*人口の削減を狙っている?
1973年秋、人々は殺気立った顔でスーパーマーケットに行列を作っていた。一様に目指すのはトイレットペーパーである。
そうして、山のように積み上げられたトイレットペーパーは開店するやいなや一瞬で完売してしまったーーー。
日本中をパニックに陥れた、世に言うオイルショックである。
この年、第四次中東戦争の余波からアラブの産油国は原油価格を7割も引き上げることを決め、世界的に石油の価格は大暴騰した。それが発端となって「紙が無くなる」と云う噂が飛び交い、原油価格とは直接関係のないトイレットペーパーの買い占めと云う事態を招いてしまったのだ。
ところが、偶然か否か、こうした石油不足を、更に数十年後に石油が枯れ果ててしまうと予言した集団がいる。
科学者、経済学者などがメンバーにその名を連ねたローマクラブと呼ばれる研究機関である。
このローマクラブが、発表されている通りに環境問題を研究する識者の集団であれば何の問題もない。
ところが彼らは、人類が生き残る術として秘かに人口削減計画の陰謀を企てているというのだ。
*人類の成長の限界を予想した報告書
イタリアのコンピューター関連会社で副社長をしていたアウレリオ・ペッチェイが、その財力を以って設立したのがローマクラブである。1968年にローマで活動を開始した彼らは、4年後に「成長の限界」と題した報告書を発表する。
そこに書かれた内容は実にセンセーショナルなもので、このまま人口増加や環境破壊が続いた場合に人類と地球が直面する可能性を様々なシミュレーションによって検証した。
そして結論として、100年以内に人類の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしたのである。
冒頭のオイルショックが発生したのはこの報告書があった翌年のことだった為、彼らの提言が一躍注目された。
しかも、創立者のペッチェイには、イギリスの哲学者であるバートランド・ラッセルの意思を受け継いでいると云う話がある。
このラッセルは、ペストのような細菌は人口増加に歯止めをかけられると説き、20世紀最悪の人物とまで言われた過激な人物なのだ。ペストといえば、14世紀にヨーロッパを中心に猛威を振るい、当時のヨーロッパの人口はおよそ3分の1まで激減させたと言われるウイルス性の感染症だ。
ペッチェイや、彼の肝いりで創設されたローマクラブは、感染症のパンデミック(世界的な大流行)による人口の間引きも辞さないというのだろうか。
*組織の影響力は拡大している
現在、パンデミックの可能性が懸念されている感染症の一つがエボラ出血熱である。
エボラ出血熱は1970年代後半からアフリカ大陸で何度となく大流行し、高熱に続く出血で多くの犠牲者を出している恐ろしい感染症だ。ただし、アフリカ以外の地域での発生はほとんどゼロに等しい。
もしもこの流行の背後に何らかの計画が存在していたら.....。
或いは飢餓、対立する民族間の泥沼の内戦などが、アフリカの人口にダメージを与える為の作為的なものだったとしたら.....。
考えるだけで背筋の寒くなる話である。
ローマクラブはこれまでに人類の将来に関する30以上のレポートを発表し、現在ではユネスコや世界各地のNGOと協力するまでに至っている。組織の力がここまで大きくなった今は、そうした活動の全てが表向きのものでないことを祈るばかりである。
*画像
ドイツで行われた平和賞授賞式の一場面
中央がローマクラブ創設者のペッチェイ。(1973年)
ローマクラブ所属者(上段左から)
元ソビエト大統領ゴルバチョフ
オランダ王女ベアトリクス
元インド首相マンモハン・シン
元ドイツ大統領ヴァイツゼッカー
(下段左)
ケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイ
ヨルダンの王族ハッサン・ビン・タラール
スペイン王ファン・カルロス1世
ブラジル元大統領カルドーゾ
本当に恐ろしい地下組織
独自の信念を持つ組織