なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

バイオシミラー

2015年04月25日 | Weblog

 消化器病学会の3日目(最終日)。モーニングセミナーに出てみた。演題が「炎症性腸疾患とバイオシミラーBiosimilar」とあったので、新たな生物学的製剤のことかと思っていた。バイオシミラーは生物学的製剤(先行バイオ医薬品)のジェネリックに相当するものだった(知らなかったのはけっこう恥ずかしい)。通常の医薬品のジェネリックと違って、バイオ製剤の場合が高分子製剤なので、同一性を証明できないため同質性を証明するそうだ。今回はインフリキシマブのバイオシミラーの宣伝だが、そういえばインスリングラルギン(ランタス)のジェネリックをリリーで発売するという話を聞いたことがあった。正確にはこれもジェネリックではなくて、バイオシミラーだった。同質性を証明する試験を行う必要があり、値段は先行薬品の70%になるそうだ(通常のジェネリックは先行薬の60%)。

 その後は、ポストグラデュエイトコースを午前午後と聴いていた。消化器の各分野を20分ずつなので、駆け足での講義になる。たとえば肝臓病の話に限って1日講義を受ければ相当詳しくなるのに、そうはいかないらしい(各臓器の専門家がいるから)。それでも何コマかはいい講義があった。

 逆流性食道炎は、嚥下を伴わないLES弛緩(一過性LES弛緩)による。胃酸暴露の主な原因は食道運動障害による胃酸の上部食道への上昇と胃酸排出遅滞だそうだ。1日の胃酸暴露の時間は、健常者で4%、軽度食道炎で4~10%、重症食道炎で10~30%になる。PPIを倍量にするよりは標準量を2回にわけて投与するほうが効果的で、1回ならば夕食前(PPIが聴くまで少し時間がかかり、夕食が一番摂取量が多いから)がよい。PPI抵抗性NERDは、上部食道の知覚過敏が関係していて、やはり胃酸の問題なので心因性と決めつけてはいけない。

 虚血性大腸炎・大腸憩室疾患と胃炎の話も、テーマとしては地味だがよかった。大腸憩室は腸管内圧の上昇で大腸の脆弱部分(直動脈の貫通部位)から大腸粘膜が外側へ脱出するので、憩室出血が起こりやすいのだった。憩室出血は右側大腸に多い。大腸憩室炎は高齢者では左大腸に多く、穿孔などの合併症を伴いやすい。ランチョンセミナーも機能性ディスペプシアの話で、今回は消化管の機能性疾患をちゃんと勉強しようと思った学会だった。

 まあまあ楽しめた学会だった。5月は学会出張はないので、4回の休日日直(連休中2回)をこなす予定だ。

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