Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

公共工事の見直し

2009年10月17日 10時56分56秒 | 日記風&ささやかな思索・批評
 政治がワイドショー化、芸能化して、政治家がタレント化している。何を勘違いしてかタレントが政治家へ転進を図っている。能力のあるなしが転進してから判断されるというのも、選挙のワイドショー化の弊害である。選挙で当選してから、政治能力も倫理も理念もなく、公務員の組織を動かす能力が欠如しているとわかっても、取り替えるのは容易ではない。
 確かに政治を身近になり、それなりに透明になったことは否定しない。悪いことではない。しかし今は身近を通り越して「卑近」と言ったほうが正しい表現だ。このことで起きているのは、語られる政策や政治理念の軽薄化、票の付和雷同化・人気投票化であり、民主主義の危機的な様相と感じる。
 そしてどうしても鼻持ちならないマスコミ(新聞・テレビ・ラジオ・週刊誌等)の定見の欠如した「正義づら」には暗澹たる思いがつのる。
 単年度では終わらない大規模な施設工事。自民党政権時代に計画された諸大規模公共工事が「工事のための工事」であったり、反射利益の想定が一面的で総合的ではない面があまりに多かったことは明らかだ。道路・ダム・空港だけが「悪」の代名詞のようになっているが、それらの再評価、再検討、規模の拡大・縮小、進捗の低減化など方策はいろいろある。一番の無駄は途中で投げ出すこと。空中に浮かんだ橋脚、つながらないトンネル、船の来ない港湾、飛行機の来ない空港ほど摩訶不思議な光景と無駄はない。
 マスコミでは施設が出来上がれば「バンザイ」記事を書き、報道し、閑古鳥が鳴けば「無駄な投資」と正反対の特集をし、過去の報道には反省の弁は100パーセント無い。その時々の「民意」が「正」であれば、過去には触れないのが、マスコミの正義であるようだ。「客観報道」は報道姿勢を戒めるものでなければならない。
 どんな公共工事も当然、計画時の必要性があったと思われる。当然政治的な思惑というものも含めて。それが常に見直されずに突き進むことに大きな問題があったはずだ。また予測不能な社会情勢の変化が著しい場合も当然ある。計画性の一面的な評価を時間の経過とともに多面的に見直す方途がなければならない。地元の意向を十分に踏まえたものとして。
 環境影響評価だけがクローズアップされているが、経済面・社会面からの影響評価の方法も確立されてしかるべきであろう。
 計画途中で止まった無駄の象徴のようなトンネルや橋梁、途中で通行止めになってしまっている高規格道路‥これほどの無駄はない。だが、この映像を写して「無駄」と決め、実行した部署を追及しても解決にはならない。計画の立案時の妥当性と時代に応じた見直しの経過を明らかにさせ、当然の維持管理費の見通しの妥当性を試算し、やめるならばどのようなやめ方がいいのか、事業収束の着地点、既存完成部分の活用方策の検討の有無、地元の意向、今後の方策等々を総合的に明らかにさせる報道をしなければ、それこそ無駄で無責任で扇動的な報道でしかない。
 八ッ場ダムが俎上に上がっている。歴史の長い工事だけあって、当初から強権的に有無を言わさず、地域の声を聞かずに進めてきたようだ。長年の経過の中で地元の分裂、過疎化、地域の経済や社会の沈滞が進んでいる。年数を経た軋轢は、地域が沈滞している現在は、強引な手法で元に戻しても復元力は持ち合わせていないであろう。残っているものにとっては更なる地獄を強いることになる可能性が大であろう。掛け違ったボタンは時間をかけて解きほぐさなければ、さらなる軋轢と恨みと傷を残すだけだ。
 これに対して「マニュフェストにあるから」という論理を本当に大臣がいっているならそれはあまりに強引である。「出し続けた金を返せ」とわめく知事もみっともない。無駄といわれだした時点で計画の妥当性を国に問いただしてこなかった自らの責任を放棄している。無責任知事石原の真骨頂である。こんなのに付き合って「全額返済」といったとしたら大臣も問題だ。自民党政権の時代の付けをこれから将来にわたって返済しなければならなくなる。太平洋戦争は終了し、政権が変わったのであるし、すでに国家間の損害賠償は決着済みであるとして、そこから漏れたアジアの人々への謝罪と保障を否定する石原が「全額返済」をいうのもまったく筋が通らない。だが「金」で突っ張れば自らの人気には傷はつかない。
 良い方向での政権交代による政策の見直しをいうならば、政策決定の透明化と地元との真摯な話し合いを前提とした個別政策の実行という回路をキチンとつけるべきだ。計画の実施も、見直しも、中止も、今後の地域のあり方を総合的に判断する方向で、地元との真摯な議論することをしないで決めることはできないはずだ。これまでつぎ込んだ金額の整理もその時点で道筋をつける必要があるし、おのずと見えてくるはずだ。

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