隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0547.幻の女

2005年02月02日 | サスペンス

訳 者稲葉明雄

幻の女
PHANTOM LADY
読了日 2005/01/31
著 者 ウイリアム・アイリッシュ
WILLIAM IRISH
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 452
発行日 1976/04/30
ISBN 4-15-070551-8

 

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れを最初に読んだのはいつのことだったろう。高校生の頃か、あるいは卒業して間もなくのことだったろうか?その辺の記憶が全くない。
否、ないわけではなく、どこかにあるのだろうが思い出せないでいる。
途中まで読んだところで、最初に読んだ頃僕がこの小説に描かれている人物たちの人情の機微といったものをどれほど理解していたのだろうかという疑問が湧いた。
本書に限らず若い頃に読んだ本を再読すると、そうしたことはまま考えることで、理解の仕方がその時によって変わることは仕方がないだろう。
まあ、それは兎も角として、この偉大な名作が後世の作者や作品にどれほどの影響を与えたのかを改めて感じる。

 

 

妻殺しの容疑者として捕らえられ、唯一アリバイを証明できるはずのデートの相手の女は、気の動転した主人公の頭からきれいさっぱり記憶が消えている。
尋ね行く行く先々で、女の存在を否定されるという、なんともいえない不条理さや、無力感が伝わってくる描写は、全く今読んでも古さを感じさせないばかりか、先述のごとくこのシチュエーションは、その後数限りなく形を変えて使われている。

名作ミステリーにつきものの映像化は、1944年にアメリカで映画が製作されている。僕はまだ見ていないが、そのうちDVDにでもなったら見ようと思っているが。
我が国でも翻案されて、舞台を日本に変えてテレビドラマ化されているが、僕は1971年にNTVで6回に分けて放送されたドラマを見ており、原作の雰囲気が再現されていたように感じた。
このドラマはその後スカパーで再放送されたので、見ている方も多いだろう。

 

 

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