

初めてこの曲を聴いたのは高校を卒業してすぐの頃だったと思う。とてもびっくりした。
まずヴァイオリンとヴィオラがこんなにバランスよく鳴っていることに驚いた。どちらかに偏るのではなく、それぞれがちゃんと主役を演じている。不思議であった。
そして明るい豊かな響きの第1楽章の印象深いふたつの主題のあと、第2楽章の静かで内省的な短調の世界への転換にそれこそしびれた。ヴァイオリンとヴィオラが交互に奏でるのだが、それぞれの楽器による雰囲気の違いが効果的だと思った。
軽快な第3楽章、ヴィオラはなかなか難しいのではないかと思う。艶やかなヴァイオリンに負けないよう艶やかさと軽快さが求められるヴィオラの聴かせどころのような気がする。ヴィオラという楽器の魅力をはじめて味わった曲でもある。
私は第1楽章と第3楽章のオーボエとホルンの音色も好きである。だが、何しろ曲全体をじっくりと聴きたいものである。
そのころ誰のレコードで聴いたのかまったく記憶にない。たぶん先輩の持っていたレコードではなかったかと思う。楽譜を追いながら、自分でもヴァイオリンパートをひいてみた気がする。モーツアルトの曲に挑戦したのははじめたであった。私の力量でもゆっくりと弾けば弾きとおすことはできるが、ひとつひとつの音を絶対にゆるがせにできないモーツアルトの曲の厳しさを味合わせられたことも確かだ。
このCDは1972年の録音であるが、購入したのは50歳も過ぎて2000年を超えてからだと記憶している。ヴァイオリンはヨゼフ・スーク、ヴィオラはヨゼフ・コドウセク、プラハ室内楽管弦楽団。
このCDをかけることもあまりなかったが、定年前になって続けて幾度か聴いて、とても懐かしかった。そしていかにもヨゼフ・スークらしい音色何とも嬉しかった。
