なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

頭部切創だけではなかった

2024年05月09日 | 脳神経疾患

 5月6日(月、振替休日)は日直で出ていて、当直で来た整形外科医に午前中に入院した胸椎圧迫骨折の患者さんを申し送った。

 当直帯が始まってさっそく救急要請が来ていたが、救急隊との話しぶりからは高齢者の転倒・頭部打撲による切創らしかった。外来で処置(縫合)をして帰宅のつもりなのだろうと思って、帰った。

 7日に確認すると、その患者さんは91歳男性で、入院になっていた。

 左後頭部の切創は小動脈性出血があり、5針縫合していた。頭部CTで頭蓋内出血を確認していて、軽度に硬膜下に出血があった。経過観察のため入院になったのだった。市内のクリニックから抗凝固薬(リバーロキサバン=イグザレルト10mg)が処方されている。

 7日に頭部CTを再検して、硬膜下血腫の進行はなかった。しかし血液検査でHb7.7g/dLと貧血があり、輸血がオーダーされた。昨年11月に外来を受診した時はHb12.0g/dLだったので、かなり出血していた。

 

 抗凝固薬は心房細動の処方かと思ったが、心電図では正常洞調律だった。発作性でもないようだ。

 昨年11月に両下腿浮腫でクリニックから当院内科外来に紹介されていた。担当の先生が検査すると、浮腫の原因として心・腎・肝は問題なく、血清アルブミンも3.5g/dLだった。

 胸腹部CT(単純)を行っていて、肝臓に著大な嚢胞があり、ちょうど下大静脈を圧排している。これによる下大静脈以下の血流障害あるいは血栓症(による浮腫)の可能性があります、という返事を出していた。

 Dダイマーが3.1と微妙に上昇していた。造影CTではないので、下肢深部静脈血栓症の有無は正確にはわからない。

 クリニックではこの返事をみて、直接経口抗凝固薬(DOAC)を開始したと思われる。出血性病変が起こると、これが裏目に出るのだった。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 胸椎圧迫骨折 | トップ | 外傷性(血)気胸 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

脳神経疾患」カテゴリの最新記事