隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0551.華やかな魔獣

2005年02月11日 | サスペンス

0551.華やかな魔獣

華やかな魔獣
読了日 2005/2/11
著 者 平岩弓枝
出版社 集英社
形 態 文庫
ページ数 577
発行日 1994/02/15
ISBN 4-08-750048-9

 

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しばらくぶりで平岩ミステリーの世界へと踏み込む。解説を読むと、昭和41~42年に掛けて「プレーボーイ」誌に連載された作品のようだ。僕は、昭和38年に結婚しているから、それから3~4年後のことだ。昭和42年には、長男が生まれている。が、当時は僕もまだ若く、結婚したとはいえ、どうも大人になりきれていなかった感じで、苦い思い出ばかりだ。だからという訳でもないのだろうが、その頃の世の中の情勢などというものが余り僕の記憶にない。
人の脳は実に都合よくできているらしく、いやな出来事や忘れたいと思うことは記憶の底に押し込まれるらしい。
しかし、こうした作品を読み進むうちに懐かしいような思いがこみ上げてくるのは、遠い過去となった当時の苦い思いも、今となっては浄化されてしまったのだろうか?
僕が著者の作品を好んで読むのは、一般にミステリーと呼ばれる作品から受ける印象とは違い、平易な文章と共に物語りに溶け込みやすいからだ。作品の書かれた時代にもよるのだろうが、しかし比較的新しい作品でも、彼女の作品には僕に遠い昔を思い起こさせるような不思議な魅力がある。一つにはアガサ・クリスティ女史の作品と共通するような、上流階級といわれる人々や環境が舞台となっている事も多い。僕の中にそうしたものへの憧れがあるのかも知れない?

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し この物語は、戦時中、軍需工場だった溝上工場の一人娘・久仁子が代議士百瀬俊三の息子・秀彦に嫁いだことに起因する事件を描いたもので、この政略結婚の裏に隠された陰謀と、犠牲になった男の復習物語である。
著者の作品を読んで今更ながら気づくことは、当節流行のように多くのミステリー作家が手がける旅情ミステリの原型をなしている?ということ。

 


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