隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0419.銀行狐

2003年08月24日 | 金融
銀行狐
読了日 2003/8/24
著 者 池井戸潤
出版社 講談社
形 態 単行本
ページ数 288
発行日 2001/09/20
ISBN 4-06-210706-6

 

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先日読んだ「銀行総務特命」(416.参照)の面白さに惹かれ、こちらも図書館で借りてきた。とにかく著者の銀行ミステリーには、終盤まで持続する緊張感や、読み終わったときに感じるカタルシスが、心地よく、続けて読みたくなる。
本書は、オリジナル短編集だが、表題作のみ、銀行総務特命の指宿修平が登場する。いずれも、銀行を舞台としたミステリーで、著者が熟知している銀行の組織や仕組み、人間関係を縦横に配置して組み立てられたストーリーには、興味を惹かれる。

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冒頭の作品は、巨額損失が発覚して破綻した城南総和銀行、長原支店の大金庫室で一斗缶六つに詰められた老婆のバラバラ死体が発見される。というショッキングなスタートである。
老婆の身許は銀行の顧客で安永登志子という独居老人だった。本庁の古参刑事である小松警部は、所轄の田園調布署の若い花山刑事と組んで、事件捜査に当たるが・・・「金庫室の死体」

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銀行の窓口から現金の消える事件が続けて発生した。200万円と、300万円が消えた金額だ。ゴミ箱までさらった上、行員の私物検査までしたが、金は出てこない。
翌日早朝から、検査部臨店チームの精査を横に、営業課係長の“私”は防犯ビデオテープに目を凝らす・・・・「現金その場かぎり」

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新人の女子工員・田島利香が橋本商事という会社に振り込まれた金が、振込み人の口座番号ミスではじかれたのを、間違えて橋本商会という違う会社に入金してしまった。
営業課長とベテランの女子行員の二人で、橋本商会を訪ねると該当の所在地に会社はなかった・・・・「口座相違」

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帝都銀行頭取宛にワープロ書きのメールが届き、特命・指宿修平の下へ廻されてきた。「ぎんこうのあほどもへ てんちゅーくだす 狐」というものだった。
間もなく2通目が届く。「しんばししてんやったる狐」・・・「銀行狐」

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渋谷警察署の山北史朗は息子が事故で車を廃車した為、新しいローンを組みに二都銀行渋谷支店に出向く。銀行の壁に張り出されたポスターを見て、婦女暴行連続殺人事件の最初の被害者、定岡春子に似ていると思った・・・・「ローンカウンター」
以上5編を収録。

 


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