なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

両下肢の壊死

2015年04月27日 | Weblog

 昨日の日曜日の夕方、日直の外科医に救急隊から搬入依頼の連絡がきた。50歳男性で、自宅でずっと動かずにいたという。そのうちに、両側下肢(下腿遠位から足)が壊死に陥って、崩れた組織が布団に密着して一体化しているという報告だった。母親と二人暮らしだという。医療機関にはかかっていない。

 外科医は大学病院からの応援医師だった。対処に困って内科の日直をしていた私に相談された。最近食欲が落ちてやせてきているというが、数か月かけての変化で緊急性はないと思われた。といって、救急隊が出動してれっきとした病気がある以上、平日に改めて要請して下さいというわけにもいかない。地域としては当地の基幹病院の地域だが、そこに連絡したところ、圧挫傷の患者さんが搬入されて処置中なので、受け入れできないという返事だったそうだ。当院で受けることになった。

 来てみると、話は普通にできた。精神疾患と予想されたが、よくわからなかった。両下肢は下腿遠位から足が炭のように真っ黒に壊死していた。その上の部分は脂肪組織が溶けている。骨がむき出しになっていた。なにり異臭がひどい。搬入後から救急室内に異臭が充満した。検査では貧血と炎症反応の上昇があるが、腎機能は正常域だった。糖尿病もない。

 痛いですかと訊くと、痛くはないと答えた。いったいどうやったら、こんな状態までなるのか。当番の外科医が呼ばれて外科病棟の個室に入院した(異臭で大部屋には入れられない)。明日両下腿の切断術が予定された。

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