万有引力の発見、光のスペクトル分解、数学の微積分法の発見。これらを通してアイザック・ニュートン(1642~1727)は「近代科学の祖」と言われた。だが、彼の活躍した17世紀の科学革命は、魔術と宗教を衰退させることにはなっても、魔術と科学を完全に切り離したわけではない。それはニュートン自身にとっても同様で、意外なほどオカルティックな研究にも彼は没頭していた。1725年の著作『古代王国年代記』はニュートン本人の同意なしに省略された形で公表されてはいるが、ニュートンの死後、より充実した版として出版された同著の中で、ニュートンはエジプト、ギリシア、ユダヤの歴史や神話を対比し、天文学を応用することで古代文書中の歴史的事実の年代を割り出そうとしている。やはり、死後に出版された『ダニエルの預言とヨハネ黙示録についての考察』を見ても、聖書の中からの予言的な計算を導き出そうとして、彼が膨大な時間とエネルギーを費やしていたことが分っている。そして、ケンブリッジ大学在職時代の助手によると、当時ニュートンは科学に進化...しつつあった錬金術にも興味を持ち、化学実験に専念していたらしい。また、1696年、54歳からは王立造幣局長官として貨幣制度の改革に取り組んでいるが、硬貨の鋳造に関する彼の書面から、金属組織を明らかにする為に高度な化学的な知識を使っていたことが分っている。ニュートンの草稿は広い分野に渡る膨大なものだが、その中には、宇宙論、歴史、神学をまとめ上げると云う壮大な構想があり、予言や錬金術までもが含まれていた。
ニュートンは、自身の作り上げた体系が神によって、『古代神学』に対して明らかにされたと信じていたと見られるが、少なくともニュートンにとって、それらは科学と切り離されたものではなかった様だ。
呪い あなたの知らない不気味な世界
-その不思議な能力は神か悪魔かー
人々を操る怪しい呪術師