スケッチブック 〜写真で綴るスローライフな日々2

写真を撮りながら、日々の暮らしや旅先で感じたことを書いています。
2016年からは撮った写真をイラスト化しています。

スローミュージック SELECTION Vo.33

2007年04月24日 | スローミュージック
tanto tempo/Bebel Gilberto

ブラジル音楽を聴いているとミュージシャンやスタッフが身内で構成されていることがよくあります。ベベウ・ジルベルトの父はボサノヴァの創始者ジョアン・ジルベルト。母はジョアンの2人目の妻ミウシャ。ミュージシャンの両親の間に生まれ、幼い頃から音楽の舞台に立つ経験を持つことから、彼女の身体にはしっかりとボサ・ノヴァの血液が流れていたと容易い連想をしました。身内のレコーディングやライヴに参加しながらミニアルバムを一枚出しただけで本格的なリードアルバムはこの「tanto tempo」が最初になります。2000年に発表されたベベウはもう中年に差しかかった年齢になっていました。彼女の天性の声とリズム感は艶っぽくて独特の味があります。最近になってこのアルバムを知ることになって、どうしてもっと早くに気付かなかったのかと我ながら悔やむ程インパクトがありました。更にライナーノーツを読んでびっくりしたのは、大好きなテイ・トウワと交流があり「フューチャー・リスニング」にヴォーカルとして参加していたことでした!またしても失態。「サウンド・ミュージーアム」では傑作ホール&オーツの「PRIVATE EYES」のボサ・ノヴァ・バージョンを歌っているのです!これで落ちていくように惚れ込んでしまいました。実力は以前から僕は認めていたみたいです。事実上ファーストアルバムと呼べるこのアルバムはベベウの魅力を充分に堪能できる内容で、サウンドも新しいブラジル音楽に仕上がっていてメロウな曲調が多く、ネオ・ボッサとしても歴史的なアルバムだと断言したい気分です。3曲目のタイトル曲「tanto tempo」は優しい海風のように人の心を湿らせる名曲です。8曲目「LONELY」の歌詞はこうです。(・・・・孤独 毎日 あなたを感じながら考える。あなたには私が聞こえるだろうかと。)プロデューサーのミタル・スボビッチはこのアルバムの音作りに深く関わっただけでなく、ベベウの長年の親友でもありました。アルバムのレーコンディングが終了しばかりの時に自宅の火事に遭遇し、このアルバムのマスターテープを救出するために煙を吸い込んで38歳という若さで亡くなってしまいました。ベベウ自身がこのアルバムに特別な思いを抱いていることは言うまでもないでしょう。

タント・テンポ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 松坂 三重フェニックス&リ... | トップ | 多賀町 そば吉 ~変わり蕎麦 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

スローミュージック」カテゴリの最新記事