なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

急性薬物中毒

2017年06月25日 | Weblog

 午前0時過ぎに当直の外科医から連絡が来た。20歳代前半の女性が、精神科クリニックで処方された安定剤などを大量に飲んで、意識障害で救急搬入されていた。救急室に行ってみると、前腕に見たこともないほどの数のリストカット痕があった。当直医はJCS30~100と言っていたが、確かに痛み刺激ではねのける動作をするが、開眼ととるかは微妙な状態だった。バイタルは異常なかった。

 結婚していて現在首都圏在住だが、精神的に不安定なので5日前に家族が実家に連れ戻したという。すでに通院させたい精神科病院には電話で問い合わせをしてたが、受診は2週間後と言われたそうだ。

 家族が複数来ていた。両親が離婚していて、それぞれに再婚していると後で聞いたが、実の両親とも来ていた。主には実母との相談になった。専門の精神科ではないので、家族の付き添い(それも複数)がないとで入院継続は難しい。それでいいということで、入院にした。

 今朝は意識が大分回復していた。トイレまで歩くといって、看護師さんに支えられて歩いたが、ふらふらしている(個室内のトイレ)。尿器やポータブルトイレでは納得しないようだ。ふらふらするのに、看護師さんが支えると触るなと怒鳴った。

 母親と相談して、明日まで入院してもらって、精神科へ紹介することにした。診療情報提供書をFAXして、受診(出来れば入院)をお願いするが、すぐに診てもらえるかどうかはわからない。病棟の看護師さんが対応に苦慮しているので、明日まで病棟で預ってもらうのが限界だろう。

 東京など首都圏では、それなりに専門病院があるので、対応できるのかもしれない。地方では一般病院に救急搬入されるが、そこからの精神科受診がけっこう難しい。

(後日記) 午後には普通に動けるようになった。病棟看護師に対する暴言・暴行が続いた。本人は退院すると言い、家族は退院をしぶった。このままだと警察を呼ぶしかないと伝えて、退院になった。手足のおびただしいリストカット痕と言動からは、境界性パーソナリティー障害なのだろう。希望していた精神科病院宛てに紹介状を書いて渡していた。今日、地域医療連携室からそこはすぐには外来予約がとれないと連絡が来た。今週中に診てもらえる別の精神科病院(公立)宛てに紹介状を書きなおした。精神科で診たからよくなるとも言えないのだろうが、精神科の係りにしてもらわないと対応できない。(6月26日)

コメント
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