そういう価値観を持ちたい

2019年02月17日 | 日記・エッセイ・コラム

 数年前から、「我が事」「丸ごと」を合言葉にして地域共生なる社会を実現しようという我が国の施策があります。
 人は皆、誰でも長く生きていれば高齢者になります。だとすれば私たちが高齢者になる確率は100%です。だから、人は誰もが高齢者の道を歩きます。高齢者の道を歩くことは100%「我が事」です。それは決して「他人事(ひとごと)」などではありません。だから、社会も関心を寄せ、政治も高齢者福祉に力を注ぐのです。
 カーラジオから、「生涯の間に、私たち日本人の2人に1人はがんになる」(「国立がん研究センター がん対策情報センターによる推計値 2007年」を参考にしているかと思われます)というCMが流れてきます。お聞きでしょうか。もしもそうだとすれば、私たちががんになる可能性は50%ということです。50%の確率で私たちはがんになるのです。この確率50%はあなたにとって「我が事」でしょうか。それとも「他人事」でしょうか。
 知的障害者の発生頻度は人口の約2%だと言われています。それは海外の国々での調査データから推計した数字だといいます。但し、我が国ではこのことに関する悉皆調査のデータはなく、療育手帳所持者の人数を基にして在宅の知的障害者(児)を約96万人(平成28年調査)としています。施設入所者については平成27年調査で約12万人としており、合計約108万人という推計値になっています。(参考 『障害保健福祉施策の動向』平成30年11月 厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課)
 その海外での調査の数字をわが国に当てはめると、我が国の日本人人口約1億2400万人では知的障害者はおよそ248万人となります。
 この知的障害者の発生率が日本人人口の約2%だということは、あなたにとって果たして「我が事」でしょうか。それとも「他人事」でしょうか。すでに自分自身にとっては結果が出てしまっているので「我が事」にはなり得ませんか。
 国は「我が事」「丸ごと」と言い、「地域共生社会の実現に向けて」と言います。果たして、私たちの社会がこの2%を「我が事」とするまでには、この先、どれほどの時間を要するのでしょうか。
 高齢者の歩く道は誰もが歩く道です。その道を歩くことは誰もが100%覚悟する、いや覚悟せざるを得ない「我が事」です。
 では、あなたにとって、一生の中でがんになる確率の50%は「我が事」ですか? それとも、確率50%くらいでは「我が事」にはなりませんか?
 知的障害者の歩く道は誰もが歩く道ではありません。しかも、気がついたときはもう結果が出ていて、いたくてそこにいるわけではないのに2%の側にいさせられているのです。一方、自分自身が努力してそこにいるわけでもないのに、たまたま98%の側にいるだけなのに、私たちは2%の存在を自己責任のように思っているかのようです。それはもうすっかり「他人事」です。
 しかし、私たちは2%と98%を足して初めて100%になるのです。2%があってこそ、100%になるのです。みんなで助け合って100%になるのです。みんなで心を寄せ合って100%になるのです。そういう価値観を持ちたいと思います。



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