ドミノ | ||
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読了日 | 2003/10/7 | |
著 者 | 恩田陸 | |
出版社 | 角川書店 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 340 | |
発行日 | 2001/7/27 | |
ISBN | 4-04-873302-8 |
単行本の装丁や、扉の次に4ページにも亘って描かれた街の絵地図、登場人物たちのイラストが物語を端的に表現していることが、読み始めて間もなくわかってくる。そして、更に“人生における偶然は、必然である――”というサプルの意味も。
ことの起こりは、関東生命という保険会社から始まる。この会社の営業強化月間、七月戦の最終日の今日、東京本社から相模原本社へ契約書類を送る最終便が夕方6時15分に出ることになっている。それまでに外回りの営業マンから契約書類が届けられる必要がある。待っているのは大口契約を約束された額賀義人の契約書類だ。
関東生命の中堅女子社員・北条和美は新人の田上優子にお茶菓子を買ってくるよう指示する。折から、外はこの先のドラマを象徴するかのような稲妻が走り遠雷が轟くあやしい空模様。田上優子は前から食べたかったケーキを買おうと東京駅の名店街へと向かう。
鮎川麻里花は、母親の明子と関東劇場での舞台公演「エミー」のオーディション会場で、テストを前にして緊張していた。ライバルの都築玲菜も母親と来ていた。
東京ステーションホテル吹き抜けの二階カウンターで、浅田佳代子は、ある計画のためにあの男をイライラしながら待っていた。
東京駅八重洲南口に着いた長距離バスから降りた吾妻俊作は茶髪の若い男女が折り重なるように目の前で倒れるのに出くわす。長髪の男は散乱した紙袋をかき集め、逃げるようにその場を立ち去った。俊作は自分の荷物を持ち上げたとき紙袋が違うような気がしたがすり替わっていることに気づかない。
こうして書いていると、物語を全部書いてしまいかねない程の27人と1匹?の登場者たちが東京駅へと収束していくドラマなのである。良く考え、巧みに計算された、ドタバタコメディが、必然的にどのような結末を迎えるのか?終盤に至り、もう一つイラストに意味のあったことに気づかせるところなど、作者にしてやられたという感じだ。
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