なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

姉妹で多発性骨髄腫

2015年04月20日 | Weblog

 高血圧症などで内科外来に通院している85歳女性は、自覚症状はなかったが、定期的な検査で貧血(Hb10g/dl)と高蛋白血症(TP9.1)を認めた。血清免疫電気泳動でM蛋白を認めた。多発性骨髄腫疑い(確定だが)として、血液内科のある病院に紹介することになる。

 この方はひとり暮らしで、気ままに畑仕事をしていた。病院にはバスで通っていた。家族は夫がすでに死亡していて、実子はいない。養女がひとりいた。その養女さんに病院に来てもらいたいと話をしたが、ずっと渋っていた。受診するたびにお願いしたが、なかなか同意しなかった。養女なので遠慮があるのかもしれないが、自分のことは自分で決めるという性格だった。年齢的には、病名を患者さん本人に伝えるかどうかは、家族の同意を得る必要がある。

 話が進展せず、年を越してしまった。骨髄穿刺をしても鏡検は外注になるので、紹介先の専門医に依頼するつもりだったが、検査は受けてもいいといので当院外来で行った。診断は多発性骨髄腫で間違いなかった。結局ご本人を通さずに、養女さんに連絡して来てもらうことにした。連絡が付いてからも、こんどは養女さんがなかなか病院に来なかったが、体調が悪かったという。今日やっと来てくれた。

 基幹病院の血液内科に紹介することになった。患者さんに病名を言うと受診を拒否する可能性があるので、とりあえず連れて行って、治療の可能性があれば、そこで病名を教えたいという。確かに拒否しそうだ。

 この患者さんの姉が70歳代後半で、同じく多発性骨髄腫になったそうだ。治療は拒否して数年で亡くなったらしい。この患者さんは年齢の割には元気だが、治療の適応はあるのだろうか。その前に受診するかどうかもわからないが。

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