最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

大阪市条例により住宅から300m以内に墓場を作るな

2023-06-13 18:49:14 | 日記
令和4(行ヒ)150  納骨堂経営許可処分取消、納骨堂経営変更許可処分取消請求事件
令和5年5月9日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  大阪高等裁判所
 墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営又はその施設の変更に係る許可について、当該納骨堂の所在地からおおむね300m以内の場所に敷地がある人家に居住する者は、その取消しを求める原告適格を有する

NHKの報道です
大阪 納骨堂許可取り消し訴訟 1審やり直しを最高裁が命じる
大阪・淀川区の住宅地に建設されたビル型の納骨堂について、近隣の住民などが「生活環境を著しく損なうおそれがある」と主張して、大阪市が出した経営許可を取り消すよう求めた裁判で、最高裁判所は住民には裁判で争う資格があると認め、1審で審理をやり直すよう命じました。

日経新聞の報道です
納骨堂の経営許可、住民の取り消し請求「可能」 最高裁
問題となったのは、大阪市の住宅街に建つ6階建てのビル型納骨堂。大阪府内の宗教法人が2017年に市の許可を得て建設を進め、20年から運用されている。
墓地埋葬法は、納骨堂や墓地の経営に自治体の許可が必要と定める。大阪市は細則で「学校、病院、人家からおおむね300メートル以内にあるときは許可しない」と規定する一方、「生活環境を著しく損なう恐れがない」場合は許可できると定めており、市はこれを根拠に経営を認めた。
今回の原告は、納骨堂から約100メートル以内に居住。第3小法廷は、市の細則がこうした住民について「平穏に日常生活を送る利益を個別的な利益として保護」していると指摘。「(経営許可の)取り消しを求める原告適格を有すると解するべきだ」と結論付けた。


産経新聞の報道です
周辺住民「訴訟起こせる」 大阪市の納骨堂経営許可巡り最高裁、1審で改めて審理
1審判決では、こうした市の細則は「住民の個別的利益を保護するためのものではない」として、原告適格がないと判断。一方、2審判決では原告適格があるとされたため、市側が上告していた。
この日の上告審判決で同小法廷は、市の細則について「おおむね300メートル以内に住む人が平穏に日常生活を送る法律上の利益を保護する趣旨を含む規定だ」と指摘。住民側には訴訟を起こす資格があると結論づけた。


では事実関係から見ていきましょう
1 本件は、大阪市長が、宗教法人であるA寺に対し、墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により、納骨堂の経営の許可及びその施設の変更の許可をしたところ、同納骨堂の周辺に居住する被上告人らが、上告人を相手に、本件各許可の取消しを求める事案である

突然近所に墓場ができると確かに嫌ですよね。

2原審の適法に確定した事実関係等
(1)法10条は、1項において、墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない旨を規定し、2項において、1項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更しようとする者も、同様とする旨を規定する。
埋葬等に関する法律施行細則(昭和31年大阪市規則第79号)8条は、本文において、市長は、法10条の規定による許可の申請があった場合において、当該申請に係る墓地等の所在地が、学校、病院及び人家の敷地からおおむね300m以内の場所にあるときは、当該許可を行わないものとすると規定し、ただし書において、市長が当該墓地等の付近の生活環境を著しく損なうおそれがないと認めるときは、この限りでないと規定する。
(2)A寺は、平成28年4月、大阪市a区所在の土地を購入した。
(3)大阪市長は、本件法人の申請を受けて、平成29年2月27日付けで、本件法人に対し、法10条1項の規定により、本件土地において鉄筋コンクリート造地
上6階建ての納骨堂を経営することを許可した(本件経営許可)。
(4)被上告人らは、いずれも、本件土地から直線距離で100m以内に所在する建物に居住している者である。


行政の判断ミスですね。その上で訴えの資格があるかが問題になりました。

4 (1)行政事件訴訟法9条同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうのであり、

物件から100m以内なので思いっきり該当します。ですが、墓ぐらい我慢しろよと言われたのでしょうか。ここで訴えの資格があるかの議論が始まります。そもそも基準で300m以内なのに100mもない所なんですから、ここで議論するまでもないと思いますけどね。

(2)上記の見地に立って、被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するか否かについて判断する。
ア 法は、墓地等の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とし(1条)、10条において、墓地等を経営し又は墓地の区域等を変更しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない旨を規定する。同条は、その許可の要件を特に規定しておらず、それ自体が墓地等の周辺に居住する者個々人の個別的利益をも保護することを目的としているものとは解し難い(最高裁平成10年(行ツ)第10号同12年3月17日第二小法廷判決・裁判集民事197号661頁参照。以下、この判決を「平成12年判決」という。)。


おいおい、じゃあなんで300mなんていう基準があるんですか?しかもこの判例は公開されていません。

墓地等の経営が、高度の公益性を有するとともに、国民の風俗習慣、宗教活動、各地方の地理的条件等に依存する面を有し、一律的な基準による規制になじみ難いことに鑑み、墓地等の経営又は墓地の区域等の変更に係る許否の判断については、上記のような法の目的に従った都道府県知事の広範な裁量に委ね、地域の特性に応じた自主的な処理を図る趣旨に出たものと解される。

だから300m基準があるんでしょ?運営を間違えましたで結論が出る話じゃないですか。ちなみに、御盆の頃は線香の匂いでとても窓なんか開けられませんし、閉め切っても煙がもうもうとは言ってきますよ。

イ 本件細則8条本文は、墓地等の設置場所に関し、墓地等が死体を葬るための施設であり(法2条)、その存在が人の死を想起させるものであることに鑑み、良好な生活環境を保全する必要がある施設として、学校、病院及び人家という特定の類型の施設に特に着目し、その周囲おおむね300m以内の場所における墓地経営等については、これらの施設に係る生活環境を損なうおそれがあるものとみて、これを原則として禁止する規定であると解される。

ならば先の文章は要りませんよね。しかも、死体といっても焼却済みです。衛生上は問題ありません。ですが線香をたくなとは言えんでしょう。ともあれここで訴えの資格があることが認定されます。

結論
被上告人らが本件各許可の取消しを求める原告適格を有するとした原審の判断は、結論において是認することができる。

裁判官全員一致の結果ですが、2人補足意見が出ました。

裁判官林道晴の補足意見
平成12年判決が平成16年法律第84号による行政事件訴訟法の改正前の事案であることを見逃すことはできない。上記改正により、取消訴訟の原告適格について規定した同法9条に2項が追加されたところ、同項は、国民の権利利益の救済範囲の拡大を図る観点から、処分又は裁決の相手方以外の者(以下「第三者」という。)の原告適格が適切に判断されることを一般的に担保するため、裁判所が考慮すべき事項を法定したものである。被上告人らのような第三者の原告適格については、上記改正後は、上記のような同項が追加された趣旨を踏まえ、より柔軟な判断が求められることになったというべきである。

過去の判例の解釈し直しではなく殉難に判断したのであるから、これを以降の判断基準にするなと言っています。

裁判官宇賀克也の意見
1 本件で平成12年判決を変更せず、専ら本件細則の解釈により原告適格の有無を判断すると、今後、他の地方公共団体における墓地経営等の許可につき取消訴訟が提起された場合、その都度、条例又は規則の規定の仕方に応じた解釈を要することとなり、訴訟の入口である原告適格の判断だけのために数年争われ、

そりゃ原告も被告も時間を食うのは勘弁ですよね。ただこの話って、裁判所がダラダラやってないで判断すればいいだけの話なんじゃないですか?論点ずらしですね。日本の裁判は長すぎますよ。自分たちののろさを棚上げするんですか?

2 私は、取消訴訟の原告適格について、当審の判例とされているいわゆる法律上保護された利益説の立場に立っても、(なお、私は、本件のような特定施設の周辺住民が不利益を被っていると主張して取消訴訟を提起する事案において、個別保護要件を設けること自体に懐疑的であるが

世間知らずのおバカさんです。盆、彼岸に墓場に一日いなさい。ぜんそくになりますよ。

墓地経営等の許可について、法は要件を一切定めていないが、法の合理的解釈により、法1条の目的に合致しない申請、すなわち、国民の宗教的感情に適合せず又は公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障を及ぼすおそれがある申請は許可しないという要件が存在していると解するべきである

要するに幽霊が溜まっているから嫌だという人を守れということですか?そこじゃないでしょう。

3 学校、病院のように少数の限定された施設については、当該施設の設置者の有する個別的利益を特に保護しようとする趣旨と解し得るが、住宅、事務所、店舗のように広範に存在するものについては、一定の広がりのある地域の良好な風俗環境を一般的に保護しようとする趣旨と解したものと思われる。

泣き女のような風習はないので騒がしいという問題はないでしょう。ですが、入院施設の隣が墓場というのは余りにも問題がありますね。

4 平成12年判決は、法令の文言の形式的解釈に拘泥し紛争の実質を考慮していないものといわざるを得ず、取り分け平成16年法律第84号による改正後の行政事件訴訟法9条2項により「当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく」解釈することが義務付けられた現在においては、変更を免れないものと考えられる。

この点については賛成です。

裁判長裁判官 林 道晴
裁判官 宇賀克也 ズレた感覚
裁判官 長嶺安政
裁判官 渡 惠理子
裁判官 今崎幸彦

全員一致で許可取り消しですが、宇賀克也裁判官は社会からずれまくったというか、事件は書類でおきてるんじゃない、現場をもっと見て来いと言いたくなりますね。

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