ていたな?」と、僕は頼りない記憶の底から懸命に探り出そうする。そんなところも著者の作品を読む楽しさに繋がるのだ。
んな負け惜しみを言いつつも、本当は頭の回転がよく理解力に富んでいたら、もっともっと読書が楽しくなることは必至だろう。しかし、それこそ考えてどうにかなることではないから、僕のつたない能力で精一杯楽しむしかないのだ。
僕が著者の作品について言うときは、勿論今までに僕が読んだ作品だけに限っての印象なのだ。すべての作品を読んだわけではないから、誤った感じを抱いていることも有るかもしれない。
この連作短編集は、下の初出誌でもわかるように、一貫して書かれたものではないが、それでも続けて読んでいると、あたかも順序良く書かれたような印象を受ける。
多分、ここに登場する主人公・塚崎多聞のストーリーを書く時に、著者の頭には彼の行動を言動をトレースする引き出しがあるのだろう。だから、どの話の後にどの話が繋がるのかといった事も、常にわかっているのではないか、そんなことさえ思わせる。
今回は、最後の「夜明けのガスパール」の終結で、アメリカ映画「エンゼル・ハート(ANGEL HEART)」(1987年)を連想した。この点についてあまり書くと、ネタバレになりかねないから、特にこの映画を見た人にとれば、この映画を連想したと言うだけで、わかるかもしれない。
それでも僕は、「木守り男」から「砂丘ピクニック」までの4作が全て、夜明けのガスパールを読み終わったとき、この作品の前奏曲だとさえ思えたのだ。こういう作品を読むと、続けて著者の作品を読みたくなる。
# | タイトル | 紙誌名 | 発行月・号 |
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1 | 木守り男 | ポンツーン | 2000年6月・7月号 |
2 | 悪魔を憐れむ歌 | ポンツーン | 2005年4月・6月号 |
3 | 幻影キネマ | パピルス | 8・9号(2006.10・12) |
4 | 砂丘ピクニック | パピルス | 15~17号(2007.12~2008.4) |
5 | 夜明けのガスパール | パピルス | 2号(2005.10) |
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