隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1000.ショック-卵子提供-

2009年06月25日 | メディカル
ミステリー読書1000冊目を迎えて



読書目標の10年を前にして、1000冊目を迎えることとなった。何日か前から1000冊目には何を読もうかと考えていたが、最初の1冊目がロビン・クック氏の「ブラインド・サイト-盲点-」だったので、区切りとなる1000冊目もロビン・クック氏の作品にしようと思い、調べたらまだ未読作品が2-3冊あったので、その中から著者の作品では一番新しいと思われる「ショック-卵子提供-」を選んだ。
昔は十年一昔といったが、環境の変化が著しい現代では、五年どころか三年一昔か?パソコン関係の業界では半年一昔なんていう人もいる位だ。
そんな中で、今年10年目を迎える僕の読書生活は、そうした世の中の動きとは関わりなく、マイペースでのんびり過ごしてきた気がする、が、そんなマイペースながら、何の支障もなく1000冊を読み終えることが出来たのはラッキーなことなのかも知れない?
幸い11月に70歳となる僕だが、今のところ病気らしい病気もなく、いたって元気だからまだまだ今の調子で読書は続けられると思うから、1000冊の目標は一つの区切りとして、再び10年先をにらんで目標2000冊に向かって、などと欲張ったことも考えたが、まあ、あせらずに今後は1年100冊程度の目標を更新して、読めるだけ読んでいこうと思い直した。
ということで2010年11月までの目標を100冊、通算1,100冊を目指して、このブログも続けていくことにしよう。



ショック―卵子提供-
Shock
読了日 2009/06/25
著 者 ロビン・クック
Robin Cook
訳 者 林克己
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 527
発行日 2002/11/30
ISBN 4-15-041023-2

 

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後に著者の本を読んだのは、2001年11月の「モータルフィア―死の恐怖―」だから、足掛け8年ぶりということになる。著者の未読作品がありながら長いこと読まずに来たのは、より身近に感じられる国内メディカル・ミステリーが充実してきており、面白さが増してきているためだろう。
国内の現役で活躍する医師たちが、その経験を活かして、あるいは日ごろの医療活動の中で考えていることなどを題材に、医療ストーリーを描く人たちが増えてきており、そうしたフィクションの好きな僕にとっては、誠に好ましい現象で、歓迎している。
しばらくぶりで著者の作品に接して、以前ほどのストーリーに対する興奮が湧き上がってこなかったのは、そうした環境の変化によるものか?
さて、本書の内容は、タイトルでも判るように、不妊に悩む女性やカップルのための、人工授精に対する卵子の提供に関する物語である。内外を問わず先進国の間で不妊に悩む女性やカップルは多いようだ。この問題がミステリーに取り上げられることは良くあるようで、過去に僕もいくつかそうしたミステリーを読んできている。だが、今回はルームメイトである二人の女子大生が、海外旅行やマンションのための資金に当てることの出来るほどの報酬を得られる、卵子提供者の募集広告を見たことから始まる。

 

 

卵子提供者の募集広告を出したのはウインゲート不妊クリニックという医療研究機関だ。冒頭で、卵子を提供するためにこのクリニックへを訪れた女性が、医療ミスで死亡するという事故が起き、その遺体が闇に葬られるらしいことが描写される。
そうしたことも知らずに、ハーバード大学の大学院生のジョアンナ・マイスナーとデボラ・コクランは、卵子の提供に一人4万5千ドルの報酬を支払うという広告に魅入られる。ベニスへの旅行や、マンションを購入するのに二人で9万ドルは十分な資金だ。
こうして二人はクリニックのあるマサチューセッツ州ブックフォードに向かうのだった。冒頭の事件が何も知らない二人の先行きに、不安感を誘うが、献卵の手術は無事終わって報酬を受け取った二人はイタリア旅行を楽しむ・・・。その後の展開は二人が自分たちの提供した卵子によって、無事に子供が誕生したのか確かめたいという欲求の赴くままに、クリニックに職員として潜入する、という怖いもの知らずというか、無謀な冒険が始まり、いささか冗長とも思われる描写があるものの、サスペンスの盛り上がる結末へと向かっていく。

 

 

回は、従来の医学的なアクシデントなどによるストーリーではなく、いくらかはその傾向は終盤で出てくるが、大半が二人の女子学生の冒険譚といった形で終始する。だが、序盤で片方の主人公ジョアンナの結婚問題などが、そのボーイフレンドとの間でやり取りされ、そうした描写がどのように本筋にかかわってくるのかということが判らないから、退屈なところもあるが、僅かながらそうしたことが伏線ともなっており、ご都合主義とも思われる結末を救っているのかもしれない。
著者の作品は大半を読み終わっているのではないかと思っていたが、この他に2冊くらい残っているのが判ったので、追って読んでみようと思う。

 

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